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2008.11.16.00.01

『クワイエット・ライフ(QUIET LIFE)』 by ジャパン(JAPAN)

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彼らが遺したオリジナル・スタジオ・レコーディング作を、発表順に並べてみると、その五作品の真ん中に位置するのが、ここに紹介する作品。1980年発表の第三作『クワイエット・ライフ(Quiet Life)』である。つまり、彼らの歩んだ途の中間地点にあると同時に、結節点となる作品なのだ。

今でこそ、個々のメンバーの活躍や作品群から、きちんとした音楽的評価が成されているとは、思うのだけれども。
それにしても深夜偶々観たアニメ『MONSTER』[原作:浦沢直樹(Naoki Urasawa)]のエンディングデヴィちゃんことデヴィッド・シルヴィアン(David Sylvian)のヴォーカルを聴ける時代が来るとは思わなかったが...。

彼らの登場時は、毀誉褒貶(Praise Or Censure)凄まじいものがあった。
デヴュー時のあの時代遅れのグラマラスなヴィジュアルと、ジャパン(Japan)というネーミング。あまりにもあからさまに日本の音楽市場を意識したものにしか観えなかったのだ。つまり、ベイ・シティ・ローラーズ(Bay City Rollers)~クイーン(Queen)に次ぐアイドルとしての位置づけである。
実際に僕自身の周囲の人々、洋楽を聴き続けていた同級生達のリアクションは、様々なものがあったが、それは女子と男子であまりにも異なるものだったよと、書いて誤摩化してしまおう。

まぁ、そんなヴィジュアルやバンドのネーミングといった外的要因を覗いて、純粋に彼らの音楽に向き合う事にしましょう。

彼らのデヴュー・アルバム『果てしなき反抗(Adolescent Sex)』やそれに続く『苦悩の旋律(Obscure Alternatives)』を今の耳で聴いても、実は後期の彼らのそれとは何ら遜色はない、実は。
ねっとりと絡み付くデヴィちゃんことデヴィッド・シルヴィアン(David Sylvian)のヴォーカルとそれを支える骨太のリズム・セクションが織りなすビートは、英国ロック(British Rock)の伝統的な系譜に位置すると、言えなくもない。
1960年代リズム・アンド・ブルース(Rhythm & Blues)から始って、彼らの直前にあったグラム・ロック(Glam Rock)の潮流の中にも息づいた、黒人音楽を独特の世界観で示すという方法論を、そのまま受け継いでいるのだ。
しかし、彼らが登場したのは1978年。パンク(Punk)以降の音楽を英国中が模索している時だったから、一歩間違えるとそのまま、時代錯誤のレッテルを貼られて埋没してしまったかもしれない。
[それを救ったのが日本の少女達だった...という話は、ここでは書きません]

そして、そこからの脱却を謀った第一歩が、シングル『ライフ・イン・トウキョウ(Life In Tokyo)』[『シングルズ(Singles)』収録]の制作だった。ここで、彼らは当時一世を風靡していたプロデューサー、ジョルジオ・モロダー(Giorgio Moroder)を抜擢して、異形のディスコ・ナンバーに挑戦する。
ここでの成果は如何なるものか、それは未だに僕には解らない。と、いうのは、彼らはここで得た新しい可能性を斬り捨てて、次なるアプローチを開始するのだ[この路線は後にソフト・セル(Soft Cell)がそくりそのまま踏襲して大ブレイクするんだけれどもね]。
それが本作『クワイエット・ライフ(Quiet Life)』である。

これまでのロック的なダイナミズムやイデオムを象徴する「ワイルド(Wild)」に否定的な眼差しを差し向ける「クワイエット(Quiet)」というタームはなにやら意味深だけれども、それ以上に魅惑的なのは、「ハローウィーン(Halloween)」から「オール・トゥモローズ・パーティーズ(All Tomorrows Parties)」へかけての流れの中で、彼らが問いかけているものである。
夜の闇と闇の中の祝祭をテーマに掲げる前者に続いて流れる後者は、宴の後の哀しさや寂しさ。前曲で「ハロウィンが終われば誰かが待っている(Somebody waits for me / Far beyond our halloween)」と唄われるその後を継いで後曲では「哀れな道化師に戻った彼女は扉の向こうで泣いている(She'll turn once more to Sunday's clown / And cry behind the door)」のだ。
つまり、孤独(Solitude)なのである。その後の彼らの音楽性から観れば、メルヘンチック少女趣味の域を出ないにしても。
[そしてそのメルヘンチック少女趣味に真っ先に感応したのが日本の少女だった、という話もここでは書きません]

この作品での成果と坂本龍一(Ryuichi Sakamoto)等の新しい音楽の才能との交流を踏まえて、続く『孤独な影(Gentlemen Take Polaroids)』、名盤の誉れ高い『錻力の太鼓(Tin Drum)』へと深化を遂げてゆくのである。
と、いうのが一般的な音楽ファンの認識である。
であるのだけれども、彼らの解散ライヴを記録した『オイル・オン・キャンヴァス(Oil On Canvas)』での、ライヴ演奏とは名ばかりの熱狂や陶酔とは無縁の音楽よりも、この作品で聴ける、ちょっと先へと急いでしまっているかの様な若さの方が愛おしいのだ、僕は。

ものづくし(click in the world!)74.:
『クワイエット・ライフ(QUIET LIFE)』 by ジャパン(JAPAN)


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クワイエット・ライフ(Quiet Life)』by ジャパン(JAPAN)

SIDE- 1
1 クワイエット・ライフ
 QUIET LIFE (4:51)
2 フォール・イン・ラブ・ウィズ・ミー
 FALL IN LOVE WITH ME (4:34)
3 絶望
 DESPAIR (6:00)
4 イン・ヴォウグ
 IN - VOGUE (6:35)

SIDE- 2
1 ハローウィーン
 HALLOWEEN (4:25)
2 オール・トゥモローズ・パーティーズ
 ALL TOMORROWS PARTIES * (5:42)
3 異国人
 ALIEN (5:01)
4 ジ・アザー・サイド・オブ・ライフ
 THE OTHER SIDE OF LIFE (7:27)

DAVID SYLVIAN : vocals, Occasional guitar, MICK KARN : Bass, Saxphones, STEVE JANSEN : Drums,Percussion, RICHARD BARBIERI : Synthesisers, Keyboards, ROB DEAN : guitars. Produced by John Punter. Recorded at Air Studios, London. Engineered by Colin Fairley, Assisted by Jon Jacobs Jnr. Mixed by John Punter(except * Recorded at DJM Studios, London. engineered by Keith Bessey, produced by Simon Napier Bell and Japan, remixed by John Punter).Backing vocals by David Sylvian and Mick Karn. Saxphones arranged by Mick Karn. Orchestral arrangements by Ann O'Dell. Conducted by Martyn Ford. All songs written and composed by David Sylvian, except * Lou Reed. Arranged by Japan. All songs published by Chadwick Nomis Ltd., except * Sunbury Music Ltd.

Cover concept and photography by Fin Costello.

MADE IN JAPAN BY VICTOR MUSICAL INDUSTRIES, INC. LICENSED BY HANSA PRODUCTIONS LTD., ENGLAND

僕の持っている国内盤LPは、解説を伊藤政則(MASA - ITO)が、訳詞をA.T.が担当しています。
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