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2017.10.17.10.05

かつかれー

を初めて喰べた日の事は、今でもよく憶えている。

その日は土曜日で、泊まりがけで伯母夫婦の家に、弟とふたりで遊びに行く事になっていた。
彼女のやっている雑貨店が閉まるのを見計らって、兄弟はそこに向かい、彼の夫、つまりぼくからみれば伯父がくるまで迎えに来る。

ぼく達、兄弟にとってはよくある週末の過ごし方、数ヶ月に1度の行事なのだ。
と、謂うのは、当時の我が家にはまだ白黒テレビ (Black‐and‐white Television) しかなく、彼等の自宅にあるカラーテレビ (Color Television) でいくつかのお目当の番組を観る事が、その行事のぼく達ふたりにとっての主たる目的だったからだ。

伯母夫婦がぼく達の内情をどの程度理解していたのかは、解らない。
彼等の実子はふたりとも娘で、しかも、既に長じて遠隔地に嫁いでしまっている。そのふたりの娘達にもそれぞれ子供が誕生していたが、そのどちらも女子だった。
だから、ぼく達兄弟は、伯母夫婦からみれば、得難い男の子達、孫達の様な位置づけだったのかもしれない。

伯父のくるまに乗ったぼく達は、いつもならば、そのまま彼等の自宅に直行し、伯母手作りの食事を囲む。だが、その日だけは少し、勝手が違っていた。

くるまは途中、とあるボーリング場 (Bowling Alley) でとまる。
かつてのブームは既に終焉し、そこはとても静かだ。その2階には軽食喫茶店があり、そこで食事をする事になる。

そこでぼく達兄弟が喰べたのが、カツカレー (Katsukare) と謂う訳なのだ。

とんかつ (Pork Cutlet) もカレー (Curry) も大好きなぼく達は、その大好物の両方を同時に食する事が出来る料理には感嘆の声を挙げた筈だ。その日以降、自宅でカレー (Curry) の日には母親に、とんかつ (Pork Cutlet) も催促する様になったくらいだ [勿論、それは彼女の権限で却下されてしまう]。

そこでのその日の夕食に関しては満足したが、その結果、兄弟にとって、とても無念な事がその後で起こる。
テレビ番組『仮面ライダー (Kamen Rider)』 [19711973毎日放送系列放映] の放映に間に合わなかったのだ。

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その夜は第52話『おれの名は怪鳥人ギルガラスだ! (My Name Is Mysterious Birdman Gilgalass)』 [脚本:伊上勝 監督:内田一作] が放映された日だ [上掲画像はこちらから]。
このエピソードは所謂ダブル・ライダー (Double Riders) の回である。
本郷猛 (Takeshi Hongo) [演:藤岡弘、 (Hiroshi Fujioka)] と一文字隼人 (Hayato Ichimonji) [演:佐々木剛 (Takeshi Sasaki)] が登場する。一方の、ショッカー (Shocker) の大幹部は死神博士 (Doctor Shinigami) [演:天本英世 (Hideyo Amamoto)] である。

そして、この回を持って本郷猛 (Takeshi Hongo)と一文字隼人 (Hayato Ichimonji) は立場が逆転する。これまでヨーロッパを活躍の地としていた本郷猛 (Takeshi Hongo) が本格的に帰国し、一文字隼人 (Hayato Ichimonji) は南米へと向かう。
と、同時にショッカー (Shocker) は死神博士 (Doctor Shinigami) を更迭、その後任として地獄大使 (Ambassador Hell) [演:潮健児 (Kenji Ushio)] が登場するのである。

それらの情報を踏まえればぼく達兄弟は絶対に見逃してはならない放映である。それなのにも関わらずに、一杯のカツカレー (Katsukare) でその望みが潰えてしまう。

ところで、こんなに明細にその日の出来事を憶えている筈なのに、肝心要の日時をぼくは特定出来ないでいる。

第52話『おれの名は怪鳥人ギルガラスだ! (My Name Is Mysterious Birdman Gilgalass)』の放映日19723月25日こそ、その日である筈なのだが、実はぼく達が棲んでいた地域は、所謂テレビ局の腸捻転のあおりを受けていた地域なのである。
その結果、テレビ番組『仮面ライダー (Kamen Rider)』 を含めて幾つかの番組が、番組キー局と放映日や放映時間がずれていた。
東京ではお昼の生放送番組だったワイドショー番組『アフタヌーンショー (Afternoon Show)』 [19651985日本教育テレビ系列放映] がぼく達の地域では15時からの放映だ。
テレビ番組『仮面ライダー (Kamen Rider)』 を含め同シリーズは、数ヶ月乃至半年くらいの遅れがあって放送されていた筈だ。
そして、19753月31日に行われたテレビ局の腸捻転解消を受けた結果、そのシリーズのひとつ『仮面ライダーアマゾン (Kamen Rider Amazon)』 [19741975毎日放送系列放映] はぼく達の地域では放送される事もなくなってしまった。次作品『仮面ライダーストロンガー (Kamen Rider Stronger)』 [1975毎日放送系列放映] が、異なる放送局でリアル・タイムで放映されていくのである。

ぼくが仮面ライダー・シリーズ (Kamen Rider Series) に今ひとつ、乗り切れていないのは、それが理由のひとつでもある。テレビ雑誌や、仮面ライダースナック (kamen Rider Snack) 封入の仮面ライダーカード (Kamen Rider Cards) で最新情報を入手しても、その成果を確認出来るのは、よその地域より数ヶ月遅れての事なのだ。
テレビで、ショッカー (Shocker) の暗躍やそれを未然に防ぐ仮面ライダー達 (Kamen Riders) の活躍を観ても、流行遅れのファッション・ショーを観ている様な気がして、致し方なかったのだ。

かつての名作や名場面を、再放送で堪能するのとも、それは違う。

その日、第52話『おれの名は怪鳥人ギルガラスだ! (My Name Is Mysterious Birdman Gilgalass)』ではなくて、カツカレー (Katsukare) の方を結果的にぼく達が選んでしまった理由はそこにある。

次回は「」。
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