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2018.03.18.08.36

"greed" by ambitious lovers

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ある時のある場所で、無造作に積み上げられたビルボード誌 (Billboard) の表紙に、その写真が掲載されていたのだ。

一見すると、ウディ・アレン (Woody Allen) とニック・ケイヴ (Nick Cave) のツー・ショットとも思えてしまう本稿の主人公、アンビシャス・ラヴァーズ (ambitious lovers) のアルバム『グリード (greed)』のジャケット写真、1988 年の事である。

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当時の、ビルボード誌 (Billboard) には、その週発売のアルバムから2作品がピックアップされて数行の紹介文と共に、そのジャケットが掲載されていたのである。
[上掲の画像 [こちらから] が、そのビルボード誌 (Billboard) [19887月9日発行]、現在のその雑誌とは全く異なった趣きのそのヴィジュアルをどう説明したものかと思い悩んでいたら、何故か、そのものずばりの掲載号の画像があったのだ。]

なんだかとても奇妙なモノを見てしまった様な気がした。
その雑誌がどういう思考と指向と嗜好でもって、その誌面のその部分を構成しようとしているのかは解らない。解らないが、この音楽ユニットの音楽性が、ビルボード誌 (Billboard) の編集方針と合致していようとは、ぼくには思えなかったのだ。

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その音楽ユニットの1/2を成すアート・リンゼイ (Arto Lindsay) の存在は既に知っていた。
レッテル貼り的な文言を連ねれば、ブライアン・イーノ (Brian Eno) がプロデュースしたオムニバス盤『ノー・ニューヨーク (No New York)』 [1978年発表] に、ディー・エヌ・エー (DNA) のメンバーとして参加、その後にフェイク・ジャズ (Fake Jazz) のラウンジ・リザーズ (The Lounge Lizards) 初代ギタリストとして第1作『ラウンジ・リザーズ (The Lounge Lizards)』 [1981年発表] に参加している。
1984年には自身初の"リーダー"作『エンヴィ (Envy)』も発表し、そこでは自身のアイデンティティーの一部を成すブラジル音楽 (Musica do Brasil) を咀嚼した楽曲群も収録されている [幼少期から10代後半まで、彼はブラジル (Republica Federativa do Brasil) で育つのである]。

但し、そのいずれに於いても、聴くべきは彼のギターなのだ。メロディ云々はおろか、調弦さえされていないその楽器から放たれる鋭角的で攻撃的な音、それがアート・リンゼイ (Arto Lindsay) と謂うアーティストの存在を示しているのであった。

これだけを読めば、最先端と謂えば最先端の音楽を奏でてはいるが、それは必ずしもメジャーなモノとは謂えない。寧ろ、裏街道、その都度、オルタナティヴな選択肢を選出し、そこを疾駆し続けている様な印象なのだ。

そんなアーティストの最新作が、ビルボード誌 (Billboard) の表紙に取り上げられていたのである。

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ニュー・ヨーク (New York City) と謂う都市が育む音楽シーンは不思議なモノで、深層にあるモノが突如として浮上し、表層として蕩尽されてしまう時がある。
ニュー・ヨーク・パンク (New York Punk) に分類されながらも少し違った位置付けにあったトーキング・ヘッズ (Talking Heads) がアフリカン・ビート (African Beat) を導入して『リメイン・イン・ライト (Remain In Light)』 [1980年発表] と謂う作品を産み出したのも、ニュー・ヨーク・ゴング (New York Gong) の残党、即ちマテリアル (Material) がハービー・ハンコック (Herbie Hancock) と結託して『フューチャー・ショック (Future Shock)』 [1983年発表] と謂う大ヒット作を産み出したのも、そこがニュー・ヨーク (New York City) だったからだ。
しかしながら、このふたつの例では、それらが産み出した音楽は一塊の徒花として終わってしまうのでなく、その後の音楽にあるべき手法のひとつとして伝承されていく。ワールド・ミュージック (World Music) もヒップ・ホップ (Hip Hop) も、彼等の存在とその音楽がなければ、一体、どの様なモノとして現在、聴く事が出来るのであろうか。

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アート・リンゼイ (Arto Lindsay) のアンビシャス・ラヴァーズ (ambitious lovers) による本作も、『リメイン・イン・ライト (Remain In Light)』や『フューチャー・ショック (Future Shock)』 と同等な位置に置く事が可能だ。
当時、ちょっと気の利いた店に赴けば、その収録曲のひとつである『コピー・ミー (Copy Me)』は頻繁に聴く事が出来たのである。
[個人的には、その曲『コピー・ミー (Copy Me)』と、プラスティックス (Plastics) の代表曲『コピー (Copy)』 [アルバム『ウェルカム・プラスチックス (Welcome Plastics)』 [1980年発表] 収録] とを比較対象したくなる。それらの楽曲が発表された1988 年のニュー・ヨーク (New York City) と1980年の東京 (Tokyo) とをみくらべたその上で、だ。]

ただ、そんな聴かれ方が可能だったのは、そのユニットのもう半分、ピーター・シェラー (Peter Scherer) による的確で妥当な構築の結果ではなかったかと、ぼくは思っている。
そうではなくてその逆だとしたら、とてつもなく面白いのだが、その実際を裏付けるエピソードもコメントもみたことはない。

その上で、もっともっと売りたいのならば、ヴォーカルはアート・リンゼイ (Arto Lindsay) 自身ではなくて、別のシンガーが必要だろうとも、ずっと思っていた。
だからアルバム『曖昧な存在 (O Corpo Sutil)』 [1995年発表] 以降、ブラジル音楽 (Musica do Brasil) を根底に据えて、自身のヴォーカルを全面に押し出した作品群が連打されて、しかもそれが注目を浴びて好評価を得てしまった事で、ぼくは吃驚してしまったのである。
そんな視点をも得てしまうと、この作品でも聴く事の出来るブラジル音楽 (Musica do Brasil) を勘案した上で、アート・リンゼイ (Arto Lindsay) と謂うアーティストの辿ったみちを眺めてみると、アンビシャス・ラヴァーズ (ambitious lovers) と謂う音楽ユニットは、彼の過渡期としか呼ばざるを得ないのかもしれない。

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このユニットは1991年に『ラスト (Lust)』を発表して解散してしまうが、本来は、上で記述した様にアート・リンゼイ (Arto Lindsay) 初の"リーダー"作と看做されていた『エンヴィ (Envy)』も含めて全7作品が予定されていたそうだ。
しかも、アルバム名は総て、ななつの大罪 (septem peccata mortalia) にちなんだモノだったと謂う。だから最終作は最期 (Last) ではなくて色欲 (Lust) なのである。

となると、本作品名は強欲 (Greed)。メジャーな場所での展開も当初からそこにあった、と謂うべきなのか。

ものづくし (click in the world!) 185. :"greed" by ambitious lovers


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"greed" by ambitious lovers

copy me 3:44
percussion and vocal - nana vasconcelos
rhythm guitar - vernon reid
backing vocals - d.k. dyson
bass guitar - melvin gibbs

privacy 3:44
rhythm guitar - vernon reid
saxophone - john zorn
backing vocals - bernard fowler

caso [affair] 2:41

king 4:35
percussion - marcal (tamborim, cuica, agogo)
luna (agogo, tamborim, atabaque)
eliseu (pandeiro, tamborim)
trambique (caixa, repique)
gordinho (surdo, tamborim)
perrota (contractor)
rhythm guitar - steve horton
cavaquinho - sergio brandao

omotesando 1:35
cuica - marcal
surdo - gordinho
caixa - trambique
pandeiro - eliseu
tamborim - luna
saxophone - john lurie

too far 3:01

love overlap 4:39
rhythm guitar and backing vocals - vernon reid
percussion - nana vasconcelos
backing vocals - d.k. dyson and gail lou
o. k. - kazu

admit it 3:44
percussion - nana vasconcelos
backing vocals - d.k. dyson & gail lou
saxophone - john zorn
"get out here" - rebecca wright
"don't kiss me" - io wright

steel wool 1:01
guitar - bill frisell
drums - joey baron

para nao contrariar voce / paulinho da viola [so as not to contradict you] 2:37
guitar - bill frisell
drums - joey baron

quasi you 4:24
percussion - nana vasconcelos
backing vocals - d.k. dyson & gail lou

it only has to happen once 3:40
percussion & voices - nana vasconcelos
viola - jill jaffe

dot stuff :58

the ambitious lovers are
peter scherer :
keyboards, synth bass, drum programming and sampling
arto lindsay :
vocal, guitar

all songs written by
the ambitious lovers and published by virgin music
except "it only has to happen once" by the ambitious lovers and nana vasconcelos, published by virgin music and nanavas (bmi)
"para nao contrariar voce" written by paulinho da viola (emi odeon).

recorded & mixed by roger moutenot
except "copy me" mixed by alan meyerson

produced by peter scherer

additional recording by :
knut bohn
eric hurtig
fran manzella
keith freedman
vitor farias

assistant enginners :
eugene ue nastasi
keith freedman
eddie brooks
dary sulich
oz fritz
john cicchitti
barbara moutenot

recorded at :
skyline studios
creative audio recording
platinum island
nas nuvens rio de janeiro
cianni musica

mixed at skyline studios
mastered by bob ludwig at masterdisk

special thanks :
paula zanes nancy jeffries nancy ditoro caetano veloso paula lavigne lloyd donnelly duncan lindsay andres levin barbara moutenot shelly palmer ricardo garcia yamaki hideo susan breindel tim carr

vernon reid appears courtesy of epic records
john zorn appears courtesy of nonesuch records

art direction and photography
paula zanes

Published by Virgin Music Inc. (ASCAP) except "Para Nao Contrairar Voce" published by Rightsong Music Inc. (BMI) and "It Only Has To Happen Once" published by Virgin Music Inc. (ASCAP) / Nanavas Music (BMI)

The music on this Compact Digital Disc was originally recorded on analog equipment. We have attempted to preserve, as closely as possible, the sound of the original recording. Because of its high resolution, however, the Compact Disc can reveal limitations of the source tape. (P) & (C) 1988 Virgin Records America, Inc. Distributed by WEA through arrangement with Atlantic Records.
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