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2018.02.16.11.12

Hypnotize

木製のちっぽけな丸卓子のむこうにきみはこしかける。
そう、いつもとおんなじ。そして、いつもそこからはじまる。

きみのめのまえにすわったぼくがとりだすのは、ちっぽけな懐中時計だ。いまどき、そんなものにたよるものはいない。ぼくだって不必要だ。でも、きみのおのぞみなんだからな。

うすぐらい部屋のなかにむかいあってすわるきみとぼく、そしてふたりのあいだでゆれる金鎖。
役者はそろっているが、舞台はまだ未完成だ。

どこかで時計のおとがする。
それともそんなきがするだけ。
いま必要なのは、ふたりの息遣いと胸の鼓動、そしてきみとぼくの、... きみとぼくの一体なんなのだろう。
でもそんなことをしる必要はぼくたちには一切にない。だって、脚本すらもまにあわないのだから。

そうして数分。もしかすると数時間。それともたった数秒のこと?

どこかのだれかがゆっくりとかぞえあげて、それでおしまい。
その部屋にあるのは、ちいさな木製の丸卓子だけだ。

きみもぼくもそこにはいない。
最初っから、だれひとりとして。

[the text inspired from the song "Hypnotize" from the album "Cupid & Psyche 85" by Scritti Politti]


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