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2017.09.17.09.27

"SONIC DEATH" by SONIC YOUTH

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まるでパンの耳の様な、まるで天かすの様なアルバム。
そう綴れば、ぼくの趣意が理解してもらえるだろうか。

彼等の音楽を代表する作品、では決してない。でも、この作品の有無は、彼等の音楽性への理解を左右しかねない。そんな気がするのだ。

この作品をぼくが入手した1988年当時は、既にゲフィン・レコード (Geffen Records) への移籍が確定していた筈だ。
その移籍の成果が、バンドにとってどの様な影響をもたらすのか、誰にも解らなかったし、解らなかったが故に、当時のぼく達は謂いたい放題だった。

そしてその主張のほとんどは、ふたつに集約される。
最高に売れるアルバムを出すか、最低にくだらないアルバムを出すか。
そして、誰もが経験している様に、最高に売れるアルバムと最低にくだらないアルバムは時として、等号で結びつける事が出来る。

だからと謂って、当時の彼等にとって、それ以外の選択肢があったかと謂うとそれも疑問だ。
何故ならば、現状に留まる事は逆に、最低に売れないアルバムを出すか、最高にかっこいいアルバムを出すか、その二者択一 (Alternative) の様に思われるからだ。とは謂うものの、最低に売れないアルバムと最高にかっこいいアルバムが等号で結びつけられる保証は一切にない。

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当時、ステーィヴ・アルビニ (Steve Albini) が率いていたバンドにレイプマン (Rapeman) がある。音楽性とは別のところで、そのバンド名が物議を醸し、たった1枚のアルバム『トゥー・ナンズ・アンド・ア・パック・ミュール (Two Nuns And A Pack Mule)』 [1988年発表] だけを遺して解散せざるを得なかったバンドだ。
その唯一のアルバムに『キム・ゴードンズ・パンティーズ (Kim Gordon's Panties)』と謂う楽曲がある。
ソニック・ユース (Sonic Youth) への悪意だけを主眼とした楽曲だが、妙な説得力がある。そのバンドの楽曲にある幾つかの方法論をそっくりそのまま踏襲しているからだ。そこで歌われている歌詞さえ忘却してしまえば、本家ソニック・ユース (Sonic Youth) 以上にソニック・ユース (Sonic Youth) している。

当時のソニック・ユース (Sonic Youth) に感じていた、ぼく達の危機感をまさにその楽曲が象徴している。つまり、そのバンドが得た独自の文法がそのまま定型となり定跡となってしまうのではないか。そして、その定型や定跡から抜け出せなくなってしまうのではないか。そんな危惧である。

だから、本作品を聴いたぼくはあははと笑いころげた。

この作品はタイトルだけをみると初期ソニック・ユース (Sonic Youth) のライブ音源を集成したモノとみえるが、実際は違う。
クレジット上にある楽曲が完奏される事は一切になく、実際に聴く事ができるのは、その楽曲が演奏される直前や直後の音ばかりである。しかも、収録時間1時間あまりをCDでは1曲扱いのノン・ストップで収録されているのだ。
聴くヒトによっては延々と雑音の垂れ流しを聴く事に等しい。

ぼくが笑いだしたのは、『キム・ゴードンズ・パンティーズ (Kim Gordon's Panties)』がソニック・ユース (Sonic Youth) の定型や定跡を悪意あるかたちで抽出したモノだとしたら、この作品もまたそのバンドの定型や定跡をべつのかたちで抽出したモノだからである。
つまり、この作品こそ、ソニック・ユース (Sonic Youth) のエッセンス (Essence) と謂う訳だ。
永遠に鳴り響くかと思われる轟音や雑音の幾つかは、ぼくにとっては愛おしいモノであって、時として、その音だけを未来永劫にわたって聴いていたいと思わせられる。

しかもこの作品は、海賊盤でもプライベート録音を販売したモノでもない。そのバンドのひとり、サーストン・ムーア (Thurston Moore) が運営する個人レーベル、エクスタティック・ピース (Ecstatic Peace!) から発表された、バンド正規の作品なのである。
1984年にカセット・テープとして発売され、1988年にCD化されて流通された。それをぼくが購入したと謂う訳だ。

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定型や定跡が云々と謂うのならば、本作品の数ヶ月前に発表された、チコーネ・ユース (Ciccone Youth) 名義のアルバム『ザ・ホワイティ・アルバム (The Whitey Album)』 [1988年発表] もそのひとつだ。マドンナ (Madonna) のヒット曲『イントゥ・ザ・グルーヴ (Into The Groove)』 [映画『マドンナのスーザンを探して (Desperately Seeking Susan)』 [スーザン・シーデルマン (Susan Seidelman) 監督作品] 提供曲 1985年発表] への悪意ある改悪楽曲『イントゥ・ザ・グルーヴ [ィー] (Into The Groove[y])』 [レイプマン (Rapeman) の楽曲『キム・ゴードンズ・パンティーズ (Kim Gordon's Panties)』はここでの手法を引用したとも謂える] を含むこの作品は、もうひとつのソニック・ユース (Sonic Youth) が自らの出自を明らかにしている作品でもある様だ。
このバンドがグレン・ブランカ (Glenn Branca) のオーケストラ作品『レッスン・ナンバー・ワン (Lesson No. 1)』 [1980年発表] から始まった事を思い出させてくれる。その作品にサーストン・ムーア (Thurston Moore) とそのバンドのもうひとり、リー・ラナルド (Lee Ranaldo) が参加しているのだ。

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この作品が発表された1988年末には、彼等のインディー時代最期の作品『デイドリーム・ネイション (Daydream Nation)』が発表され、翌々年にはアルバム『グー (Goo)』がゲフィン・レコード (Geffen Records) から発売される。

アルバム『デイドリーム・ネイション (Daydream Nation)』と本作、アルバム『グー (Goo)』と本作、それぞれは常に対照されて、そのとき各々を聴き比べてみれば、きっとその局面ごとに於けるこの作品がもつ意義は変わってきた筈だ。

ものづくし(click in the world!)179. :"SONIC DEATH" by SONIC YOUTH


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"SONIC DEATH" by SONIC YOUTH

EARLY SONIC - 1981 - 83
Ecstatic Peace!

SIDES 1& 2
BFFP 32CD

SONIC DEATH PIX
by Catherine Bachman - Ceresole, Victor Poison-Tate, Amanda Linn, Roli Mosiman, Lee, Marty Wilkerson, + others unknown.

MADE IN ENGLAND
ALL TRACKS PUBLISHED BY MY EARS! MY EARS!
(P) & (C) 1988 BLAST FIRST

ぼくが所有している輸入盤CDのクレジットは上記にあるだけである。そこでは全1曲扱いで収録されており、正式な楽曲名は判断がつきかねる。こちらを参照した(リンク先が本作品に収録されている音源と同一ではない)。

Side A
1. The Good and the Bad (fragment)
2. She Is Not Alone (fragment)
3. The Good and the Bad (fragment)
4. The World Looks Red
5. Confusion Is Next
6. Inhuman (fragment)
7. Shaking Hell (fragment)
8. Burning Spear

Side B
1. Early American
2. Burning Spear (fragment)
3. Kill Yr Idols
4. Confusion Is Next (fragment)
5. Kill Yr Idols (fragment)
6. Shaking Hell (fragment)
7. (She's in A) Bad Mood (fragment)
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