2018.05.06.10.24
こんな夢をみた。

"the poster" for the movie "Middle School : The Worst Years of My Life" directed by Steve Carr
覚醒めるとそこは中学校の教室である。自分の机に突っ伏して居眠りしていたらしい。
教壇の上にある時計をみれば授業中だが、ここには誰一人としていない。この時間、ぼくのクラスは体育の筈なのだ。
どうやら、休み時間に寝過ごして、そのまま一人、取り残されていたらしい。だれも起こしてくれなかった。とても惨めだ。
そこへFがはいってくる。授業中のこんな時間に何故、彼がここへこれるのか解らない。ぼくを認めた彼はこう謂う。
「今日、一緒にかえろうよ」
即断すればいいものをぼくは答えあぐねている。確か、E子がぼくに用があると謂っている。でもそれ以上に、体育をすっぽかしてしまった今が、この後のぼくにどう影響するかが解らない。体育教諭のいかりをかって、居残りが命じられないとは限らないからだ。
終鈴がなり、クラスの皆がかえってくる。
まだ、寝惚け眼のぼくをみて、みんなが囃し立てる。弁明のひとつやふたつを申し立てるべきなのかもしれないが、彼等の勢いはそれを許さない。
席をたって、体育教諭のところへいくことにする。呼び出される前に、こちらから出向いた方が、まだましだろう、そんな判断だ。
職員室にはいると、彼は自身の机に向かっている。
「おう、きたか」
彼はぼくを認めて、2枚の書類を渡す。
頭ごなしに、こっぴどく叱られ、場合によっては体罰もあるだろう、そんなぼくの覚悟は肩透かしだ。
「1枚は見本。この文章をそっくりそのままもう1枚に書きうつして提出する様に」
見本に書かれている事柄はぼくの認識とは随分と隔たりがある。それを主張しようとすると、先回りにこんな事を謂う。
「いいわけはきかないからな。へたな小細工は内申書にひびくぞ。正々堂々としていればいい。これをうつせばそれでおわりだ」
受験生のぼくに一番こたえる語句をひっぱりだして、これは体罰よりもさらに悪い処罰のような気がする。
殴られちまえば、きっとこの場でご破算だ。書類をだせば、後々に影響が出るに違いない。しかもそれが事実に反している。
だが、そんな正論も絶対に聴き入れてはくれないのだ。
職員室をでたぼくは教室に戻ろうと、階段にむかう。その踊り場にはTがいて、こんな事をいう。
「おなかがこんなにでちゃったから、この階段、おれはもうのぼれないや」
わざわざ着ている体操着をめくり、膨らみに膨らんだうすらしろい腹をみせびらかせて謂うのだ。
階段をあおぎみると、まるで城砦のような趣だ。石積みの壁の隙間に野太い棒が文字通りに階段状にいくつもさされていて、そこを登らなければならない。昔、観た映画のクライマックス、悪漢に追われた主人公が姫君を抱きかかえて駆け上って行く。そんな場所だ。Tの腹ならば、絶対に無理だろう。
数段、登ってみたがいくらもあがらないうちに、棒がぐらぐらと揺れてしまう。このまま登って行くときっとどこかで折れてしまう。さもなければ、すっぽ抜ける。
そこを諦めたぼくは他の階段を捜す事にする。
あたりはいつのまにか地下駐車場の様な光景になり、うしろからきたバイクが何台もぼくを追い抜いて行く。その向こうにきっとエレベーターがあるに違いないのだ。何故ならば、2輪置き場はそこからさらに向こうにあるからだ。
ぼくの後ろを子供連れの女性がついてくる。彼女もエレベーターをさがしているのだろう。
辿り着いたエレベーターホールに、灯りがともり、扉のひとつが開く。はいってみると、そこはひろくしかも大勢いる。いや、それだけではない。向かって左側には黒板と教壇らしきものが設けられていて、その反対側にはいくつもの机がならび制服を着た女性達が座っている。
教師と思わしき人物がぼく達に向けてこう謂う。
「今日はこの課で終日、研修につかうので一般の方は入れませんよ」
その言葉にすごすごと引き返すぼくの背で、先程の女性が教師らしき人物に尋ねている。Mビルはここなのか、違うのならばどういけばいいのか、と。
少なくともここはMビルではない。頭の中で地図を描きながら、どう案内したものかと考えながら、そこをあとにする。
<暗転>
担任と一緒に、柳並木の商店街を歩いている。
ぼくの歩く数歩うしろを彼が従っているという格好だ。
うつむき加減にあるくぼくには一切構わずに、彼はのべつまくなしにここにはいない誰かと話をしている。現在ならば、携帯もスマホもあって不思議でもなんでもない光景だが、彼がぼくの担任だった時代にはそんなものは存在していない。
『 ... いやぁ、わからないねぇ、年齢なんて。多分、ぼくよりもふたつみっつわかいとは思うんだけど。あなたがぼくのいつつしたでしょ。ふたりのまんなか。そうおもうんだよねぇ ...」
こんなどうでいいような会話だ。
そんな声を聴き流しながら、ぼくはとある中華料理屋のガラス戸を開ける。
ここが目的地だ。

the poster for the movie "Changing Lanes
" directed by Roger Michell

"the poster" for the movie "Middle School : The Worst Years of My Life" directed by Steve Carr
覚醒めるとそこは中学校の教室である。自分の机に突っ伏して居眠りしていたらしい。
教壇の上にある時計をみれば授業中だが、ここには誰一人としていない。この時間、ぼくのクラスは体育の筈なのだ。
どうやら、休み時間に寝過ごして、そのまま一人、取り残されていたらしい。だれも起こしてくれなかった。とても惨めだ。
そこへFがはいってくる。授業中のこんな時間に何故、彼がここへこれるのか解らない。ぼくを認めた彼はこう謂う。
「今日、一緒にかえろうよ」
即断すればいいものをぼくは答えあぐねている。確か、E子がぼくに用があると謂っている。でもそれ以上に、体育をすっぽかしてしまった今が、この後のぼくにどう影響するかが解らない。体育教諭のいかりをかって、居残りが命じられないとは限らないからだ。
終鈴がなり、クラスの皆がかえってくる。
まだ、寝惚け眼のぼくをみて、みんなが囃し立てる。弁明のひとつやふたつを申し立てるべきなのかもしれないが、彼等の勢いはそれを許さない。
席をたって、体育教諭のところへいくことにする。呼び出される前に、こちらから出向いた方が、まだましだろう、そんな判断だ。
職員室にはいると、彼は自身の机に向かっている。
「おう、きたか」
彼はぼくを認めて、2枚の書類を渡す。
頭ごなしに、こっぴどく叱られ、場合によっては体罰もあるだろう、そんなぼくの覚悟は肩透かしだ。
「1枚は見本。この文章をそっくりそのままもう1枚に書きうつして提出する様に」
見本に書かれている事柄はぼくの認識とは随分と隔たりがある。それを主張しようとすると、先回りにこんな事を謂う。
「いいわけはきかないからな。へたな小細工は内申書にひびくぞ。正々堂々としていればいい。これをうつせばそれでおわりだ」
受験生のぼくに一番こたえる語句をひっぱりだして、これは体罰よりもさらに悪い処罰のような気がする。
殴られちまえば、きっとこの場でご破算だ。書類をだせば、後々に影響が出るに違いない。しかもそれが事実に反している。
だが、そんな正論も絶対に聴き入れてはくれないのだ。
職員室をでたぼくは教室に戻ろうと、階段にむかう。その踊り場にはTがいて、こんな事をいう。
「おなかがこんなにでちゃったから、この階段、おれはもうのぼれないや」
わざわざ着ている体操着をめくり、膨らみに膨らんだうすらしろい腹をみせびらかせて謂うのだ。
階段をあおぎみると、まるで城砦のような趣だ。石積みの壁の隙間に野太い棒が文字通りに階段状にいくつもさされていて、そこを登らなければならない。昔、観た映画のクライマックス、悪漢に追われた主人公が姫君を抱きかかえて駆け上って行く。そんな場所だ。Tの腹ならば、絶対に無理だろう。
数段、登ってみたがいくらもあがらないうちに、棒がぐらぐらと揺れてしまう。このまま登って行くときっとどこかで折れてしまう。さもなければ、すっぽ抜ける。
そこを諦めたぼくは他の階段を捜す事にする。
あたりはいつのまにか地下駐車場の様な光景になり、うしろからきたバイクが何台もぼくを追い抜いて行く。その向こうにきっとエレベーターがあるに違いないのだ。何故ならば、2輪置き場はそこからさらに向こうにあるからだ。
ぼくの後ろを子供連れの女性がついてくる。彼女もエレベーターをさがしているのだろう。
辿り着いたエレベーターホールに、灯りがともり、扉のひとつが開く。はいってみると、そこはひろくしかも大勢いる。いや、それだけではない。向かって左側には黒板と教壇らしきものが設けられていて、その反対側にはいくつもの机がならび制服を着た女性達が座っている。
教師と思わしき人物がぼく達に向けてこう謂う。
「今日はこの課で終日、研修につかうので一般の方は入れませんよ」
その言葉にすごすごと引き返すぼくの背で、先程の女性が教師らしき人物に尋ねている。Mビルはここなのか、違うのならばどういけばいいのか、と。
少なくともここはMビルではない。頭の中で地図を描きながら、どう案内したものかと考えながら、そこをあとにする。
<暗転>
担任と一緒に、柳並木の商店街を歩いている。
ぼくの歩く数歩うしろを彼が従っているという格好だ。
うつむき加減にあるくぼくには一切構わずに、彼はのべつまくなしにここにはいない誰かと話をしている。現在ならば、携帯もスマホもあって不思議でもなんでもない光景だが、彼がぼくの担任だった時代にはそんなものは存在していない。
『 ... いやぁ、わからないねぇ、年齢なんて。多分、ぼくよりもふたつみっつわかいとは思うんだけど。あなたがぼくのいつつしたでしょ。ふたりのまんなか。そうおもうんだよねぇ ...」
こんなどうでいいような会話だ。
そんな声を聴き流しながら、ぼくはとある中華料理屋のガラス戸を開ける。
ここが目的地だ。

the poster for the movie "Changing Lanes
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