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2017.10.15.09.27

『カーネギー・ホールのアイク & ティナ・ターナー (WHAT YOU HEAR IS WHAT YOU GET Live At Carnegie Hall)』 by アイク & ティナ・ターナー (Ike & Tina Turner)

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ティナ・ターナー (Tina Turner) は映画『トミー (Tommy)』 [ケン・ラッセル (Ken Russell) 監督作品 1975年制作] で知った。その作品で彼女は麻薬の売人であるアシッド・クイーン (The Acid Queen) を演じ、楽曲『気むずかしい女王 (The Acid Queen)』を歌い踊る。
ついでに記しておけば、リアル・タイム、映画公開時である。

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その後に彼女、そして彼女の楽曲、彼女のパフォーマンスに触れるのは、エム・ティーヴィー (MTV) が国内放映される様になってからだ。つまり楽曲『レッツ・ステイ・トゥゲザー (Let's Stay Together)』 [アルバム『プライヴェート・ダンサー (Private Dancer)』収録 1983年発表] のプロモーション・ヴィデオである。
その間、彼女が永く不遇時代にあった事、そしてB.E.F. : ブリティッシュ・エレクトリック・ファンデーション (B.E.F. : British Electric Foundation) の楽曲『ボール・オヴ・コンフュージョン (Ball Of Confusion)』 [アルバム『ポップス黄金狂時代Vol.1 (Music Of Quality And Distinction Volume One)』 収録 1982年発表] によって再浮上される際の物語を知るのは、もう少し後の事だ。
そして、そのすこし後の事以降に於ける彼女の躍進は恐らく、音楽ファンの誰しもが知る事と大差はない様な気がする。

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彼女がソロ・パフォーマーとなる以前のティナ・ターナー (Tina Turner)、つまりアイク & ティナ・ターナー (Ike & Tina Turner) 時代に関しては、彼等の代表曲である『リヴァー・ディープ-マウンテン・ハイ (River Deep - Mountain High)』 [アルバム『リヴァー・ディープ-マウンテン・ハイ (River Deep - Mountain High)』 収録 1966年発表] の存在は知っていた。
だけれども、実際に彼等自身の演奏に触れるのはもう少し後の事、それよりも幾つかのカヴァー・ナンバーでその存在を認知していたのだ。
例えば、ディープ・パープル (Deep Purple) の『リヴァー・ディープ-マウンテン・ハイ (River Deep - Mountain High)』 [アルバム『詩人タリエシンの世界 (The Book Of Taliesyn)』収録 1968年発表] やエリック・バードン (Eric Burdon) アンド・ジ・アニマルズ (The Animals) の『リヴァー・ディープ-マウンテン・ハイ (River Deep - Mountain High)』 [アルバム『ラヴ・イズ (Love Is)』収録 1968年発表]。
前者はその楽曲の当時の彼等ならではのサイケデリック (Psychederic) な解釈であり、後者はエリック・バードン (Eric Burdon) の♪ティナ・ティナ・ティナ・ティナ (Tina Tina Tina Tina)♪と謂う連呼が嫌でも耳に響く、アイク & ティナ・ターナー (Ike & Tina Turner) へのリスペクトに満ち溢れた演奏なのだ。

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そしてそれらの演奏を経てそのオリジナル・ヴァージョン、アイク & ティナ・ターナー (Ike & Tina Turner) のアルバム『リヴァー・ディープ-マウンテン・ハイ (River Deep - Mountain High)』 [1966年発表] に辿り着くのだ。
しかし、だからと謂って、ぼくの求めているモノが入手出来たと謂う感慨とはすこし違った。
何度、聴いても彼等のアルバムと謂うよりは、そのプロデューサー (Producer) であるフィル・スペクター (Phil Spector) の作品である様なのだ。
まるで、ザ・ビートルズ (The Beatles) のアルバム『レット・イット・ビー (Let It Be)』 [1970年発表] を聴いて得心出来ない、隔靴掻痒 (Frustrating) の感覚とどことなく似ている。だからと謂って、その作品をもフィル・スペクター (Phil Spector) の作品と呼ぶ程の強気にはなれない。

と、愚にもつかない事をだらだらと綴っているのは、ティナ・ターナー (Tina Turner) ではなくて、アイク・ターナー (Ike Turner) を聴きたいと、ぼくが思っているからなのだった。

本ライヴ・アルバムは1971年発表の作品。カーネギー・ホール (Carnegie Hall) での演奏を収めたモノである。
フィル・スペクター (Phil Spector) と謂う高名なプロデューサーを迎えたアルバム『リヴァー・ディープ-マウンテン・ハイ (River Deep - Mountain High)』が、彼等のハレ (Sacred) を記録したモノだとしたら、このライヴ作は彼等のケ (Secular)、いたって日常の光景を収めたモノなのである。
本来ならば、歴史ある高名な会場での収録作なのだから、彼等の一世一代のパフォーマンスと呼ぶべきなのかもしれないが、そんな感興はつゆもない。それどころか却って、日々の通常営業以上に、彼等本来の姿が記録されている様にも思える。

ボウイ (Boowy) 時代の氷室京介 (Kyosuke Himuro) の名台詞に「ライブハウス武道館へようこそ (Welcome To The Live Venue Budokan)」 [楽曲『イメージ・ダウン (Image Down)』演奏中にて アルバム『ギグス・ジャスト・ア・ヒーロー・ツアー 1986 (Gigs Just A Hero Tour 1986)1986年発表] があるが、本作でのアイク & ティナ・ターナー (Ike & Tina Turner) のパフォーマンスは、本来はクラシックの殿堂 (The Hall Of The Classical Music) であるカーネギー・ホール (Carnegie Hall) を、いかがわしい三流どころの安酒場に変換してしまった様にも思える [誤解を産まない様に敢えて綴るが、これは褒め言葉である]。

実際に、ネット等で当時の彼等の演奏を検索してみると、際物じみたアプローチばかりが際立ってみえる。
露出度云々で謂えば、ティナ・ターナー (Tina Turner) やバック・コーラスのジ・アイケッツ (The Ikettes) のそれは、現在のアイドル達のそれよりも遥かにおとなしい衣装ではあるのだが、えげつなさばかりがみえてしまう。とても品がない。
場末のダンサー以上に場末が似合いそうな演出ばかりが乱打されるのである。

そしてそんなパフォーマンスは、ティナ・ターナー (Tina Turner) の、この後の不遇時代、そしてその直接の原因でもあるアイク・ターナー (Ike Turner) との確執、愛憎の応酬を踏まえてみれば、それだけより強く印象に遺る。

ティナ・ターナー (Tina Turner) とアイク・ターナー (Ike Turner) の物語は、どこにでも転がっていそうな、三文芝居にもなりかねない様な逸話ばかりで、それがこのふたりの音楽性を踏まえてしまうと、それがさらに過剰にディフォルメされてみえてしまう。
勿論、当事者達にとっては壮絶な物語なのだが、その壮絶さを身をもって任じて受容するのは難しい。

本作収録曲『愛しすぎて (I've Loving You Too Long)』のパフォーマンスも、映像でみれば、如何にもなモノなのだが、音像だけで体験すると、どう対処して良いモノなのか、悶々とさせられるばかりなのであった。

そしてそれを演出してみせたのがアイク・ターナー (Ike Turner) である、と断言するのは、虫の良い話なのだろうか。
彼の弾くギターのオブリガード (Obbligato) の格好良さは謂うまでもない。

ものづくし(click in the world!)180. :
『カーネギー・ホールのアイク & ティナ・ターナー (WHAT YOU HEAR IS WHAT YOU GET Live At Carnegie Hall)』 by アイク & ティナ・ターナー (Ike & Tina Turner)


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カーネギー・ホールのアイク & ティナ・ターナー (WHAT YOU HEAR IS WHAT YOU GET Live At Carnegie Hall)』 by アイク & ティナ・ターナー (Ike & Tina Turner)

1971年、音楽の殿堂「カーネギー・ホール」における"爆発するライヴ!" ファン待望のCD化!」

1. イントロダクション 1'31"
 Introduction
2. ピース・オブ・マイ・ハート 3'38"
 Piece of My Heart - The Ikettes Bert Berns - Jerry Ragovoy
3. エヴリデイ・ピープル 2'10"
 Everyday People - The Ikettes Sylvester Stewart
4. ティナの紹介 0'44"
 Introduction to Tina
5. ドゥーイン・ザ・ティナ・ターナー 0'35"
 Doin' the Tina Turner Ike Turner - Tina Turner
6. スウィート・ソウル・ミュージック 2'01"
 Sweet Soul Music Sam Cooke - Otis Redding - Arthur Conley
7. ウー・プー・パー・ドゥー 3'26"
 Ooh Poo Pah Doo Jessie Hill
8. ホンキー・トンク・ウィメン 2'57"
 Honky Tonk Women Mick Jagger - Keith Richard
9. ラヴ・ライク・ユアーズ 3'31"
 A Love Like Yours (Don't Come Knockin' Everyday) Holland - Dozier - Holland
10. プラウド・メアリー 6'22
 Proud Mary John C. Fogerty
11. プラウド・メアリー(アンコール) 2'32"
 (Encore of) Proud Mary John C. Fogerty
12. プラウド・メアリー(コンティニュー) 2'36"
 Proud Mary (Continue) John C. Fogerty
13. アイ・スメル・トラブル 7'46"
 I Smell Trouble Don Robey
14. アイクス・チューン 0'29"
 Ike's Tune Ike Turner
15. ハイヤー(夜明けの願い) 3'34"
 I Want To Take You HIgher Sylvester Stewart
16. 愛しすぎて 8'22"
 I've Loving You Too Long Otis Redding - Jerry Butler
17. リスペクト 5'05"
 Respect Otis Redding

Public Performance Clearance / BMI
Produced by Ike Turner
A Bolic Sound
Art Direction and Photography by Norman Seeff
Script Typeface by John Van Hamersveld

ぼくが所有している国内盤CDには越谷政義 (Mike M. Koshitani) の解説 [1993.9.付] が掲載されている。
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