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2019.04.21.08.19

『ダンス (Dance)』 by ゲイリー・ニューマン (Gary Numan)

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本作を購入した第一の理由は恐らく、ミック・カーン (Mick Karn) が参加していたからだ。1981年当時、彼が在籍していたバンド、ジャパン (Japan) はまだ存在しており、そのバンド以外での彼の演奏を聴けるのは、もしかしたらこの作品が最初で、もしかしたら唯一のモノだったのかもしれない。

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本作の主人公、ゲイリー・ニューマン (Gary Numan) の作品は、ぼくの手許に3作品ある。チューブウェイ・アーミー (Tubeway Army) 名義の最初の作品『チューブウェイ・アーミー (Tubeway Army)』 [1978年発表] とソロ名義の第2作『テレコン (Telekon)』 [1980年発表]、そして1981年発表の次作である本作である。

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彼が注目を浴びると同時に、彼の人気の絶頂期であるふたつの作品、すなわちチューブウェイ・アーミー (Tubeway Army) 名義の第2作『幻想アンドロイド (Replicas)』 [1979年発表] とソロ名義の第1作『エレクトリック・ショック (The Pleasure Principle)』 [1979年発表] は所有もしていなければ、購入した事もない。
それは、ぼくの周辺の誰かしらが購入していたからである。当時のぼくと音楽に関する会話が成立する数少ない友人達のあいだにも、彼の人気と評価は充分な存在感があったのだ。
ぼくの周辺ばかりではない。当時、毎日の様に入り浸っていたレコード店では、アルバム『エレクトリック・ショック (The Pleasure Principle)』はポスター付きで販売されていた筈だ。ポスター付きと謂うその扱いは洋楽に於いては、新たに登場したアイドルとしてのそれと同等だ。

彼の存在とその音楽を知ったのは、FMラジオ番組『サウンドストリート (Sound Street)』 [19781987NHK-FM放送] でディスク・ジョッキー (DJ : Disk Jockey) の渋谷陽一 (Yoichi Shibuya) が紹介してくれたからだ。ベガーズ・バンケット・レコード (A Beggars Banquet Recording) と謂う無名のレーベルから登場した無名のバンドが人気を博している、と謂う様な枕詞で、だ。それがチューブウェイ・アーミー (Tubeway Army) と謂うバンド名を知った最初だ。
そんな情報に導かれて聴く事の出来た音楽は、決して斬新にも先鋭的にも聴こえてこなかった。あるとしたら妙な温感で、それは緩く、微妙ななまあたたかさだった。

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チューブウェイ・アーミー (Tubeway Army) はその存在を知った直後に解散し、そのバンドと殆ど同等視されていた、そのバンドのリーダーであるゲイリー・ニューマン (Gary Numan) はソロ活動へと移行する。と、謂うよりも、チューブウェイ・アーミー (Tubeway Army) と謂う名義を捨て、個人名義となって活動を始めたとみるべきなのだろう。音楽的には、バンドでのそれとソロでのそれと殆ど変わりはない。[チューブウェイ・アーミー (Tubeway Army) のデヴュー作『チューブウェイ・アーミー (Tubeway Army)』 はこの間隙を縫って再発売されたモノである。上掲にあるのは、オリジナル盤のヴィジュアルである。]

日本での評価と人気が上昇するのは、このときあたりからだ。それには雑誌『ロッキング・オン (Rockin'On)』 [1972年創刊] と四本淑三 (Toshimi Yotsumoto) がおおきく関わっていると思う。つまり、その雑誌に寄稿する彼の記事から、ゲイリー・ニューマン (Gary Numan) は高く評される様になったのだ。それは、チープ・トリック (Cheap Trick) と謂うバンドが世界的に成功する最初の一因が、渋谷陽一 (Yoichi Shibuya) の高評価に起因するのと同等のモノだった様にも思える。

その雑誌で読める四本淑三 (Toshimi Yotsumoto) の文章は確かに面白かった。だが、どこが面白いのだろうと自問しても、確かな事を指摘出来ない。
彼の綴る文章があったからこそ、ゲイリー・ニューマン (Gary Numan) の存在感を認知できたのだが、では彼の文章のどこにそんな説得力があるのか、明言出来ない。
そんな事を未だに憶えているのは当時、その雑誌のバック・ナンバーを読み返した事があったからだ。
彼の音楽を丹念に丁寧に読んでいけば理解できそうな事象ばかりがそこに綴られていたと、憶えている。

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当時のぼくがゲイリー・ニューマン (Gary Numan) を聴くのは、楽になるからだ。
嫌なこと、やりたくないこと、それは放棄してもいい。単純にそう思えたからだ。
エレクトリック・フレンズ (Are 'Friends' Electric?)」と問い「ミー・アイ・ディスコネクト・フロム・ユー (Me! I Disconnect From You)」、そう明言すればいい [いずれの曲ともにアルバム『幻想アンドロイド (Replicas)』収録]。
だれかと時間や場所を共有するのが嫌ならば、ひとりである事を選べばいい。例えば、楽曲『カーズ (Cars)』 [アルバム『エレクトリック・ショック (The Pleasure Principle)』収録] の様にだ。
孤独や孤立は決してわるい事ではない。
そんな認識を得たのだ。

但し、そんなメッセージを発していたのは彼ばかりではない。音楽と謂うモノを自覚的に聴く様になってから、既に数多くの人物達から、数多くの楽曲や作品の中に、そんなことばやそれを前提とする姿勢、態度は潜んでいた。
チューブウェイ・アーミー (Tubeway Army) 〜ゲイリー・ニューマン (Gary Numan) は、それをあらためて再認識させてくれたに過ぎない。

問題となるのは、その結果として入手してしまう自己矛盾だ。
本来ならば、そんな発言を発し、そんな意識や態度を表明してしまえば、その後に待っているのは沈黙だけでしかない。極端にいえば、自死が待っているだけだ。
にも関わらずに、そこからさらに創作も続けていけば、活動も続けていく。つまり、生存はその後もしていくのだ。
そんな矛盾を止揚していく事、あがく事が、態度表明の後に待っている。

ゲイリー・ニューマン (Gary Numan) と謂うアーティストは、そんな使命を担ってしまった人物なのかもしれない。
いや、数多くのアーティスト達には、そんな使命を委ねられたモノ達は決して少なくはないの。だが、そんな彼等のその殆どは巧妙にその使命からすり抜けてしまったのだ。
その点から謂えば、ゲイリー・ニューマン (Gary Numan) は不器用この上ない。

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ソロ名義の第2作『テレコン (Telekon)』 は、前作で体感出来た居心地の良さが姿を消して薄ら寒いばかりだ。その証左として冒頭の曲『ディス・レックエイジ (This Wreckage)』を引っ張り出してもいい。コーラス部では日本語で「別れよう (Wakareyo)」と唄われている。
しかも、その作品に先行して発表された楽曲『ガラスのヒーロー (We Are Glass)』 [1980年発表] は未収録なのだ。
言葉尻だけを捉えれば、決別の辞としてその作品を聴く事も出来る。

にも関わらずに発表されたのが本作である。
ミック・カーン (Mick Karn) の演奏するフレットレス・ベース (Fretless Bass) に代表される様に、音楽的にはこれまでにもない企てが随所に試みられている。
ミック・カーン (Mick Karn) の参加は本作のみだが、フレットレス・ベース (Fretless Bass) の存在感と質感は、これ以降もまだ数作、聴く事が出来る。

ものづくし (click in the world!) 198. : 『ダンス (Dance)』 by ゲイリー・ニューマン (Gary Numan)


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ダンス (Dance)
by ゲイリー・ニューマン (Gary Numan)

Side 1
1. スローカー・トゥ・チャイナ (9:03)
SLOWCAR TO CHINA
GARY NUMAN : Vocals, Polymoog, Prophet 5, Roland JP 4, CP30, Claptrap, Percussion, CR78. CHRIS PAYNE : Violas. MICK KARN : Bass. TIM STEGGLES : Percussion.

2. ナイト・トーク (4:25)
NIGHT TALK
GARY NUMAN : Vocals, Odyssey, Bass, LM.1 Drum Computer. PAUL GARDINER : Guitar, Odyssey. SEAN LYNCH : LM.1 Operation.

3. ア・サブウェイ・コールド・”ユー” (4:37)
SUBWAY CALLED "YOU"
GARY NUMAN : Vocals, Polymoog, Odyssey, Roland JP 4, CP30, Piano, Percussion, CR78. CEDRIC SHARPLEY : Drums. CHRIS PAYNE : Violas. MICK KARN : Bass, Saxophones.

4. クライ、ザ・クロック・セッド (9:55)
CRY, THE CLOCK SAID
GARY NUMAN : Vocals, Odyssey, Roland JP 4, CP30. NASH THE SLASH : Violins. JP 4 Operated by JOHN WEBB.

Side 2
1. シーズ・ゴッド・クロウズ (4:54)
SHE'S GOT CLAWS
GARY NUMAN : Vocals, Odyssey, Prophet 5, Roland JP 4, Piano, CR78. CEDRIC SHARPLEY : Drums. CHRIS PAYNE : Violas. MICK KARN : Bass, Saxophones. JOHN WEBB : Handclaps.

2. クラッシュ (3:35)
CRASH
GARY NUMAN : Vocals, Guitar, Odyssey, Prophet 5, Claptrap, Claves, Handclaps. ROGER TAYLOR : Drums.

3. ボーイズ・ライク・ミー (4:14)
BOYS LIKE ME
GARY NUMAN : Vocals, Odyssey, Prophet 5, Piano, LM.1 Drum Computer. MICK KARN : Bass. ROB DEAN : Guitars. CONNIE FILAPELLO : Voice.

4. ストーリーズ (3:08)
STORIES
GARY NUMAN : Vocals, Prophet 5, CR78. ROGER MASON : Prophet 5, CP30. MICK PRAGUE : Bass.

5. マイ・ブラザーズ・タイム (4:36)
MY BROTHERS TIME
GARY NUMAN : Vocals, Piano, Claves. JOHN WEBB : LM.1 Computer. MICK KARN : Bass, Saxophone.

6. ユー・アー、ユー・アー (4:00)
YOU ARE, YOU ARE
GARY NUMAN : Vocals, Guitar, Roland JP 4, Claptrap. ROGER TAYLOR : Drums. NASH THE SLASH : Violins.

7. モラル (4:31)
MORAL
GARY NUMAN : Vocals, Guitar, Odyssey, Prophet 5, Roland JP 4, Claves, CR78. ROGER TAYLOR : Tom Toms. NASH THE SLASH : Violins. JESS LIDYARD : Drums.

MUSIC ANS LYRICS : NUMAN.
Except Night Talk.
MUSIC : GARDINER / NUMAN. LYRICS : NUMAN.

PRODUCED BY GARY NUMAN
ENGINEERED BY NICK SMITH
ASSISTED BY SEAN LYNCH, JULIET BOWEN
MASTERED BY STEVE ROOKE STRAWBERRY MASTERING, LONDON
PHOTOGRAPHS : GEOFF HOWES
MAKE UP : RICHARD SHARAH
CLOTHES : KENNY
P.S. THANKS TO ALAN WILD, STEVE ARCH, MICK BULLOCK & ALAN MORRISON (A BIT LATE I'M AFRAID)

ROB DEAN exJJapan Virgin
CEDRIC SHARPLEY Dramatis Rocket
MICK KARN Japan Virgin
ROGER TAYLOR EMI
NASH THE SLASH Dindisc

ROB DEAN appears courtesy of Virgin Records

MY THANKS AS ALWAYS TO EVERYONE INVOLVED IN MAKING THIS ALBUM, AND TO ROGER TAYLOR FOR 'THE AIRMAN'. - GARY NUMAN

(P) 1981 A Beggars Banquet Recording

ぼくが所有している国内盤LPには、山田道成 (MICHINARI YAMADA [MY])の解説 [81. 8.26.付]と、渡辺淳の歌詞対訳が封入されている。
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