2018.02.06.09.39
都営地下鉄大江戸線 (Toei Oedo Line) の中野坂上駅 (Nakano-sakaue Station)、その1番線ホームに立っていると、否が応でもめについてしまう。と、謂うのはその場所で乗れば、目的地の駅の、改札階へと向かうエスカレーターの目と鼻の先で降りる事が出来るからだ。
難しい事は一切ない。神秘的 (Mystical) でも隠秘的 (Occult) でもない。実務的な現実的な所作がそこにあるだけなのである。
とはいえ、その駅貼り広告は随分と前からそこに貼り出され続けている。他の場所が、次から次へと新商品への告知物とすり替えられて行ったり、景気動向からあり得べき広告物が存在しない時季があったとしても、その駅貼り広告はそこにずっとあった様な気がする。
それとも、そんな認識は、週に何回か、その駅を利用し、そして利用する度にその場所で次の電車を待っているぼくの思い違いと謂うモノなのだろうか。

その駅貼り広告は、京浜急行電鉄 (Keikyu Corporation) の京急空港線 (Keikyu Airport Line)、京急線品川駅 (Shinagawa Station) - 京急線羽田空港国内線ターミナル駅 (Haneda Airport Domestic Terminal Station) 間の告知で、くりぃむしちゅー (Cream Stew) の2人、上田晋也 (Shinya Ueda) と有田哲平 (Teppei Arita) が起用されている。
上掲画像とよく似ているが、全く同じではない。こんなにも横に長くない。ぼくが中野坂上駅 (Nakano-sakaue Station) でみているのは、画面左下に路線図が描かれている。それは黒い実線の真円で描写されているJR山手線 (Yamanote Line) を薄く貫く様にして、赤い太線による京急空港線 (Keikyu Airport Line)の経路と停車駅が指し示されているのである。
電車を待っている数分、その広告を眺めながら、次の様な事を考えている。
くりぃむしちゅー (Cream Stew) の2人は要所要所に銀ないしは白のストライプが入った赤いスーツを着ている。その下の白いシャツとあわせてみれば、彼等の衣装そのものが、赤地に白銀のストライプで、これは京浜急行電鉄 (Keikyu Corporation) の電車のデザインと全く同じだ。ついでに書けば、この広告物自体も赤と白銀のツー・トーンなのである。
ここまでは特に問題はない。
問題は彼等が着用しているスーツだ。この広告の為に新たに仕立てたのだろうか。それとも、赤いスーツに現場で銀色の襟を縫い付けただけなのだろうか。
勿論、その解答がそこで得られる筈もなく、ぼくはそこで電車を待っているだけでいつも、悶々と自問自答を繰り返しているばかりなのだ。
何故、そんなことばかり考えているのだろう、考えさせられているのだろうと謂うと、外形的な理由は単純なのだ。上にも既に綴られている。週に数回利用する駅でしかもその広告の前面でぼくはいつも電車を待つ。さらにはその広告が貼り替えられる気遣いはなく、長期間掲示されている。つまりはそういう事だ。
だけれどもそればかりではないだろう。そう思いなおした途端、幾つもの事柄にぼくは気づいてしまう。
先ず第一に、くりぃむしちゅー (Cream Stew) の向かうべき方向がおかしいのだ。
上掲にある様に、彼等2人は画面右から左へと駆け出している。しかし、この広告が掲示されている中野坂上駅 (Nakano-sakaue Station) の1番線は、新宿駅 (Shinjuku Station) 〜六本木駅 (Roppongi Station) 方面に向かう電車の為のモノで、広告に準じて謂えば、その電車は左から右へと向かってはしるのだ。
他の場所ではいざ知らず、画面上で彼等の向かう先と実際にはしる電車の向かう先が真逆なのである。念の為に指摘しておけば、その広告に登場するふたつの駅名、京急線品川駅 (Shinagawa Station) も京急線羽田空港国内線ターミナル駅 (Haneda Airport Domestic Terminal Station) も新宿駅 (Shinjuku Station) 〜六本木駅 (Roppongi Station) 方面のさらに向こう、実際には画面右側にあるのである。
そこでぼくは頭の中で、この広告を左右逆転させてみる。その構図でなければならない理由はなんなのか。逆に、左右逆転させたその構図のどこに一体、不都合があるのだろう。そう、考えざるを得なくなる。勿論、同時に掲載されている文字や路線図までをも、逆転させてしまう訳にはいかないのだろうけれども。
単純に構図を左右逆転させると、くりぃむしちゅー (Cream Stew) の2人の立ち位置が通常とは逆になる。お笑いコンビとしてそれは果たして如何なモノか。
例えば、ウッチャンナンチャン (Utchan Nanchan) の場合、お笑いネタを行う場合とヴァラエティ番組に登場する場合で、内村光良 (Teruyoshi Uchimura) と南原清隆 (Kiyotaka Nanbara) の立ち位置は入れ替わる。前者では左に南原清隆 (Kiyotaka Nanbara)、右に内村光良 (Teruyoshi Uchimura) であるのが、後者では左に内村光良 (Teruyoshi Uchimura) 、右に南原清隆 (Kiyotaka Nanbara) となる。これは後者の場合、テロップ等で表示されるウッチャンナンチャン (Utchan Nanchan) と彼等の実際の立ち位置が交錯するのを避ける為だ [この直前の文章で、本来ならば右に某、左に某と綴るべきところを、左に某、右に某としたのも、それに準拠したモノなのである]。
だから、必ずしも立ち位置が固定化されなければならないモノではないのだろうが、これはあくまでもウッチャンナンチャン (Utchan Nanchan) の場合の対応だ。くりぃむしちゅー (Cream Stew) がどこまでそれを厳密にしているのかは、先の銀色の襟の問題と同様、ここで解決が出来る訳ではない。
但し、"本来ならば右に某、左に某と綴るべきところを、左に某、右に某"と綴ってしまった結果、ひとつの解は得られてしまう。
日本語では右が過去で左が未来なのだ。日本語の文章は本来は縦書きで右上から綴り始め改行すればその左側に次が続く。つまり右から始めて左へと向かう。絵巻物 (Emakimono) での、物語が巻頭最右翼から始まり左へ左へと物語が語られていくのはそんな理由だ。
これが欧米ならば逆になり、左が過去で右が未来となる。文章が左上から綴られていき改行されればその下へと続くのである。タロットカード (Tarot Cards) の各図案で左が過去で右が未来と設定されているのは [こちらを参照の事] 神秘主義 (Mysticism) に殉じているからでも隠秘哲学 (Occultisme) に応じているからでもない。文章の綴られる形式に支配されているだけなのだ。
おそらく、この広告もそんな思考に則ってデザインされたのであろう。
そして、もう一度、その広告をみてみる。
写真等の静止画像を観る場合、真っ先に眼に止まるのは、カメラ目線人物の視線、つまりその人物の眼だ。
この広告の場合、ふたりいるが、日本語の文章云々と謂う事を前提にすれば、右側の人物の視線が先に、眼に飛び込んでくる。
その右側の人物、有田哲平 (Teppei Arita) のそれは彼のキャラクターも相待って、色悪 (Iroaku : Handsome Villain) を気取る様な誘惑的な視線にみえる。そんな視線に不安ながらも導かれて左へと視線を泳がせれば、上田晋也 (Shinya Ueda) の破顔が待っている。さっきまで抱えていた一抹の不安がここで一挙に解消されてしまうのかもしれない。
そんな効果まで考えに考え抜いた結果、この広告が完成されているとしたら、とても面白い。
次回は「り」。
附記:
と、ここまで綴ってきて、実は、この広告にもうひとつのパターンがある事をようやくに知る [こちらを参照の事]。「都心へビュン。京急!」と謂うキャッチコピーと一緒に掲載されているくりぃむしちゅー (Cream Stew) の2人は、左から右へと走り出している。立ち位置も左が上田晋也 (Shinya Ueda) で右が有田哲平 (Teppei Arita) だ。
ここまで綴ってきた事の一切が崩れ出してきそうな気がしないでもない。
だが、右に有田哲平 (Teppei Arita) が立つ事によって、結果的に彼が画面奥に位置してしまい、それによってあるべき効果のひとつが喪われてしまった様にもみえる。それは、スーツのボタンを外した彼のネクタイが風にそよいでいる意味だ。スーツのボタンを外した有田哲平 (Teppei Arita) が画面奥に位置している結果、本来あるべき疾走感が視覚上、減衰してみえるのである。
スーツのボタンを外す外さないは、恐らく2人の個性に準じて成されたモノだと思うのではあるのだが。果たして。
難しい事は一切ない。神秘的 (Mystical) でも隠秘的 (Occult) でもない。実務的な現実的な所作がそこにあるだけなのである。
とはいえ、その駅貼り広告は随分と前からそこに貼り出され続けている。他の場所が、次から次へと新商品への告知物とすり替えられて行ったり、景気動向からあり得べき広告物が存在しない時季があったとしても、その駅貼り広告はそこにずっとあった様な気がする。
それとも、そんな認識は、週に何回か、その駅を利用し、そして利用する度にその場所で次の電車を待っているぼくの思い違いと謂うモノなのだろうか。

その駅貼り広告は、京浜急行電鉄 (Keikyu Corporation) の京急空港線 (Keikyu Airport Line)、京急線品川駅 (Shinagawa Station) - 京急線羽田空港国内線ターミナル駅 (Haneda Airport Domestic Terminal Station) 間の告知で、くりぃむしちゅー (Cream Stew) の2人、上田晋也 (Shinya Ueda) と有田哲平 (Teppei Arita) が起用されている。
上掲画像とよく似ているが、全く同じではない。こんなにも横に長くない。ぼくが中野坂上駅 (Nakano-sakaue Station) でみているのは、画面左下に路線図が描かれている。それは黒い実線の真円で描写されているJR山手線 (Yamanote Line) を薄く貫く様にして、赤い太線による京急空港線 (Keikyu Airport Line)の経路と停車駅が指し示されているのである。
電車を待っている数分、その広告を眺めながら、次の様な事を考えている。
くりぃむしちゅー (Cream Stew) の2人は要所要所に銀ないしは白のストライプが入った赤いスーツを着ている。その下の白いシャツとあわせてみれば、彼等の衣装そのものが、赤地に白銀のストライプで、これは京浜急行電鉄 (Keikyu Corporation) の電車のデザインと全く同じだ。ついでに書けば、この広告物自体も赤と白銀のツー・トーンなのである。
ここまでは特に問題はない。
問題は彼等が着用しているスーツだ。この広告の為に新たに仕立てたのだろうか。それとも、赤いスーツに現場で銀色の襟を縫い付けただけなのだろうか。
勿論、その解答がそこで得られる筈もなく、ぼくはそこで電車を待っているだけでいつも、悶々と自問自答を繰り返しているばかりなのだ。
何故、そんなことばかり考えているのだろう、考えさせられているのだろうと謂うと、外形的な理由は単純なのだ。上にも既に綴られている。週に数回利用する駅でしかもその広告の前面でぼくはいつも電車を待つ。さらにはその広告が貼り替えられる気遣いはなく、長期間掲示されている。つまりはそういう事だ。
だけれどもそればかりではないだろう。そう思いなおした途端、幾つもの事柄にぼくは気づいてしまう。
先ず第一に、くりぃむしちゅー (Cream Stew) の向かうべき方向がおかしいのだ。
上掲にある様に、彼等2人は画面右から左へと駆け出している。しかし、この広告が掲示されている中野坂上駅 (Nakano-sakaue Station) の1番線は、新宿駅 (Shinjuku Station) 〜六本木駅 (Roppongi Station) 方面に向かう電車の為のモノで、広告に準じて謂えば、その電車は左から右へと向かってはしるのだ。
他の場所ではいざ知らず、画面上で彼等の向かう先と実際にはしる電車の向かう先が真逆なのである。念の為に指摘しておけば、その広告に登場するふたつの駅名、京急線品川駅 (Shinagawa Station) も京急線羽田空港国内線ターミナル駅 (Haneda Airport Domestic Terminal Station) も新宿駅 (Shinjuku Station) 〜六本木駅 (Roppongi Station) 方面のさらに向こう、実際には画面右側にあるのである。
そこでぼくは頭の中で、この広告を左右逆転させてみる。その構図でなければならない理由はなんなのか。逆に、左右逆転させたその構図のどこに一体、不都合があるのだろう。そう、考えざるを得なくなる。勿論、同時に掲載されている文字や路線図までをも、逆転させてしまう訳にはいかないのだろうけれども。
単純に構図を左右逆転させると、くりぃむしちゅー (Cream Stew) の2人の立ち位置が通常とは逆になる。お笑いコンビとしてそれは果たして如何なモノか。
例えば、ウッチャンナンチャン (Utchan Nanchan) の場合、お笑いネタを行う場合とヴァラエティ番組に登場する場合で、内村光良 (Teruyoshi Uchimura) と南原清隆 (Kiyotaka Nanbara) の立ち位置は入れ替わる。前者では左に南原清隆 (Kiyotaka Nanbara)、右に内村光良 (Teruyoshi Uchimura) であるのが、後者では左に内村光良 (Teruyoshi Uchimura) 、右に南原清隆 (Kiyotaka Nanbara) となる。これは後者の場合、テロップ等で表示されるウッチャンナンチャン (Utchan Nanchan) と彼等の実際の立ち位置が交錯するのを避ける為だ [この直前の文章で、本来ならば右に某、左に某と綴るべきところを、左に某、右に某としたのも、それに準拠したモノなのである]。
だから、必ずしも立ち位置が固定化されなければならないモノではないのだろうが、これはあくまでもウッチャンナンチャン (Utchan Nanchan) の場合の対応だ。くりぃむしちゅー (Cream Stew) がどこまでそれを厳密にしているのかは、先の銀色の襟の問題と同様、ここで解決が出来る訳ではない。
但し、"本来ならば右に某、左に某と綴るべきところを、左に某、右に某"と綴ってしまった結果、ひとつの解は得られてしまう。
日本語では右が過去で左が未来なのだ。日本語の文章は本来は縦書きで右上から綴り始め改行すればその左側に次が続く。つまり右から始めて左へと向かう。絵巻物 (Emakimono) での、物語が巻頭最右翼から始まり左へ左へと物語が語られていくのはそんな理由だ。
これが欧米ならば逆になり、左が過去で右が未来となる。文章が左上から綴られていき改行されればその下へと続くのである。タロットカード (Tarot Cards) の各図案で左が過去で右が未来と設定されているのは [こちらを参照の事] 神秘主義 (Mysticism) に殉じているからでも隠秘哲学 (Occultisme) に応じているからでもない。文章の綴られる形式に支配されているだけなのだ。
おそらく、この広告もそんな思考に則ってデザインされたのであろう。
そして、もう一度、その広告をみてみる。
写真等の静止画像を観る場合、真っ先に眼に止まるのは、カメラ目線人物の視線、つまりその人物の眼だ。
この広告の場合、ふたりいるが、日本語の文章云々と謂う事を前提にすれば、右側の人物の視線が先に、眼に飛び込んでくる。
その右側の人物、有田哲平 (Teppei Arita) のそれは彼のキャラクターも相待って、色悪 (Iroaku : Handsome Villain) を気取る様な誘惑的な視線にみえる。そんな視線に不安ながらも導かれて左へと視線を泳がせれば、上田晋也 (Shinya Ueda) の破顔が待っている。さっきまで抱えていた一抹の不安がここで一挙に解消されてしまうのかもしれない。
そんな効果まで考えに考え抜いた結果、この広告が完成されているとしたら、とても面白い。
次回は「り」。
附記:
と、ここまで綴ってきて、実は、この広告にもうひとつのパターンがある事をようやくに知る [こちらを参照の事]。「都心へビュン。京急!」と謂うキャッチコピーと一緒に掲載されているくりぃむしちゅー (Cream Stew) の2人は、左から右へと走り出している。立ち位置も左が上田晋也 (Shinya Ueda) で右が有田哲平 (Teppei Arita) だ。
ここまで綴ってきた事の一切が崩れ出してきそうな気がしないでもない。
だが、右に有田哲平 (Teppei Arita) が立つ事によって、結果的に彼が画面奥に位置してしまい、それによってあるべき効果のひとつが喪われてしまった様にもみえる。それは、スーツのボタンを外した彼のネクタイが風にそよいでいる意味だ。スーツのボタンを外した有田哲平 (Teppei Arita) が画面奥に位置している結果、本来あるべき疾走感が視覚上、減衰してみえるのである。
スーツのボタンを外す外さないは、恐らく2人の個性に準じて成されたモノだと思うのではあるのだが。果たして。
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