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2018.05.20.08.34

『コンバット・ロック (COMBAT ROCK)』 BY ザ・クラッシュ (THE CLASH)

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彼等の代表作は、けっしてこれではないだろう?
そんな声が聴こえてきそうだ。
でも、発表当時、最も米国で売れた作品はたしかこれの筈だろう。

ザ・クラッシュ (The Clash) が存在しなくてもニルヴァーナ (Nirvana) は登場しただろう。
では果たして、グリーン・デイ (Green Day) は登場しただろうか。そして、そのバンドは現在の様な地位を獲得出来ただろうか。

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バンドが存在していた当時、ザ・クラッシュ (The Clash) は過酷な全米ツアーに何度も何度も挑んでいた。もしかしたら、それは採算ベースを度外視したモノだったのかもしれない。
アルバム『ロンドン・コーリング (London Calling)』 [1979年発表] やその次作『サンディニスタ! (Sandinista!)』 [1980年発表] で、自国での評価は絶大的なモノであった。それに安住してしまうのも不可能ではなかった。にも関わらず、なのである。
そして、それがようやく果実となったのが本作なのである。
そう謂うのは、簡単だ。

3大パンク・バンド (The BIg Three In Punk Rock) とも謂い、5大パンク・バンド (The BIg FIve I n Punk Rock) とも謂い、そのいずれにも彼等は選出されている。
ぢゃあ、パンク (Punk) ってなんなのと自問した際に、そこにいるみっつ乃至いつつのバンドで、それが説明しきれるのかと謂うと、甚だ心許ない。
パンク (Punk) と謂う語句のパブリック・イメージ (Public Image) はそこからボロボロと零れ落ちて、ひとつとして、具体的な心象を得る事が出来ないのだ。
本来ならば、それを一身に引き受けるべきセックス・ピストルズ (Sex Pistols) は1978年にさっさと解散してしまった。
個人的な視点から謂えば、ザ・クラッシュ (The Clash) と謂うバンドは、その貧乏籤を拾ってしまっただけの様に思える。
みっつ乃至いつつのバンド、もしくはそれに在籍していたメンバー達の殆どは、所謂パンク (Punk) とは遥かに隔たった沃野へと向かっていったからだ。だけれども、ザ・クラッシュ (The Clash) はある意味でパンク (Punk) と謂うパブリック・イメージ (Public Image) に最も忠実であった様にみえる。

拾ったと綴ったが拾わざるを得なかったと謂うよりも、むしろ、敢えて拾いに向かったとみえなくもない [だからと謂って、火中の栗を拾う (Pull One's Chestnuts Out Of The Fire) と謂う様な積極性をみる事も難しいのだ]。
アルバム『ロンドン・コーリング (London Calling)』やその自作『サンディニスタ! (Sandinista!)』 で様々な音楽的な試みが展開される一方で、否、それ故に余計に自らの出自たるパンク (Punk) と謂うモノを表白している様にも思えるからだ。

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彼等を題材とした映像作品に映画『ルード・ボーイ (Rude Boy)』 [ジャック・ハザン (Jack Hazan)、デヴィッド・ミンゲイ (David Mingay) 監督作品 1980年制作] がある。
レイ (Ray : Rude Boy) [演:レイ・ゲンジ (Ray Gange)] と謂う青年を主人公とした擬似ドキュメンタリー作品だ。
バンドが多くの支持を受けて成功の道を昇り詰めようとしている一方で、主人公は最初から最後まで同じ場所にとどまり、結果的に落伍者としてしか、映画を観るモノは彼を凝視められない。
主人公の挫折は、彼だけの物語ではなくて当時の [そして今でも] よくあるどこにでも転がっている物語だ。では、それを踏まえてザ・クラッシュ (The Clash) と謂うバンドはどういう役割をそこで果たそうとしているのか [もしくはそこで語られている物語のなかで彼らに演じさせようとしているのか] が、よく解らない。
敗残者の許に赴き彼を救済する事もしない代わりに、スター街道を一挙に爆進している素振りをしている訳でもない。彼等のライヴに集うファン達の多くは、多かれ少なかれ主人公と同様の場所にいるのだから。

パンク (Punk) と謂うモノの命題のひとつに、自身の言動にどう落とし前をつけていくのか、そんなモノがあるとしたら、ザ・クラッシュ (The Clash) は、その一切合切を引き受け続けていこうとする事に意義をみいだしているのではないだろうか。いいこともわるいことも、だ。しかも弁明すらしない。
べつににげることがわるいことではない。べつにかわることがわるいことではない。
でも、それをしない。それができない。
ザ・クラッシュ (The Clash) というバンドはそおゆうバンドだ。
彼等の言動を好意的に解釈すればそうなる。

だが、必ずしも全面的な支持をぼくは出来ない。
何故ならば、みっともないし、ぶざまだからだ。
ヒロイックである事に、それ程の意義をぼくはみいだしてはいないのだ。

この映画を観て抱いた疑問はそのまま、かつて実際に存在していたこのバンドにもそのまま当て嵌めてみる事が出来る。
と謂うか、そんなふうにぼくはみてしまう。

1982年の来日公演は、『ヤング・ミュージック・ショー (Young Music Show)』 [19711986NHK放映] で放映されて、それをぼくは観ていた。
もっと早い時季に彼等が来ていたら、どうだったのだろう。
そんな事ばかり考えていた記憶がある。

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本作品が妙にひっかかかるのは、LP2枚組のアルバム『ロンドン・コーリング (London Calling)』とLP3枚組のアルバム『サンディニスタ! (Sandinista!)』 とつい比較してしまうからだ。
アルバム『ロンドン・コーリング (London Calling)』もアルバム『サンディニスタ! (Sandinista!)』 も、本来ならば収録楽曲を吟味し精錬して"LP1枚組"の作品にすべきだった、にも関わらずに出来なかったと謂う事が出来るのならば、本作品は吟味と精錬を施した作品であると断定出来よう筈なのに、それが出来ない。
寧ろ、アルバム『ロンドン・コーリング (London Calling)』やアルバム『サンディニスタ! (Sandinista!)』 の上澄みだけを掬った様なモノにも思えてしまう。
所謂パンク・ロック (Punk Rock) 的ではない、様々な音楽がごった煮の様に収められているが、だからと謂って、アルバム『ロンドン・コーリング (London Calling)』やアルバム『サンディニスタ! (Sandinista!)』 の試行錯誤を経た上での成果とも断言できない。彼等の初期の楽曲には『ポリスとコソ泥 (Police And Thieves)』 [アルバム『白い暴動 (The Clash)』 [1977年発表]収録] や『ハマースミス宮殿の白人 (White Man In Hammersmith Palais)』 [アルバム『パール・ハーバー'79 (The Clash)』 [1979年発表]収録] といった非パンク・ロック (Non-Punk Rock) 的な楽曲も多々あるからである。
とは謂いながらも、初期の姿へと原点回帰を試みたとも謂い難い。
だからと謂って、なにもかわっていないとも断言できない。

つまり、ミック・ジョーンズ (Mick Jones) のヴォーカルをフィーチャーした楽曲『ステイ・オア・ゴー (Should I Stay Or Should I Go)』が総てを象徴してしまっている様に、聴こえてしまうのだ。
このままここにいていいのだろうか、ここからどこかへいくべきなのだろうか (Should I Stay Or Should I Go)。
ある意味でこの楽曲が、ザ・クラッシュ (The Clash) と謂うバンドの有様すらも如実に表明している様にも、思える。
尤も、そのミック・ジョーンズ (Mick Jones) も本作発表後、バンドを追われてしまう訳なのだが。

ものづくし (click in the world!) 187. :
『コンバット・ロック (COMBAT ROCK)』 BY ザ・クラッシュ (THE CLASH)


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コンバット・ロック (COMBAT ROCK)』 BY ザ・クラッシュ (THE CLASH)

SIDE A
1. 権利主張 Know Your Rights ... (3:39)
2. カー・ジャミング Car Jamming ... (3:59)
3. ステイ・オア・ゴー Should I Stay or Should I Go ... (3.06)
4. ロック・ザ・カスバ Rock The Casbah ... (3:06)
5. レッド・エンジェル・ドラグネット Red Angel Dragnet ... (3:45)
6. ストレイト・トゥ・ヘル Straight To Hell ... (5:30)
- The Clash -
Mixed by Glyn Johns
(1 -6) Nineden Ltd.
Original Sound Recording made by CBS Records
(P) 1982 CBS Records

SIDE B
1. オーバー・パワード・バイ・ファンク Overpowered by Funk ... (4;52)
2. アトム・タン Atom Tan ... (2:28)
3. シーン・フリーン Sean Flynn ... (4:30)
4. ゲットーの被告人 Ghetto Defendant ... (4:43)
5. イノキュレイテッド・シティ Inoculated City ... (2:41)
6. デス・イズ・ア・スター Death Is A Star ... (3:09)
- The Clashh -
Mixed by Glyn Johns
(1 -6) Nineden Ltd.
Original Sound Recording made by CBS Records
(P) 1982 CBS Records

■プロデュース:グリン・ジョーンズ
■参加ミュージシャン:エレン・フォーリーアレン・ギンズバーグ、ジョー・エリィ、タイモン・ドッグ

RECORED BY JOE BLANEY AND JERRY GREEN
TAPE VOCK : EDDIE GARCIA
BACKING VOCALS BY ELLEN FOLEY, ALLEN GINSBERG, JOE ELY, FUTURA 2000
PIANO ON 'Death Is A Star' BY TYMON DOGG
KEYBOARDS ON 'OVERPOWERED BY FUNK BY POLY MANDELL
SAX ON 'Sean Flynn' BY GARY BARNACLE
SLEEVE PHOTO BY PENNIE SMITH
INSPIRATION ***************
MIXED BY GLYN JONES
MADE BY THE CLASH
ALL SONGS NINEDEN LTD.

(C) 1982 EPIC / SONY Inc. / CBS Records

ぼくが所有している日本盤LPには、岡田英明 (Hideaki Okada) による歌詞対訳とロッキング・オン (Rockin' On) 編集長渋谷陽一 (Yoichi Shibuya) [当時] の解説が掲載されている。
猶、一部判読出来ない箇所があり、*************** で表示した [ご存知の方、もしくは解読できた方はお手数ですがご教授願います]。
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