2018.12.16.08.33

映画は未見である。
作品の名義者として掲げられている2人のアーティスト達の、それぞれの単独作品も実は所有していない。
その2人について、ぼくが語れる事はごく僅かだ。

ボビー・ウーマック (Bobby Womack) の歌唱は、ザ・ローリング・ストーンズ (The Rolling Stones) の楽曲をブルース (Blues) 系のアーティスト達がカヴァーしたアルバム『ペイント・イット・ブルー~ソングス・オブ・ザ・ローリング・ストーン ( Paint It, Blue - Songs Of The Rolling Stones [This Ain't No Tribute])』 [1997年発表] として所有している。彼はその作品に於いて『イッツ・オール・オーヴァー・ナウ (It's All Over Now)』 [1964年発表 アルバム『ペイント・イット・ブルー~ソングス・オブ・ザ・ビッグ・ヒッツ [ハイ・タイド・アンド・グリーン・グラス] (Big Hits [High Tide And Green Grass])

J・J・ジョンソン (J. J. Johnson) は、カイ・ウィンディング (Kai Winding) との双頭コンボ、ジェイ・アンド・カイ (Jay And Kai) での活躍で知られていて、代表的な作品は幾つか聴いてはいるが、所有までには至っていない。ぼくの手許にある彼の演奏はマイルス・デイヴィス (Miles Davis) のアルバム『ウォーキン (Walkin')
それを回避する為にはぼくの場合は、この映画音楽作品を挙げれば良いのだろうか。
もう少し、重箱の隅をつつけば、彼等に関して記述出来る事が出てくるかもしれないが、そんな事ばかりを開陳しても、面白い記事になるのではない。
視点を変えよう。
ぼくにとっては、事の起こりはフランク・ザッパ (Frank Zappa) なのだった。


膨大な作品群〜楽曲群を遺した彼にとって、唯一、自身の手許に戻らなかった作品がある。映画『フランク・ザッパの200モーテルズ (200 Motels)』 [フランク・ザッパ (Frank Zappa)、トニー・パーマー (Tony Palmer) 監督作品 1971年制作] のサウンドトラック盤『200モーテルズ (200 Motels)
しかもその作品は、映像作品の為の音楽であると同時に、フロー・アンド・エディー (Flo And Eddie) ことマーク・ヴォルマン (Mark Volman) とハワード・ケイラン (Howard Kaylan) のヴォーカルをフィーチャーしたバンドに加えて、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 (Royal Philharmonic Orchestra) をも擁したその作品は、当時の彼の試みたい事柄の殆どに挑む事が出来た作品なのである。
ぼくの様に遅れてやってきたファンにとっても当時は、忸怩たる想いをさせられていた。
ところがある日、こんなニュースが飛び込んでくる。その作品を含む膨大な映画作品のカタログの発売権をライコディスク (Rykodisc) が手に入れたと謂うのだ。
ライコディスク (Rykodisc) と謂えば当時、埋もれた名作にも埋もれていない傑作にも、実に丁寧な作業を施して、CDとして再発する事に関しては定評があった。
フランク・ザッパ (Frank Zappa) 自身に、その権限が戻らないとしても、ライコディスク (Rykodisc) から発売されれば、それなりのクオリティが望めるのではないか、そんな期待をぼくに抱かせたのである。
以降、ライコディスク (Rykodisc) から発売される映画音楽作品を買い漁る時季がしばらく続く。勿論、そこから発売された『200モーテルズ (200 Motels)
観た事もない映画であろうと、聴いた事もない映画音楽作品であろうと、ほんのちょっとでもひっかかる部分があると購入していたのだ。
そして、その理由のひとつに発売される殆どの作品がCDエクストラ (Enhanced CD) として、本編である映画作品にちなんだ映像も収められていた点だ。
CDと謂うメディアの可能性すら追求している、そんな気にもさせられたのである。
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本作はそのなかのひとつ、映画『110番街交差点
ぼくが購入した理由は、ひとつにはこの作品がブラックスプロイテーション (Blaxploitation) のひとつである様に想えた事 [主演男優でありその映画の製作総指揮者 (Executive Producers) の1人であるアンソニー・クイン (Anthony Quinn) は映画ポスター等では、なぜか破格に小さく扱われている] 、そしてブラックスプロイテーション (Blaxploitation) の幾つかの映画音楽作品を既に、映画を離れた単独作品として堪能していた事、そして名義者である2人のミュージシャンが既知であった事だ。
ちなみに本作のCDエクストラ (Enhanced CD) としての機能は、映画予告編の収録として発揮されている。
そんなやや不純な動機で本作品に出逢ってしまったのだが、それとは全く違ったかたちで、この映画の主題歌にぼくは遭遇した。
映画『ジャッキー・ブラウン (Jackie Brown)』 [クエンティン・タランティーノ (Quentin Tarantino) 監督作品 1997年制作] の主題歌として、なのだ。


その映画を観る以前に、映画音楽作品として聴いたのが最初だ。拳銃を構えたパム・グリア (Pam Grier) がこちらを見据えるアルバム『ジャッキー・ブラウン (Jackie Brown : Music from the Miramax Motion Picture)
しかし、その映画を観ると、その曲がそこでもたらされている意味が立ち所に理解させられる。
その映画の中では、パム・グリア (Pam Grier) 演じる主人公ジャッキー・ブラウン (Jackie Brown) は、ルビコン川を渡らねばならない (Having To Make A Crucial Decision) 状況に追い込まれ、そして物の見事に渡りきってしまうからだ。彼女が超えねばならぬそこを象徴しているのが、その映画に於ける楽曲「110番街交差点 (Across 110th. Street)」なのである。

ところで映画『110番街交差点
そこだけに注目してみると、まるで映画『メン・イン・ブラック
ものづくし (click in the world!) 194. :
『110番街交差点 オリジナル・サウンドトラック (ACROSS 110TH STREET original motion picture soundtrack)』
by ボビー・ウーマック J・J・ジョンソン (BOBBY WOMACK J.J. JOHNSON)

『110番街交差点 オリジナル・サウンドトラック (ACROSS 110TH STREET original motion picture soundtrack)
ブラック・シネマ究極のサスペンスとグルーヴ感。
ボビー・ウーマックの最高傑作と呼ばれ、マイルスとの客演でも有名なJ・J・ジョンソンとのコラボレイトで生み出されたブラック・シネマ・サントラの最高傑作「110番街交差点」のオリジナル・サウンドトラック盤が遂に登場。さらにエクストラCDに映画の予告編を収録。
■最新ライナーノート完全対訳付
■オリジナル公開時のポスターをカラー・スリーブ内で復刻
1. 110番街交差点
Across 110th Street
2. ダイアローグ~ウィ・ソート・ウィ・ワー・オーケイ
We Thought We Were Okey*
3. ハーレム・クラヴィネット
Harlem Clavinette
4. イフ・ユー・ドント・ウォント・マイ・ラヴ
If You Don't Want My love
5. ダイアローグ~パンク・イランド・ボーイ
Punk Errand Boy*
6. ハング・オン・イン
Hang On In There
7. ダイアローグ~ザ・マン
The Man*
8. クイックサンド
Quicksand
9. ダイアローグ~150ラウンズ
150 Rounds*
10. ハーレム・ラヴ・テーマ
Harlem Love Theme
11. ダイアローグ~シック&タイアード
Sick & Tired*
12. 110番街交差点(インストゥルメンタル)
Across 110th Street (Instrumental)
13. ダイアローグ~テイク・ザ・マネー
Take The Money*
14. ドウ・イット・ライト
Do It Right
15. ハング・オン・イン・ゼア
Hang On In There
16. イフ・ユー・ドント・ウォント・マイ・ラヴ
If You Don't Want My Love
17. ダイアローグ~ディス・イズ・ザ・ポリス
This Is The Police*
18. 110番街交差点
Across 110th Street part 2
track 1, 4, 8, 14, 15, 18 performed by Bobby Womack & Peace
track 3, 6, 10, 12, 16 performed by J. J. Johnson and His Orchestra
song written and performed by BOBBY WOMACK
musical score composed and conducted by J.J. JOHNSON
*original incidental dialogue from the film
Release Produced by Jeff Rougvie and Andrea Troolin
Art Direction & Designed by Ph. D
Mastered by Dr. Toby Mountain @ NDR
Production Assistance : Lukas Kendall
Special Thanks to the following people for their help in the rerelease of this album : Christine Bergren, David Bishop, Tom Briggs, Rodney Davis, Paul Dickman, Renee Galka, Robert Hardenbrook, Dirk Hebert, Mick Hodgson, Marla Ludwig, Frank Mancuso, Sam McCay, Gregor Meyer, Chris Neel, Beth Pickett, A. Robert Pisano, Chris Saito, Michael Sandoval, Anthony Sclafani, Sheri Shapiro Levy, Victoria Stokdyk, Traci Swartz, Darren Trattner.
Original incidental dialogue from the film performed by Anthony Quinn, Yaphet Kotto, TTony Franciosa, Gilbert Lewis, Charles McGregor and Richard Ward. Track 1, 12 & 18 written by B. Womack - J. J. Johnson, Tracks 6, 8, 14, 15 & 16 written by B. Womack, Tracks 3 & 10 written by J. J. Johnson. Track 4 written by B. Womack - G. DeWitty
ANTHONY QUINN YAPT KOTTO in "ACROSS 110TH STREET
Produced by RALPH SERPE and FOUAD SAID
Executive Producers ANTHONY QUINN and BARRY SHEAR
Screenplay by LUTHER DAVIS Based on the novel by WALLY FERRIS
Directed by BARRY SHEAR
A FILM GUARANTORS, INC. Production
ACROSS 110TH STREET
MANUFACTURED AND MARKETED BY RYKODISC UNDER EXCLUSIVE LICENSE.
ぼくが所有している国内版CDに掲載されている、ダグ・アダムズ (Dag Adams) によるオリジナル・ライナーノートの対訳は小田綾子によるものである。
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