2017.11.21.12.55
平光琢也 (Takuya Hiramitsu)、赤星昇一郎 (Shoichiro Akaboshi) そして郷田ほづみ (Hozumi Goda) によるお笑いユニットの事ではない。あれは怪物ランド (Kaibutsu Land) と謂う。
ちなみに、怪物ランド (Kaibutsu Land) と謂えば、マンガ『怪物くん
(Kaibutsu-kun)』 [藤子不二雄A (Fujiko Fujio A) 作 1965~1969年 少年画報連載] の主人公である怪物太郎 (Taro Kaibutsu) の故郷も怪物ランド (Kaibutsu Land) である。
そうではない。これから綴るべき主題は、怪物ランド (Kaibutsu Land) に似て非なる場所、怪獣ランド (Monsterland) なのである。
その島は20世紀末に、小笠原諸島 (Ogasawara Islands) のひとつとして存在していた架空の地域、映画『怪獣総進撃
(Destroy All Monsters)』 [本多猪四郎 (Ishiro Honda) 監督作品 1968年制作] の重要な舞台のひとつ、物語発端の場所である。
猶、ここでの怪獣ランド (Monsterland) は、その前作『怪獣島の決戦 ゴジラの息子
(Son Of Godzilla)』 福田純 (Jun Fukuda) 監督作品 1967年制作] の舞台となった怪獣島ことゾルゲル島 (Sollgel Island aka Monster Island) とも、その次作『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃 (All Monsters Attack)』 [本多猪四郎 (Ishiro Honda) 監督作品 1969年制作] の舞台となった怪獣島 (Monster Island) とも違うのである。
そこには、かつて人類達に様々なかたちで仇なしていた怪獣達 (Kaijus) が、人類が叡智を結集した結果、平和裡に生息していた。つまり、人類の支配下の許で、彼等は安閑な平穏の日々を過ごしていたのである。
その地域に似た環境、気象条件下に出自をもつ、ゴジラ (Godzilla) やミニラ (Minilla)、モスラ (Mothra) やゴロザウルス (Gorosaurus) やクモンガ (Kumonga) はまだしも、日本本土に土着の怪獣達、ラドン (Rodan) やバラン (Varan) やバラゴン (Baragon) もそこに棲んでいるのである。
生物とその環境を重視する現在の視点で考えれば、とても無茶な行為にもみえてしまう。
そう、例えば、映画『ジュラシック・パーク
(Jurassic Park)』 [原作:マイケル・クライトン (Michael Crichton) スティーヴン・スピルバーグ (Steven Spielberg) 監督作品 1993年制作] の舞台となったイスラ・ヌブラル島 (Isla Nublar) を想起してもらえばいいだろう。その映画作品では恐竜達 (Dinosaurs) が棲息していたが、それを怪獣達 (Kaijus) に置き換えた様なかたちで怪獣ランド (Monsterland) はある。
そして怪獣ランド (Monsterland) で起きた事件は、映画『ジュラシック・パーク
(Jurassic Park)』 よりも、その続編『ロスト・ワールド / ジュラシック・パーク
(The Lost World : Jurassic Park)』 [原作:マイケル・クライトン (Michael Crichton) スティーヴン・スピルバーグ (Steven Spielberg) 監督作品 1997年制作] での物語の方に似ている様な気がする。
怪獣ランド (Monsterland) に棲息していた総ての怪獣 (Kaijus) が遁走し、全世界へと拡散してしまうのである。
ただそれぞれの物語が違うのは、恐竜 (Dinosaur) と怪獣 (Kaiju) の差異ばかりではない。映画『ジュラシック・パーク
(Jurassic Park)』 で描かれている騒動の発端は、恐竜 (Dinosaur) の支配者であらねばならぬ人間達自身に起因する瑕疵によるモノだが、怪獣ランド (Monsterland) で起きた事件はそうではない。
キラアク星人 (Kilaaks) と名乗る外宇宙からの侵略者が突如として顕れ、怪獣達 (Kaijus) を支配してしまうのである。
そして彼等は、怪獣 (Kaiju) と謂う"武器"を使用して地球侵略を試みるのである [と、綴ってしまうと、この物語は映画『怪獣大戦争
(Invasion Of Astro-Monster)』 [本多猪四郎 (Ishiro Honda) 監督作品 1965年制作] とよく似た構造をもっている事になる]。
キラアク星人 (Kilaaks) に支配された怪獣達 (Kaijus) は、世界中の大都市に顕れて、そこにある一切を蹂躙する。
映画『怪獣総進撃
(Destroy All Monsters)』をみれば解るのだが、怪獣達 (Kaijus) の本当の魅力は、怪獣ランド (Monsterland) に於いて馴致されているその生態ではない。都市に顕れて、都市を破壊する、その姿なのである。
例えそれが、憎むべき宇宙人達 (Aliens) の支配の結果、怪獣達 (Kaijus) 自身の意識とは別のところによってなされた破壊行為であったとしても、である。
だからその物語では、宇宙人達 (Aliens) の支配から解放された怪獣達 (Kaijus) が、地球を護る為に団結し、宇宙人達 (Aliens) の排除へと行動を起こすが、果たしてそれはあり得る物語の展開なのだろうか。
むしろ、宇宙人達 (Aliens) の作為によっていみじくも、人類の支配からも解放された、彼等は自身の中にある自身の本性、つまり闘争本能 (Fighting Instincts) に覚醒するのではないか [と謂う発想を制作者側が持ち得たのであれば、この物語はそれ以降、きっと映画『ゴジラ ファイナル ウォーズ
(Godzilla Final Wars)』 [北村龍平 (Ryuhei Kitamura) 監督作品 2004年制作] の様なナラテヴィティ (Narrativety) を獲得したのではないだろうか]。
しかし、実際にはそうはならない。
物語は、富士 (Mt. Fuji) の裾野に置ける、彼等と宇宙怪獣キングギドラ (King Ghidorah The Space Monster) との死闘、そしてその勝利を経て、彼等はまた、怪獣ランド (Monsterland) での日常に復帰する。
つまり、物語は再び冒頭へと回帰するのだ。
そしてそれ故に、ぼく達はまたその映画で語られた物語をふたたびみる事を試みる。何故ならば、前回では決して語られなかったがそれ故に、そこにあり得たかもしれない物語の可能性をふと、望んでしまうからなのだ。
この映画にはいくつもの魅力的なところに溢れているが、そのひとつはそんな物語の構造に起因するのではないか。

上掲画像は、映画『怪獣総進撃
(Destroy All Monsters)』のエンディング・シーンより、その映画のヒロイン真鍋杏子 (Kyoko Manabe) [演:小林夕岐子 (Yukiko Kobayashi) ] が怪獣ランド (Monsterland) に棲む怪獣達 (Kaijyus) におくる笑顔である。
彼女は怪獣ランド (Monsterland) に勤務する職員のひとりであり、怪獣達 (kaijus) と同様にキラアク星人 (Kilaaks) の支配に陥り、物語のほぼ全編にわたって、宇宙人達 (Aliens) の傀儡となって行動する。だから、上掲画像は恐らく本編に登場する唯一の彼女の笑顔と謂う事になる。
但し、小林夕岐子 (Yukiko Kobayashi) の女優としての活躍は、キラアク星人 (Kilaaks) の傀儡として行動する際の、冷酷にしてかつ無表情な演技が評価された結果による事はここで指摘しておきたい。
ひととしてあらざるモノを演じる際に表出する彼女の美しさは、つまり、都市を破壊する際の怪獣達 (kaijyus) のそれと合致するのだ。
次回は「ど」。
ちなみに、怪物ランド (Kaibutsu Land) と謂えば、マンガ『怪物くん
そうではない。これから綴るべき主題は、怪物ランド (Kaibutsu Land) に似て非なる場所、怪獣ランド (Monsterland) なのである。
その島は20世紀末に、小笠原諸島 (Ogasawara Islands) のひとつとして存在していた架空の地域、映画『怪獣総進撃
猶、ここでの怪獣ランド (Monsterland) は、その前作『怪獣島の決戦 ゴジラの息子
そこには、かつて人類達に様々なかたちで仇なしていた怪獣達 (Kaijus) が、人類が叡智を結集した結果、平和裡に生息していた。つまり、人類の支配下の許で、彼等は安閑な平穏の日々を過ごしていたのである。
その地域に似た環境、気象条件下に出自をもつ、ゴジラ (Godzilla) やミニラ (Minilla)、モスラ (Mothra) やゴロザウルス (Gorosaurus) やクモンガ (Kumonga) はまだしも、日本本土に土着の怪獣達、ラドン (Rodan) やバラン (Varan) やバラゴン (Baragon) もそこに棲んでいるのである。
生物とその環境を重視する現在の視点で考えれば、とても無茶な行為にもみえてしまう。
そう、例えば、映画『ジュラシック・パーク
そして怪獣ランド (Monsterland) で起きた事件は、映画『ジュラシック・パーク
怪獣ランド (Monsterland) に棲息していた総ての怪獣 (Kaijus) が遁走し、全世界へと拡散してしまうのである。
ただそれぞれの物語が違うのは、恐竜 (Dinosaur) と怪獣 (Kaiju) の差異ばかりではない。映画『ジュラシック・パーク
キラアク星人 (Kilaaks) と名乗る外宇宙からの侵略者が突如として顕れ、怪獣達 (Kaijus) を支配してしまうのである。
そして彼等は、怪獣 (Kaiju) と謂う"武器"を使用して地球侵略を試みるのである [と、綴ってしまうと、この物語は映画『怪獣大戦争
キラアク星人 (Kilaaks) に支配された怪獣達 (Kaijus) は、世界中の大都市に顕れて、そこにある一切を蹂躙する。
映画『怪獣総進撃
例えそれが、憎むべき宇宙人達 (Aliens) の支配の結果、怪獣達 (Kaijus) 自身の意識とは別のところによってなされた破壊行為であったとしても、である。
だからその物語では、宇宙人達 (Aliens) の支配から解放された怪獣達 (Kaijus) が、地球を護る為に団結し、宇宙人達 (Aliens) の排除へと行動を起こすが、果たしてそれはあり得る物語の展開なのだろうか。
むしろ、宇宙人達 (Aliens) の作為によっていみじくも、人類の支配からも解放された、彼等は自身の中にある自身の本性、つまり闘争本能 (Fighting Instincts) に覚醒するのではないか [と謂う発想を制作者側が持ち得たのであれば、この物語はそれ以降、きっと映画『ゴジラ ファイナル ウォーズ
しかし、実際にはそうはならない。
物語は、富士 (Mt. Fuji) の裾野に置ける、彼等と宇宙怪獣キングギドラ (King Ghidorah The Space Monster) との死闘、そしてその勝利を経て、彼等はまた、怪獣ランド (Monsterland) での日常に復帰する。
つまり、物語は再び冒頭へと回帰するのだ。
そしてそれ故に、ぼく達はまたその映画で語られた物語をふたたびみる事を試みる。何故ならば、前回では決して語られなかったがそれ故に、そこにあり得たかもしれない物語の可能性をふと、望んでしまうからなのだ。
この映画にはいくつもの魅力的なところに溢れているが、そのひとつはそんな物語の構造に起因するのではないか。

上掲画像は、映画『怪獣総進撃
彼女は怪獣ランド (Monsterland) に勤務する職員のひとりであり、怪獣達 (kaijus) と同様にキラアク星人 (Kilaaks) の支配に陥り、物語のほぼ全編にわたって、宇宙人達 (Aliens) の傀儡となって行動する。だから、上掲画像は恐らく本編に登場する唯一の彼女の笑顔と謂う事になる。
但し、小林夕岐子 (Yukiko Kobayashi) の女優としての活躍は、キラアク星人 (Kilaaks) の傀儡として行動する際の、冷酷にしてかつ無表情な演技が評価された結果による事はここで指摘しておきたい。
ひととしてあらざるモノを演じる際に表出する彼女の美しさは、つまり、都市を破壊する際の怪獣達 (kaijyus) のそれと合致するのだ。
次回は「ど」。
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