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2019.01.15.12.56

ぽせいどんあどべんちゃー

その作品の成功を受けて制作された映画『タワーリング・インフェルノ (The Towering Inferno)』 [ジョン・ギラーミン (John Guillermin) 監督作品 1974年制作] は劇場公開時に体験したが、この拙稿の主題である映画『ポセイドン・アドベンチャー (The Poseidon Adventure)』 [ロナルド・ニーム (Ronald Neame) 監督作品 1972年制作] を初めて観たのは後年、TV放映時だった。
その所為か、些か屈折した視点でその映画を観ている様な気がする。

imgaes
その映画の劇場公開時でのポスター [上掲画像は上掲画像はこちらから] を今、観てみると、面白い事に気づく。
最上部に次の様な惹句が書かれている。
「20世紀FOX映画が<トラ・トラ・トラ!>に続いて放つ73年最大の感動巨編!」
勿論、間違った事がそこにあるのではない。
その映画と対比する作品が、真珠湾攻撃 (Attack On Pearl Harbor) [1941年] を主題とする映画『トラ・トラ・トラ! (Tora! Tora! Tora!)』 [リチャード・フライシャー (Richard Fleischer)、舛田利雄 (Toshio Masuda)、 深作欣二 (Kinji Fukasaku) 監督作品 1970年制作] であるところが面白いのだ。
つまり、後に世を席巻するパニック映画 (Disaster Film) と謂う区分けはまだ存在しておらず、この映画がそのジャンルの嚆矢となったと謂う事が如実に解るのだ。
と、同時にそれと比肩し得るのが戦争映画 (War Film) である、と謂う事なのである。
そのポスター下部には、物語の主要人物の肖像が対等に横一列で並んでいる。そのキャスティングの紹介方法は、映画『トラ・トラ・トラ! (Tora! Tora! Tora!)』での開戦時に於ける日米双方の主要人物を配したそれにそっくりそのまま準じている [こちら等を参照]。
と、同時に、その上部にあるイラスト、転倒した祝賀会場とそれを襲う大水から逃げ惑う人々の構図は、なんとなく、捕虜収容所から逃走を謀る映画『大脱走 (The Great Escape)』 [ジョン・スタージェス (John Sturges) 監督作品 1963年制作] のポスターの構図と似ていなくもない [こちら等を参照]。
そう想ってしまうと、パニック映画 (Disaster Film) と謂うジャンルが一体、どこから顕れたのかと謂う推測をも促してくれるのだ。
この映画に限らず、パニック映画 (Disaster Film) の殆どのポスターが同じ様な構図に収まっている。
パニック映画 (Disaster Film) で描かれる災厄の殆どはその原因が人災である事も、それによっているのだろう。勿論、映画『ポセイドン・アドベンチャー (The Poseidon Adventure)』の主題である遭難事故も、そうなのだ。

映画『ポセイドン・アドベンチャー (The Poseidon Adventure)』に於いて、その名が冠されている豪華客船ポセイドン号 (The SS Poseidon) が転覆し、あたかも驚天動地 (Earthshaking Event) の世界を現出せしめる様に、その客船の天地を転倒せしめたのは、恐らく、タイタニック号沈没事故 (Sinking Of The RMS Titanic) [1912年] と謂う事件が実際にあったからだ [勿論、それを主題として大ヒットした映画『タイタニック (Titanic)』 [ジェームズ・キャメロン (James Cameron) 監督作品 1997年制作] は後の作品であって、しかも似て非なる作品だ]。単純な豪華客船の遭難では恐らく耳目を集める事が出来ない。そんな制作サイドの発想が透けて観えてくる様だ。
それ以前にそもそも、タイタニック号沈没事故 (Sinking Of The RMS Titanic) を描いた映像作品はそれこそ無数にあるのだ。
ジェームズ・キャメロン (James Cameron) の映画とは同名ではあるが違う作品の、映画『タイタニック (Titanic)』 [ヘルベルト・ゼルピン (Herbert Selpin)、ヴェルナー・クリングラー (Werner Klingler) 監督作品 1943年制作] と謂う"先行作品"がある。この映画の中では、その遭難の起因のひとつに船舶の速度をおいている。映画『ポセイドン・アドベンチャー (The Poseidon Adventure)』でも、船舶の速度を巡る問題が提起されているのだ。もしかしたら、この"先行作品"での設定がその映画への大きなヒントになったのかもしれない。

冒頭に、映画『ポセイドン・アドベンチャー (The Poseidon Adventure)』の成功を受けて映画『タワーリング・インフェルノ (The Towering Inferno)』が制作されたと綴った。
物語の舞台である豪華客船を前後に90度傾けて垂直に据えてみれば、後者の舞台となる超高層ビルが顕れる。しかも、それだけではない。
前者の災害の主役が出水と出火である。登場人物達は、それらを回避して上層部 [とは謂っても転覆しているが故に、本来ならば最深部だ] を目指す。後者では、火災から避難する為に本来ならば地上へと降りていくべきところを行手を阻まれて最上階へと逃亡しなければならない。しかも、後者では徹頭徹尾、火災が描かれているべきである筈なのに、登場人物たちは物語の最終部に於いて膨大な出水に襲われるのだ。

映画『ポセイドン・アドベンチャー (The Poseidon Adventure)』で最も感動的な場面は、主要登場人物達の中で最も足手纏いであるかの様な体躯の女性、ベル・ローゼン (Belle Rosen) [演シェリー・ウィンタース (Shelley Winters)] の活躍とその結果迎えざるを得ない彼女の死である。
それをもって、物語の実質的な主人公フランク・スコット (Reverend Scott) [演:ジーン・ハックマン (Gene Hackman)] の内面に大きな変化がもたらされる。牧師 (Pastor) である彼の、異端とも謂える独自の教義の解釈が、ベル・ローゼン (Belle Rosen) [演シェリー・ウィンタース (Shelley Winters)] の死によっておおきく揺さぶられるのだ。そして、彼の"改心"を得て、彼と行動を共にした登場人物達は救済されるのである。
ぼくは映画『エクソシスト (The Exorcist)』 [ウィリアム・フリードキン (William Friedkin) 監督作品 1973年制作] での実質的な主人公デミアン・カラス神父 (Father Karras) [演:ジェイソン・ミラー (Jason Miller)] を想い出さずにはいられない。デミアン・カラス神父 (Father Karras) [演:ジェイソン・ミラー (Jason Miller)] は、神父 (Father) でありながらも精神科医 (Psychiatrist) でもあり、信仰と医学とのあいだで揺れ動いているのだ。その彼がリーガン・マクニール (Regan MacNeil) [演:リンダ・ブレア (Linda Blair)] と謂う少女を救い得たのも、自らの生死を賭して、非科学的な悪魔祓 (Exorcist) を行なったからなのである。

映画『ザ・グリード (Deep Rising)』 [スティーヴン・ソマーズ (Stephen Sommers) 監督作品 1998年制作] を観ていると、映画『ポセイドン・アドベンチャー (The Poseidon Adventure)』が彷彿とさせられるのだ。豪華客船で行われている祝賀会が一転、乗客殆どの生死が奪われる大惨事に襲われる。主題は、まったく異なるこの作品ではあるが、どこかに影がさしている様にも思われる。
つまりふたつの映画に共通する主題が、閉鎖された空間を襲う災厄からの逃避行と読めてしまうのだ。そう考えてしまうと、海洋を舞台とし、そこで勃発する災害を描いた映画作品群の殆どが、映画『ポセイドン・アドベンチャー (The Poseidon Adventure)』の末裔にも思えてしまう。
さらに謂えば、物語の舞台である閉鎖された空間を、宇宙空間まで敷衍させてしまうと、その映画の末裔は無尽蔵であるかの様にも想えてしまう。自らの意思で死地へと赴く映画『エイリアン2 (Aliens)』 [ジェームズ・キャメロン (James Cameron) 監督作品 1986年制作] はまるで異なる物語だが、同じシリーズの映画『エイリアン4 (Alien : Resurrection)』 [ジャン=ピエール・ジュネ (Jean-Pierre Jeunet) 監督作品 1997年制作] は死地からの逃走が主題であると謂う点から観れば、共通項も見出せそうな気がするのだ。

上で、映画『タイタニック (Titanic)』 [ジェームズ・キャメロン (James Cameron) 監督作品 1997年制作] は似て非なる作品と綴ったが、それには理由がある。物語の舞台は、船舶の遭難ではあるが、そこで語られるのは1組の男女の物語でしかない。映画『ポセイドン・アドベンチャー (The Poseidon Adventure)』が、映画『グランド・ホテル (Grand Hotel)』 [エドマンド・グールディング (Edmund Goulding) 監督作品 1932年制作] の系譜にも連なる群像劇であるのとそこが大きく違う。パニック映画 (Disaster Film) の殆どがそこに範を置いていて [そしてそれを最も徹底すると同時に最も成功しているのが映画『タワーリング・インフェルノ (The Towering Inferno)』であって]、だからこその戦争 (Metaphor) のメタファーにもなり得る。
とは謂うものの、映画『トラ・トラ・トラ! (Tora! Tora! Tora!)』と同じ真珠湾攻撃 (Attack On Pearl Harbor) [1941年] を描いた映画『パール・ハーバー (Pearl Harbor)』 [マイケル・ベイ (Michael Bay) 監督作品 2001年制作] は、まるで映画『タイタニック (Titanic)』 [ジェームズ・キャメロン (James Cameron) 監督作品 1997年制作] の様な物語だ。

この直前の段落で、映画『タワーリング・インフェルノ (The Towering Inferno)』を顕彰しているが、映画『ポセイドン・アドベンチャー (The Poseidon Adventure)』が、その映画よりも劣っている様にぼくに想えるのは、次の様な点である。
物語の主要登場人物達は、なんども行手を阻まれて、その都度、岐路に立たされる。進むのか、退くのか、二者択一である。しかし、その物語の殆どの場面に於いて、彼等が選んだ選択肢が絶対的に正しいのである。そしてそれを証明するかの様に、彼等と行動を共にしなかった人物達は総て、命を喪っている。

その点が、ぼくは最も納得がいかない。

次回は「」。
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