2018.01.16.11.26
ハーシェル・ゴードン・ルイス (Herschell Gordon Lewis) の方ではない。あれはゴア (Gore) と謂う。血塗れ (Bloody) と謂う意味だ。
本稿の主題はゴア (Goa)、英名ではロダック (Rodak) とも謂う。手塚治虫 (Tezuka Osamu) 創造の宇宙からきた侵略者で、マンガ『マグマ大使 (Ambassador Magma)』 [1965〜1967年 少年画報連載] の登場人物だ。
とは謂うモノの、ぼくはそのマンガ自体は未読なのであった。
なので、自ずとこれから綴るこの文章は、そのマンガを原作とするTV番組『マグマ大使
(Ambassador Magma)』 [1966~1967年 フジテレビ系列放映] に登場した彼についての事となる。

ゴア (Goa) を演じたのは大平透 (Toru Ohira) だ。この後、様々なところで彼の声を聴く事となるのだが、その彼の声を初めて聴いて認識したのが、このゴア (Goa) なのだ。この番組でその声を認識して以来、しばらくは他の番組で彼の声を聴くたびに、あ、このヒトはゴア (Goa) の声だ、と理解していた。
それだけ印象が強いのだ。
そして、上掲画像にある様に、声優としてだけでなく、実際にゴア (Goa) の着ぐるみに入り、番組に出演し演技をしていた。文字通り、大平透 (Toru Ohira) こそ、ゴア (Goa) の中の人 (Person Inside) なのである。
さて、このゴア (Goa) なのだけれども、これまでに [そしてその後にも] 地球を侵略してきた数々の宇宙人の中にあって、いささか特異な性格をうちに秘めている様に、ぼくには感じられる。
彼の真の目的は地球侵略であり、その為に彼は宿敵であるマグマ大使 (Ambassador Magma) を打破しなければならない。
にも関わらずに、彼の視点はもうひとつ別の場所に絶えず注がれている様な気がするのだ。
それは、地球人である村上マモル (Mamoru Murakami) [演:江木俊夫 (Toshio Egi)] に向けてのモノだ。
勿論、村上マモル (Mamoru Murakami) はマグマ大使 (Ambassador Magma) へ直接アプローチが可能な、唯一の地球人であり、その点だけに注目しても、ゴア (Goa) が村上マモル (Mamoru Murakami) を注視しなければならない理由ではある。
だがしかし、マグマ大使 (Ambassador Magma) と村上マモル (Mamoru Murakami) が接点を持つ事になったのも、元はと謂えば、ゴア (Goa) 自身がその少年を含めた村上家 (The Myrakamis) にアプローチした事が原因なのだ。
村上マモル (Mamoru Murakami) の父親、村上厚 (Atsush Murakami Atsush) [演:岡田眞澄 (Masumi Okada)] は通信社の記者であり、彼を通じて自身の能力を全世界に発信せしめようとゴア (Goa) は画策するのだ。謂わば、メディアを通じて広義の意味でのテロリズムを全人類に行おうと試みたのである。そして、ゴア (Goa) はその時に於いて、初めて記者の一人息子を認知するのだ。以来、これ以降、村上家 (The Murakamis) をゴア (Goa) による数々の危難が襲う。母親である村上友子 (Tomoko Murakami) [演:八代万智子 (Machiko Yashiro)] が誘拐されて行方不明となるのはその一端である。
尤も、村上マモル (Mamoru Murakami) への視線はゴア (Goa) に限った事ではない。マグマ大使 (Ambassador Magma) もこれは同様だ。彼の一人息子ガム (Gum) [演:二宮秀樹 (Hideki NInomiya)、吉田次昭 (Tsuguaki Yoshida)] が産まれるのも、マグマ大使 (Ambassador Magma) が村上マモル (Mamoru Murakami) と謂う少年に心酔したからなのである。
ここだけを捉えればTV番組『マグマ大使
(Ambassador Magma)』と謂う物語の真の主人公は、村上マモル (Mamoru Murakami) である、と謂えるのかもしれない。
そんな物語の構造を見据えてみれば、ぼくはTV番組『ウルトラマン
(Ultraman)』 [1966~1967年 TBS系列放映] の第33話『禁じられた言葉
(The Forbidden Words)』 [脚本:金城哲夫 監督:鈴木俊継 特技監督:高野宏一] を想起させられる。
メフィラス星人 (Alien Mefilas) は、科学特捜隊 (The Science Special Search Party) のフジ・アキコ隊員 (Personnel Officer Akiko Fuji) [演:桜井浩子 (Hiroko Sakurai)] とその弟フジ・サトル (Satoru Fuji) [演:川田勝明 (Karsuaki Kawata)] を誘拐し、たったひとつの言葉を発する事をフジ・サトル (Satoru Fuji) に迫るのだ。
ゴア (Goa) の村上マモル (Mamoru Murakami) への視線は多分に、メフィラス星人 (Alien Mefilas) のフジ・サトル (Satoru Fuji) のそれと重複している様にも、ぼくには想える。
TV番組『マグマ大使
(Ambassador Magma)』と謂う長い物語の骨子を30分と謂う短い時間へと濃縮したのが、第33話『禁じられた言葉
(The Forbidden Words)』ではないだろうか。
次回は「あ」。
附記:
その一方で、TV番組『マグマ大使
(Ambassador Magma)』と謂う物語をさらに、膨大な挿話の数々に展開してみせたのが、江戸川乱歩 (Edogawa Rampo) の『少年探偵団シリーズ (The Boy Detectives Club Series)』の様にも思えるのだ。
マグマ大使 (Ambassador Magma) を明智小五郎 (Kogoro Akechi) に、村上マモル (Mamoru Murakami) を小林芳雄 (Yoshio Kobayashi) に、そしてゴア (Goa) を怪人20面相 (The Fiend With Twenty Faces) に擬制してみる事も出来るのではなかろうか、と謂う訳だ。
名探偵と怪盗は各々の生涯にわたる宿敵同士ではあろうが、そのふたりの敵対関係の中を、自ら火中に投じるかの様に奮闘する少年探偵のその様こそ、TV番組『マグマ大使
(Ambassador Magma)』に於ける村上マモル (Mamoru Murakami) が担う役割であるかの様に、思えるのである。
本稿の主題はゴア (Goa)、英名ではロダック (Rodak) とも謂う。手塚治虫 (Tezuka Osamu) 創造の宇宙からきた侵略者で、マンガ『マグマ大使 (Ambassador Magma)』 [1965〜1967年 少年画報連載] の登場人物だ。
とは謂うモノの、ぼくはそのマンガ自体は未読なのであった。
なので、自ずとこれから綴るこの文章は、そのマンガを原作とするTV番組『マグマ大使

ゴア (Goa) を演じたのは大平透 (Toru Ohira) だ。この後、様々なところで彼の声を聴く事となるのだが、その彼の声を初めて聴いて認識したのが、このゴア (Goa) なのだ。この番組でその声を認識して以来、しばらくは他の番組で彼の声を聴くたびに、あ、このヒトはゴア (Goa) の声だ、と理解していた。
それだけ印象が強いのだ。
そして、上掲画像にある様に、声優としてだけでなく、実際にゴア (Goa) の着ぐるみに入り、番組に出演し演技をしていた。文字通り、大平透 (Toru Ohira) こそ、ゴア (Goa) の中の人 (Person Inside) なのである。
さて、このゴア (Goa) なのだけれども、これまでに [そしてその後にも] 地球を侵略してきた数々の宇宙人の中にあって、いささか特異な性格をうちに秘めている様に、ぼくには感じられる。
彼の真の目的は地球侵略であり、その為に彼は宿敵であるマグマ大使 (Ambassador Magma) を打破しなければならない。
にも関わらずに、彼の視点はもうひとつ別の場所に絶えず注がれている様な気がするのだ。
それは、地球人である村上マモル (Mamoru Murakami) [演:江木俊夫 (Toshio Egi)] に向けてのモノだ。
勿論、村上マモル (Mamoru Murakami) はマグマ大使 (Ambassador Magma) へ直接アプローチが可能な、唯一の地球人であり、その点だけに注目しても、ゴア (Goa) が村上マモル (Mamoru Murakami) を注視しなければならない理由ではある。
だがしかし、マグマ大使 (Ambassador Magma) と村上マモル (Mamoru Murakami) が接点を持つ事になったのも、元はと謂えば、ゴア (Goa) 自身がその少年を含めた村上家 (The Myrakamis) にアプローチした事が原因なのだ。
村上マモル (Mamoru Murakami) の父親、村上厚 (Atsush Murakami Atsush) [演:岡田眞澄 (Masumi Okada)] は通信社の記者であり、彼を通じて自身の能力を全世界に発信せしめようとゴア (Goa) は画策するのだ。謂わば、メディアを通じて広義の意味でのテロリズムを全人類に行おうと試みたのである。そして、ゴア (Goa) はその時に於いて、初めて記者の一人息子を認知するのだ。以来、これ以降、村上家 (The Murakamis) をゴア (Goa) による数々の危難が襲う。母親である村上友子 (Tomoko Murakami) [演:八代万智子 (Machiko Yashiro)] が誘拐されて行方不明となるのはその一端である。
尤も、村上マモル (Mamoru Murakami) への視線はゴア (Goa) に限った事ではない。マグマ大使 (Ambassador Magma) もこれは同様だ。彼の一人息子ガム (Gum) [演:二宮秀樹 (Hideki NInomiya)、吉田次昭 (Tsuguaki Yoshida)] が産まれるのも、マグマ大使 (Ambassador Magma) が村上マモル (Mamoru Murakami) と謂う少年に心酔したからなのである。
ここだけを捉えればTV番組『マグマ大使
そんな物語の構造を見据えてみれば、ぼくはTV番組『ウルトラマン
メフィラス星人 (Alien Mefilas) は、科学特捜隊 (The Science Special Search Party) のフジ・アキコ隊員 (Personnel Officer Akiko Fuji) [演:桜井浩子 (Hiroko Sakurai)] とその弟フジ・サトル (Satoru Fuji) [演:川田勝明 (Karsuaki Kawata)] を誘拐し、たったひとつの言葉を発する事をフジ・サトル (Satoru Fuji) に迫るのだ。
ゴア (Goa) の村上マモル (Mamoru Murakami) への視線は多分に、メフィラス星人 (Alien Mefilas) のフジ・サトル (Satoru Fuji) のそれと重複している様にも、ぼくには想える。
TV番組『マグマ大使
次回は「あ」。
附記:
その一方で、TV番組『マグマ大使
マグマ大使 (Ambassador Magma) を明智小五郎 (Kogoro Akechi) に、村上マモル (Mamoru Murakami) を小林芳雄 (Yoshio Kobayashi) に、そしてゴア (Goa) を怪人20面相 (The Fiend With Twenty Faces) に擬制してみる事も出来るのではなかろうか、と謂う訳だ。
名探偵と怪盗は各々の生涯にわたる宿敵同士ではあろうが、そのふたりの敵対関係の中を、自ら火中に投じるかの様に奮闘する少年探偵のその様こそ、TV番組『マグマ大使
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