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2019.05.19.08.33

"AT THE SOUND OF THE BELL" by PAVLOV'S DOG

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世評に名高いのは前作、彼等のファースト・アルバム『禁じられた掟 (Pampered Menial)』 [1975年発表] である。なかでも、その冒頭に収録されている楽曲『ジュリア (Julia)』が最も人気がある。
と、謂うか煎じ詰めると、この楽曲がその作品の価値、その後の作品の評価、そして彼等の人気を決定している。つまり、名曲『ジュリア (Julia)』こそパヴロフス・ドッグ (Pavlov's Dog) なのである。

ジークフリード・カーヴァー (Siegfried Carver) の、ヴァイオリン (Violin) をフィーチャーしたドラマチックな構成、そしてその上を駆け巡るかの様な、デヴィッド・サーカンプ (David Surkamp) の歌唱。しかもその声は終始、微細なヴィヴラートがかけられており、その楽曲の主題である女性ジュリア (Julia) への様々な感情がそこに込められている様に聴こえるのだ。

その曲だけとっても、否、その作品全体を聴いたとしても、とてもミズーリー州 (State Of Missouri) 出身のバンドとは想えない。どう聴いても英国出身のバンド、プログレッシブ・ロック (Progressive Rock) と呼ばれる音楽に近く、しかし、仮にそれだとしても、当時の同水準のバンドと比較しても、独自の魅力を放っている。
勿論、当時のそしてその後に登場するどの米国出身のプログレッシブ・バンド (American Progressive Rock) と比較しても、ありあまるオリジナリティだ。

このバンドの名称だけは、音楽を自覚的に聴き始めた当初から知っていた様に思う。ちょっと記憶しづらい語句、だが、その意味しているモノは既知のモノなのだから。
1902年、イワン・パブロフ (Ivan Pavlov) によって行われた条件反射 (Conditioned Response) の実験、そしてその結果、その現象の代名詞ともなった語句、パブロフの犬 (Pavlov's Dog) だ。
その名を冠するバンドの自虐的な発露 [ぶっちゃけた話、餌付けされた犬 (Feeded Dog) って意味だからね、猛犬 (Fierce Dog) とは真逆の] とは別のところで、知的好奇心ばかりが先行する10代の少年にとっては、とても記憶されやすい名称なのである。

そして、そのバンドをもう少し意識させてくれたのが、本作『条件反射 (At The Sound Of The Bell)』 [1976年発表] の数曲で演奏しているドラマー、ビル・ブルーフォード (Bill Bruford) の存在だ。
彼のディスコグラフィーから、このバンドを知ったのである。その頃、彼が正式メンバーとして参加していたキング・クリムゾン (King Crimson) は解散していた。その結果としての有能なセッション・ミュージシャンとして彼が幾つものバンド、幾つもの作品の制作に携わった時季の事である。
確か、雑誌『ロッキン・エフ (Rockin' F)』でのキング・クリムゾン (King Crimson) 特集ではなかったか。その雑誌は、バンドの活動とあわせてそのバンド・メンバーの個々の活動を網羅する連載があったのだから。本作はジャケット写真と合わせて紹介されていた筈だ。

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第1作『禁じられた掟 (Pampered Menial)』が、バンド名にちなんだ犬 (Dog)、条件反射 (Conditioned Response) の実験動物を描いた作品をフィーチャーしたヴィジュアルで、それに続く本作が鐘 (Bell)、その実験の素材をフィーチャーしたヴィジュアルだ。そしてバンドは続く第3作『セント・ルイスの猟犬 [サード] (Third)』 [1977年発表] の制作途中で解散してしまう。だから、ヴィジュアル・イメージの印象もあって、この2作がバンドの総てである印象を懐かしめる [ぼくが購入したのもこの2作をツー・イン・ワン (Two In One) した2枚組のCDなのである]。
バンドは1990年には再結成されて、現在でも活動は続いている。現在の音楽性は最初の2作とは異なるモノである。

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第1作に起用されている絵画は、エドウィン・ランドシーア (Edwin Landseer) による油彩画『下層階級 (Low Life)』 [1829年制作] である。バック・カヴァーにあるのはその作品と対になる油彩画『上流階級 (High Life)』 [1829年制作] が、フロント・カヴァー同様にモノクロ処理をされて掲載されている。

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本作のヴィジュアル・イメージはヴィクトル・ユーゴー (Victor Hugo) の小説『ノートルダム・ド・パリ (Notre-Dame de Paris)』 [1831年刊行] の主人公カジモド (Quasimodo) を模したモノである。と、謂うよりもその小説を原作とする映画『ノートルダムのせむし男 (The Hunchback Of Notre-Dame)』 [ウォーレス・ワースリー (Wallace Worsley) 監督作品 1923年制作] と、そこに主演した俳優ロン・チェイニー (Lon Chaney) である [上掲右の画像はこちらから]、と謂うべきなのだろうか。

そのヴィジュアル・イメージが期待させるのは、とても禍々しいモノ、異端であり異形である音楽だ。個人的には、ヴァージン・プルーンズ (Virgin Prunes) をどうしても想い起こしてしまうが、残念ながらそんな期待は見事にはぐらかされる。
繊細でナイーヴな表情の楽曲が幾つも続く。ジークフリード・カーヴァー (Siegfried Carver) のヴァイオリン (Violin) もない。この時点で既にバンドはなかば崩壊状態だったらしい。それ故か、前作の面影はみられない。だからと謂って、ビル・ブルーフォード (Bill Bruford) を起用した意味もあまりない。

まるで、本作のヴィジュアル・イメージとして起用された小説や映画の主人公カジモド (Quasimodo) が、その恐ろしげな異貌とは全く異なる繊細で純真な心情をもつ人物であったかの様な、そんな作品なのである。

ものづくし (click in the world!) 199. : "AT THE SOUND OF THE BELL" by PAVLOV'S DOG


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"At The Sound Of The Bell" by PAVLOV'S DOG

1. SHE CAME SHINING 4:18
(D. Surkamp - D. Rayburn)
2. STANDING HERE WITH YOU (MEGAN'S SONG) 3:51
(D. Surkamp)
3. MERSEY 3:05
(D. Surkamp - S. Scorfina)
4. VALKERIE 5;23
(D. Surkamp)
5. TRY TO HANG ON 2:08
(D. Surkamp)
6. *GOLD NUGGETS 3;27
(D. Surkamp)
7.SHE BREAKS LIKE A MORNING SKY
2:27
(D. Surkamp - D. Rayburn)
8. EARLY MORNING ON 3:11
(D. Surkamp - D. Rayburn)
9. *DID YOU SEE HIM CRY 5;38
(D. Surkamp - D. Rayburn)
Ron Powell Music Ltd.
BIEM / STEMRA

ALL SONGS COMPOSED BY PAVLOV'S DOG
ALL SONGS PUBLISHED BYRON POWELL MUSIC LTD. / ASCAP
RECORDED AT TTHE RECORD PLANT / N.Y.C.
MIXED AT RAMPORT STUDIOS LONDON, ENGLAND
ENGINEER : THE AMAZING JOHN JANSEN
ASST. RCORDING ENGINEER : SAM GINSBERG
ASST. MIXING ENGINEER : WILL REID DICK

SPECIAL THANKS TO : JONATHAN COFFINO, PATRICIA CONNORS, JACK CRAIGO, GENE DENONOVICH, E.G. PRODUCTIONS, RON ELZ, BILL FRESTON, KAREN HEINKEL, BRUCE LUNDVALL, INA MEIBACH, TERRY PARKER, BETTY POWELL, GWEN SCORFINA AND KAREN STICHL

ALSO TO :
MAX BELL, ROBERT DUNCAN, BOB MOORE, AND DICK RICHMOND BECAUSE THE PEN IS MIGHTIER THAN THE SWORD ...

SPECIAL THANKS AND LOVE TO MARK SPECTOR

MANAGEMENT : Ron Powell

DAVID SURKAMP - VOICE, ACOUSTIC AND VELENO GUITARS
DOUGLAS RAYBURN - MELLOTRON, BASS, AND PERCUSSION
STEPHEN SCORFINA - LEAD GUITAR
DAVID HAMILTON - KEYBOARDS
RICHARD STOCKTON - FENDER BASS
THOMAS NICKESON - ACOUSTIC GUITAR AND HARMONIES

GUEST ARTISTS :
WILLIAM BRUFORD - DRUMS
MIKE ABENE - ORGAN
MICHAEL BRECKER - SAX
GEORGE GERICH - ORGAN
HIGH WYCOMBE BOYS CHOIR - VOCALS
ANDY MACKAY - SAX
MOUNTAIN FJORD ORCHESTRA - STRINGS
LES NICOL - GUITAR
PAUL PRESTOPINO - MANDORIN
ELLIOT RANDALL - GUITAR
GAVYN WRIGHT - VIOLIN

ANDY MACKAY APPEARS THROUGH THE COURTESY OF ATLANTIC RECORDS

MICHAEL BRECKER APPEARS THROUGH THE COURTESY OF ARISTA RECORDS

DESIGN : JOHN BERG / ANDY ENGEL
PHOTOGRAPHY : JERRY ABRAMOWITZ
MAKE UP : BOB O'BRADOVICH

PRODUCED BY MURRAY KRUGMAN AND SANDY PEARLMAN FOR LONGSHOT PRODUCTIONS , LTD.

(P) 1976 CBS Inc,.
(C) CBS Recording Inc. / CBS & CBS
(R) CBS Inc,. / Distribution CBS Records


ぼくが所有している輸入盤CDは、前作『禁じられた掟 (Pampered Menial)』 [1975年発表]とのツー・イン・ワン (Two In One) である。その中から本作に関するクレジット部分のみを抜き書きした。
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