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2018.08.10.10.13

Gone, Gone, Gone

とむらいってやつは死者のためにするものではないよな。
いきのこってしまったやつら、そいつら自身がてめえのためにする儀式さ。

とぶとりあとをにごさず、どだいそいつは無理な注文さ。
不慮の場合ならば当然のこと、あらかじめわかりきったものだとしても、きれいさっぱりとはいかないものさ。
第一に、遺骸というやつはのこってしまう。
本人が丁寧にそれをあとしまつつけたとしても、今度はだれも、そいつの死を確証できない。へたすれば、一縷ののぞみとやらのおかげでたなあげされて生死不明だ。

いや、おれがいいたいのはそんな特殊の場合ではない。

死体のまわりにだれもがつどい、そいつをていよく処理する。そしてその過程で、それぞれ各自にとって都合のいいものだけを手許にのこそうとする。形見わけやら遺産相続のあらそいとは、それがだれのめにもあきらかになったもののほんの一例だ。
その一方で、てめえらに不都合な事物は、その遺骸といっしょに埋葬してしまう。記憶も感情もな。
それでなんの問題もない。

いきているおれたちにとって、死者は異物だ。屍体のような、御丁寧なかたちをしていなくともな。
おれたちのめとはなのさきによこたわって、苦悶の表情をたたえていようがむしのいきをしていようが、いきているかぎりは、おれたちと同族なのさ。
だが、おっちんでしまったら、それは邪魔なものなのだ。
だから処理する。

葬儀とはそういうものさ。
あたまのなかでわかっていることと、きもちのなかで整理しきれないこととを、わけへだてなくあるべき場所へとおさめてしまう。そんな儀式さ。

だからまぁ、おれのときもよしなに、ってことだな。

[the text inspired from the song "Gone, Gone, Gone" from the album "The World From The Side Of The Moon" by Phillip Phillips]


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