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2019.06.07.11.21

Zamba

きみはひとりの旅人だ。ながれながれてこのむらにたどりついた。
おもいのほかににぎわしいのは、まつりのよるだからだ。

食事もおえたきみはあとはねるばかりだ。あす、このむらをたつ。
安宿のその部屋はうすぐらく、まどのそとがあかるい。
さてと、そこできみはかんがえる。

このままそとのさわぎをよそにねむってしまってもいい。きょうはつかれている。そしてあすははやい。だが、と、またかんがえる。ねぬれるのだろうか、と。

催眠をさまたげるほどのうるささではない。きみがねむれぬのはひろりぼっちだからだ。きのうもおとといもひとりだった。だから、あすもあさってもひとりだろう。そんなことはわかりきったことだ。うまれてからしぬまで、これまでずっとそうだったし、これからもずっとそうだ。
わかりきったことをふとおもいだしてしまったのは、きっとまつりのせいだろう。その喧騒が孤独をいやおうもなく意識させるのだ。

ここまでは所与の案件だ。
ここからさき、これからどうふるまうかが、きみのゲームさ。

やどをで、まつりのばにいくのもいい。そこでなにがしかのさけをのむのもよい。
もしかしたら、一夜のこいにありつけるかもしれない。それとも、おもいのほかにのみすぎて騒動の火種になるやもしれぬ。
もちろん、その当事者ではない場合もありうるだろう。つまりはそのばにでくわす野次馬のひとりだ。そっちのほうが可能性はたかい。そして、おもいもよらぬとばっちりをうけるのだ。

なにをしてもいい。なにもしなくてもいい。
きみにあたえられたやくは一介の旅行客。どうふるまおうとも、このむらはそうやってきみをうけとめ、そうやってきみをおくりだしていく。

ねすごして滞在日がのびても文句もいうまい。

しかし、まかりまちがってここにすもうとしたら、それは事件だ。そこにどんな理由があろうと、むらはけっしてだまってはいまい。

とばっちりの結果、おんなをつれてにげるのはいいだろう。しかし、そのおんなの許嫁となってすみつこうものなら、容赦はしないのだ。

きみが今夜うけいれられるのは、よそものだから、その一語につきる。

[the text inspired from the song "Zamba" from the album "Bete Noire" by Bryan Ferry]

images
the single for the song "Zamba" by Bryan Ferry

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