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2019.01.29.08.54

うるとらきゅーざむーびーほしのでんせつ

TV番組『ウルトラQ (Ultra Q)』 [1966TBSテレビ系列放映] には魅力的な怪獣 (Kaiju) が幾匹も登場するが、この作品群は決して怪獣 (Kaiju) が主人公の物語ではない。

映画『ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説 (Ultra Q The Movie : Legend Of The Stars)』 実相寺昭雄 (Akio Jissoji) 監督作品 1990年制作] は、劇場公開時には未見である。つい最近、ユーチューブ (YouTube) で観た。削除されていなければこちらで体験出来る筈だ。

何故、劇場に向かわなかったのだろうと、その当時のぼくを憶い起こしてみる。
記憶にあるのはこんな光景だ。

ぼくはその夜、タクシーに乗っている。深夜と謂うよりももう早朝と呼んでも差し支えない時間だ。これから、家に帰るのだ。新宿 (Shinjuku) 界隈を走るくるまの窓から封切り映画の巨大パネルが並んでいるのがみえる。そのひとつに、この映画もあった。蠱惑的な書体で彩られた作品名の下に、闇夜に巨大な怪獣 (Kaiju) が浮かび上がっている。その下方には、主要登場人物と思わしき男女3名が立ちすくんでいる。その場から一瞬のうちにはしりさる車内のぼくはとても怪訝な顔をしている。果たしてそんな画像が、"ウルトラQ (Ultra Q)"と謂う呼称に相応しいのだろうか、と思っているのだ。

当時のぼくには、それがほぼ毎日の生活だった。毎日の業務は深夜11時をまわっても終わらず、その時点である決断を下さなければならない。いま、ここで見切り総てを放り投げて混雑する終電で帰宅するか、それとも、やるべき事ないしは出来る事を総てやり終えてから、タクシーで帰宅するか。但し、その場合、くるまをひろえるのは3時を過ぎてからだ。それまではどのタクシー乗り場はどこも行列を成し、相当に無駄な時間をその為に費やしてしまう。極端な話、始発に乗って帰宅した方が、無駄な時間は少ないのかもしれない。
バブル時代 (Bubble Economy Period) と謂う時代は、ぼくにとってはそおゆう季節だったのである。

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映画『ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説 (Ultra Q The Movie : Legend Of The Stars)』 [上掲画像はこちらから] は、そんな時代風潮への軽やかな否定のまなざしから始まる。
そんな世の中の喧騒に背を向けるかの様な、古代史を追うTVディレクターが取材中に失踪を遂げるのである。そして、その彼の行方を追う同僚達が、その背後にある謎に遭遇するのだ。

物語の構造は、還るべきモノとその人物が還る事を望まむモノとの齟齬である。と、同時に、その人物の望みを叶えようとするモノも、真意が理解できすに結果的にそれを阻害してしまう。

脚本は佐々木守 (Mamoru Sasaki) で、本作品の監督実相寺昭雄 (Akio Jissoji) と組んで語られる物語は、本作の前に幾つも同様の主題をみてとれる。TV番組『ウルトラマン (Ultraman)』 [19661967TBSテレビ系列放映] での第34話『空の贈り物 (A Gift From The Sky)』 [特技監督:高野宏一] と第35話 『怪獣墓場 (The Monster Graveyard)』 [特技監督:高野宏一] を想い出してもいいだろう [このふたつの物語の構造を逆転すれば還ってきたモノの物語としての第23話『故郷は地球 (My Home Is The Earth)』 [特技監督:高野宏一] がある]。
このふたつの挿話の、還るべきモノはどちらも怪獣 (Kaiju) であり、我々に世界では決して同棲が許されない存在である。しかし、その還るべきモノが我々にとって必須の存在であったのならば、果たして、どの様な物語が描かれるべきなのか。本作品はそれを実証しようと看做す事も出来る。

そして、その模索のなかで、立場の異なる人物達の逢瀬があり、そこに信頼とか友情とか呼べるモノとは微妙に異なるこころの交歓が行われる。
ぼくが想い出すのは、TV番組『怪奇大作戦 (Operation : Mystery!)』  [19681969TBSテレビ系列放映] の第25話』『京都買います (I'll Buy Kyoto)』 [特技監督:大木淳] である。

そんな様々な感情が錯綜する物語を、実相寺昭雄 (Akio Jissoji) 監督ならではの映像美で綴っていく。

ぼくが車内からみた巨大パネルに登場する怪獣 (Kaiju)、古代神獣 薙羅 (Ancient God-beast Nagira) は、こころの交歓がなされた結果に結ばれたある約束が、おもわぬかたちで反故となった矢先に登場する。謂わば、約束不履行を盾にとって、あるいは、報復の意図をもって、登場するのである。

だが、この物語に古代神獣 薙羅 (Ancient God-beast Nagira) が不可欠な要素であるかと問えば、決してそうではない様に、ぼくには思える。
報復の手段は、必ずしも、怪獣 (Kaiju) を必要とはしない。また、仮に怪獣 (Kaiju) が必須の存在であるのならば、その破壊活動はもっと徹底して描かれるべきである。

次回は「」。

附記 1.:
TV番組『ウルトラQ (Ultra Q)』の主要3人物のひとり、江戸川由利子 (Yuriko Edogawa) [演:桜井浩子 (Hiroko Sakurai)] は新聞社の記者である。遺る2人、万城目淳 (Jun Manjome) [演:佐原健二 (Kenji Sahara)] と戸川一平 (Ippei Togawa) [演:西條康彦 (Yasuhiko Saijo)] は航空会社のパイロットであり、彼等は彼女の命を受けて、彼女とともに現場へ向かう。
本作での同名の主要人物3人はTV局の制作スタッフであり、万城目淳 (Jun Manjome) [演:柴俊夫 (Toshio Shiba)] が、戸川一平 (Ippei Togawa) [演:風見しんご (Shingo Kazami)] と江戸川由利子 (Yuriko Edogawa) [演:荻野目慶子 (Keiko Oginome)] の上司と謂う位置関係になる。
時代の趨勢として、新聞社からTV局への変更は妥当であろうと考えられるが、江戸川由利子 (Yuriko Edogawa) と万城目淳 (Jun Manjome) の関係が、TV番組では対等であった筈のモノが、映画では純粋に上下関係へと転じている。つまり、相対的に江戸川由利子 (Yuriko Edogawa) の存在感がちいさくなっているのである。
本作品が万城目淳 (Jun Manjome) を実質的な主役とする必要があるのは、物語を追っていけば自明なのだが、江戸川由利子 (Yuriko Edogawa) の存在感の軽さはすこし残念な気がする [尤も、物語の行方を決定する大事な行動を彼女は行ってしまうのではあるが]。

附記 2.:
上掲ポスターにある様に、空山基 (Hajime Sorayama) ばりの [いや、空山基 (Hajime Sorayama) 本人の作画かもしれないが確認できなかった] エロティックな肢体をもった宇宙人を想像出来るのならば、本作品に登場するワダツジン (Wadatuzin) の造形も、もうすこしなんとかならなかったかなぁと思いもする。
個人的にはマンガ『新今昔物語 鵺 (Nue - Shin Konjaku Monogatari)』 [作:花輪和一 (Kazuichi Hanawa) 1982年刊行] の表題作に登場する様な。
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