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2018.01.21.08.35

『ライヴ・イン・トーキョー (LIVE IN TOKYO)』 by ウェザー・リポート (WEATHER REPORT)

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初めて聴いた作品はライヴ盤『エイト・サーティ (8:30)』 [1979年発表] で、一番好きな作品もそれ、『エイト・サーティ (8:30)』だ。
それは昔も今も変わらない。
彼等の作品はその後、その作品を起点にして聴いていく事になるのだが、結局、その作品に立ち返る羽目になる。

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多分、当時の誰もがそうである様に、そこのベーシスト、ジャコ・パストリアス (Jaco Pastorius) に参ってしまったのだ。
奏法、技巧、はてはその立ち居振る舞いも破格なモノに感じた。
だから、ウェザー・リポート (Weather Report) は紛ごう事なくジャコ・パストリアス (Jaco Pastorius) のバンドであって、ぼくが当時買い集めたのも彼が在籍していた時代の作品ばかりだ。アルバム『エイト・サーティ (8:30)』を丁度中央あたりに据えて全6作、それがウェザー・リポート (Weather Report) の総てだったのだ。

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彼が脱退して以降のウェザー・リポート (Weather Report) の作品群を追いかける事はやっていない。その代わりに脱退したジャコ・パストリアス (Jaco Pastorius) のソロ第2作『ワード・オブ・マウス (Word Of Mouth)』 [1981年発表] を聴いて途方に暮れていた。そしてその後の活動をフォローしきれぬままに、そのまま、彼の訃報に触れる事になる。

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ジャズ (Jazz) の歴史を繙くと、ウェザー・リポート (Weather Report) の第1作『ウェザー・リポート (Weather Report)』 [1971年発表] の評価はとても高い。
とても高いが、あのヴィジュアル・イメージは、ぼくの馴染んでいたウェザー・リポート (Weather Report) の作品群とは一線を画している。一見、幽霊船とも寸断された魚類の骨格の様にみえる。それだけで怯んだ。
しかし、よくみると、それは外洋をすべる数隻のヨットを上空から捉えた視点だった。
そんな事にようやく気付いた後に、恐る恐るその作品に接する訳だが、何度聴いてもよく解らない。何故、これが"ジャズ (Jazz)"なのか。後に続くフュージョン (Fusion) の魁けとなった作品とは謂われてはいるが、とてもその様な音楽にはぼくには思われない。中音域ばかりが耳にこびりつく茫洋とした音響は、寧ろ、ジャーマン・プログレ (Krautrock) の方に共通するモノがある。

だから、本作品を入手したのだ。
一聴、ジャーマン・プログレ (Krautrock) と聴き紛ごうそのサウンドのライヴ版を体感出来るのではなかろうか、と思っての事だ。

第1作とは全く違う。
だからと謂って、勿論、7年後に発表されるライヴ・アルバム『エイト・サーティ (8:30)』 とも全く違う。
後者と違うのはまだ解る。メンバー4人乃至5人のうち、共に在籍しているのは2人だけ、ジョー・ザビヌル (Joe Zawinul) とウェイン・ショーター (Wayne Shorter)、この2人だけなのだ。
だが、第1作と異なるのはどういう訳なのだろうか。その作品発表直後の来日公演だ [尤も、ドラムス (Drums) とパーカッション (Percussion) は交代はしてはいるのだが]。
そこがとっても解せない。本作と第1作に通じる音楽を呈示しているのは楽曲『オレンジ・レディ ( Orange lady)』 [ジョー・ザビヌル (Joe Zawinul) 作] くらいで、しかもその曲の感触はそのまま『エイト・サーティ (8:30)』にも通じていると謂えなくもない。極論を謂えば、その曲はウェザー・リポート (Weather Report) の全歴史に於ける最大公約数 (Greatest Common Divisor) と看做す事も出来るかもしれない。
それと、もうひとつ。各楽器から繰り出される音々のすきまがとてもおおきいのだ。つまり、密ではない。これは恐らく、ジョー・ザビヌル (Joe Zawinul) の演奏する楽器群の編成に起因しているのだろう。シンセサイザー (Synthesizer) がそこにはないのだ。

この作品を聴いていると、ふたつのおおきなちからが働いている様に思える。
ひとつは、ジャズ (Jazz) からどこまでも遠くへと行こうと謂う遠心力 (Centrifugal Force) だ。
その一方で、より深く大きく ジャズ (Jazz) であろうとする向心力 (Centripetal Force) がある。ふたつのちからは絶えず他方に反発する様に働いている。
その鬩ぎ合いを堪能すべきなのかもしれない。

一般的なジャズ史観 (The View Of Jazz History) の基では、ウェザー・リポート (Weather Report) は、以下の様な歴史として記録されている。
ジョー・ザビヌル (Joe Zawinul) 〜ウェイン・ショーター (Wayne Shorter) 〜ミロスラフ・ヴィトウス (Miroslav Vitous) 3者が対等の権限をもって結成された。それが次第にそれぞれの異なる音楽性に起因してミロスラフ・ヴィトウス (Miroslav Vitous) が脱退。その結果、ジョー・ザビヌル (Joe Zawinul) 〜ウェイン・ショーター (Wayne Shorter) による運営とはなったものの前者の発言が非常に大きくなり、両者が袂を分かって解散となる。
つまり、ジョー・ザビヌル (Joe Zawinul) 〜ウェイン・ショーター (Wayne Shorter) 〜ミロスラフ・ヴィトウス (Miroslav Vitous) の三頭政治 (Triumviratus) から、ジョー・ザビヌル (Joe Zawinul) 〜ウェイン・ショーター (Wayne Shorter) の枢軸 (Axis Powers) を経て、ジョー・ザビヌル (Joe Zawinul) の独裁 (Dictatorship) と謂う結末だ。
そんな視点を念頭に置いて、ウェザー・リポート (Weather Report) の作品群を聴いていくと、ジョー・ザビヌル (Joe Zawinul) がそこで演りたかった事と謂うモノはよく解るし、それを前提にすればミロスラフ・ヴィトウス (Miroslav Vitous) が脱退しなければならなかったモノもよく解った様な気持ちになる。
だけれども、ひとつだけ腑に落ちないのはウェイン・ショーター (Wayne Shorter) の事なのだ。彼がここで何を画策していたのかと謂うのが、いつまで経ってもぼくには解らない。

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本作のジャケットを見開いてみれば、そこにメンバー全5名が居並んでいるが、ウェイン・ショーター (Wayne Shorter) が一番扱いが小さく、奥まった場所に居る。ジョー・ザビヌル (Joe Zawinul) が中央で一際おおきな扱いなのは御無理御尤もであるだけに、ウェイン・ショーター (Wayne Shorter) よ、おまえはそこに甘んじていていいのか、とふと言葉が漏れてしまうのだ。

ものづくし (click in the world!) 183. :
『ライヴ・イン・トーキョー (LIVE IN TOKYO)』 by ウェザー・リポート (WEATHER REPORT)


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ライヴ・イン・トーキョー (LIVE IN TOKYO)』 by ウェザー・リポート (WEATHER REPORT)

衝撃のデヴュー直後の来日公演 [72年] を完全収録した傑作ライヴ。まさに歴史の1ページを刻み込んだウェザーの生々しい息吹が、マスターサウンドで鮮やかに甦る!

Disc 1
1. MEDLEY メドレー (26:11)
1) VERTICAL INVADER ヴァーティカル・インヴェーダー - J. Zawinul -
2) SEVENTH ARROW セヴンス・アロー - M. Vitous -
3) T.H. T.H. - M. Vitous -
4) DOCTOR HONORIS CAUSA* ドクター・オノリス・コウサ - J. Zawinul -
2. MEDLEY メドレー (19:19)
1) SURUCUCU スルクク - W. Shorter -
2) LOST ロスト - W. Shorter -
3) EARLY MINOR アーリー・マイナー - J. Zawinul -
4) DIRECTIONS ディレクションズ - J. Zawinul -
Disc 2
1. ORANGE LADY オレンジ・レディ (18:13) - J. Zawinul -
2. MEDLEYメドレー (13:51)
1) EURYDICE ユリディス - W. Shorter -
2) THE MOORS ザ・ムアーズ - W. Shorter -
3. MEDLEY メドレー (10:54)
1) TEARS ティアーズ - W. Shorter -
2) UMBRELLAS アンブレラ - W. Shorter - J. Zawinul -

All The Selections Published by Barometer Music (BMI)
*Zawinul Music

<Personnel>
Joe Zawinul ジョー・ザビヌル (Acoustic & Electric Piano)
Wayne Shorter ウェイン・ショーター (Soprano & Tenor Sax)
Miroslav Vitous ミロスラフ・ヴィトウス (Acoustic & Electric Bass)
Eric Gravatt エリック・グラバット (Drums)
Don Un Romao* ドン・ウン・ロマオ (Percussion)
through the courtesy of Buddah Records

<Recording Data & Location>
January 13 1972 at Shibuya Philharmonic Hall, Tokyo
19721月13日 渋谷公会堂に於ける実況録音
Produced by Kiyoshi Ito
Engineering : Susumu Sato
Photograph : Tadayuki Naitoh
Design : Eiko Ishioka / Yoshio Nakanishi
Special Thanks To JOLF and Universal Orient Promotions

(P)(C) 1972 Sony Music Entertainment Inc.

ぼくの所有している国内盤、紙ジャケットCDには成田正 / Tadashi Narita Jan. 1995の解説が封入されている。
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