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2017.06.18.09.11

『ジ・エンド (THE END ...)』 by ニコ (NICO)

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この記事で、イーディ・セジウィック (Edie Sedgwick) をアンディ・ウォーホル (Andy Warhol) の作品だと綴ったのだけれども、では本作品の主人公ニコ (Nico) はどうなのだろう。
謂うまでもなく彼女が参加したアルバム『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ (The Velvet Underground And Nico)』 [1967年発表] は、アンディ・ウォーホル (Andy Warhol) の作品ではあるが、だからと謂ってヴェルヴェット・アンダーグラウンド (The Velvet Underground) と謂うバンド自体は彼の作品ではない。寧ろ、彼の作品である事にとどまる事を潔しとせずに、彼から離れていった。
ぢゃあ、その作品を制作するにあたり、ニコ (Nico) と謂う女性をそのバンドにヴォーカリストとして宛てがったのはアンディ・ウォーホル (Andy Warhol) なのだろうが、ニコ (Nico) はイーディ・セジウィック (Edie Sedgwick) と同様の意味で、彼の作品なのだろうか。

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と、謂うのは、その作品に於ける彼女の位置は甚だしく微妙なモノの様に思えて仕方がなかったからでもある。
そこでの彼女の役割は異物としてのそれであって、それはまるであのバナナのジャケットの中で、バンド名以上に強く主張してはばからないアンディ・ウォーホル (Andy Warhol) の名前の様な役割だ。そのジャケットのデザイン上では、彼女の名はバンドの方にこそ与しているが、実際はその逆なのではないだろうか。ジャッケット上に置ける刻印としてのアンディ・ウォーホル (Andy Warhol) のクレジットと同様の機能を、その作品の音像の中で、彼女の声が果たしている。
そんな気がするのだ。

だから、ニコ (Nico) と謂うアーティストへの、ぼくの興味と関心は常にあやふやなモノだった。
そもそも、彼女の作品に接する機会はそう簡単には訪れなかったし、実際にぼくの棲んでいた地方都市では彼女の作品を入手出来る場所も機会もなかったのである。

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この作品『ジ・エンド (THE END ...)』 [1974年発表] を入手する以前に、アルバム『悪魔の申し子たち~その歴史的集会より (JUNE 1, 1974)』 [1974年発表:こちらで紹介済み] で彼女の演奏と歌唱に接していた。
聴けるのはドアーズ (The Doors) のカヴァー『ジ・エンド (The End)』、その1曲だけだ。

そしてそのカヴァーのスタジオ・ヴァージョンが収録されているのが本作である、と謂う訳だ。制作年は同じ年で、作品のプロデュースはジョン・ケイル (John Cale)。アルバム『悪魔の申し子たち~その歴史的集会より (JUNE 1, 1974)』とその前提となるコンサートに彼女が出演したのは、彼がいたからだ。ジョン・ケイル (John Cale) はエルヴィス・プレスリー (Elvis Presley) のカヴァー『ハートブレイク・ホテル (Heartbreak Hotel)』 をそこで披露している。
そこでの成果を踏まえて、本作品が制作されたのだ。と、謂うよりも制作の合間を縫って、後にアルバム『悪魔の申し子たち〜その歴史的集会より (JUNE 1, 1974)』として発表されるそのコンサートに出演したと謂うべきか。

アルバム・タイトルでもある『ジ・エンド (The End)』に関してはここでは述べない。ずいぶん昔にぐだぐだと綴った事が既にあり、そしてその時の感慨とさして変わらない。同じ事を繰り返してもぼくの為にはちっともならない。

最初から最後まで脳裏に遺ってしまうのは、彼女の声と彼女の演奏するハーモニウム (Harmonium) の音だ。それだけがずっと鳴り響く。
声と音は不可分一体のモノだが、そのはるか彼方に異様なモノが潜んでいる。実際にその音を聴き取る事が出来るかどうかは解らない。でも、ぼくの耳にはこだましている。
それはハーモニウム (Harmonium) を演奏する為に、彼女自身によって創り出される風の動きだ。軋んで掠れて、際限のない悲鳴の様にも聴こえる。その律動があって初めてその楽器は鳴り響くのだが、決して演奏される音楽には合致していない。
その異物感がしこりの様にぼくの身体に遺るのだ。

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彼女の最高傑作は結果的に遺作となってしまった『カメラ・オブスキュア (Camera Obscura)』 [1985年発表] だと思う。
そこでの成果を携えて行われた翌1986年の彼女の来日公演に行く事は叶わなかった。

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彼女が出演した映画『甘い生活 (La dolce vita)』 [フェデリコ・フェリーニ (Federico Fellini) 監督作品 1960年制作] を観るのはもっと後の事だ。
そこでは、ぼくが知っている彼女よりもはるかに若々しくてあどけない彼女がいるが、低い声は既にニコ (Nico) のあの声だった。
[photos : the poster [left] and one of the still photos, Marcello Mastroianni acted as Marcello Rubini and Nico acted as herself for the movie "La dolce vita" directed by Federico Fellini]

だから、いつ彼女がニコ (Nico) [ぼくがそうあって然るべきと思う存在としての] になったのか、未だに解らない。

ものづくし(click in the world!)176. :『ジ・エンド (THE END ...)』 by ニコ (NICO)


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ジ・エンド (THE END ...)』 by ニコ (NICO)

伝説のグループ"ヴェルヴェット・アンダーグラウンド"を語るにふさわしい女
既成の音楽は排し、超現実的なサウンドをあくまでも追求する魔性の女、ニコ!

●サイド・1 (SIDE ONE)
1. ノット・テイクン・ロング (4:03)
 It Has Not Taken Long
 Nico
2. シークレット・サイド (4:02)
 Secret Side
 Nico
3. フォゲット・トゥ・アンサー (5:05)
 You Forget To Answer
 Nico
4. イノセント&ヴェイン (3:43)
 Innocent and Vain
 Nico
5. ヴァレー・オヴ・ザ・キング (3:51)
 Valley of the King
 Nico
●サイド・2 (SIDE TWO)
1. ザ・ゴールド (5:34)
 We've Got The Gold
 Nico
2. ジ・エンド (9:26)
 The End
 The Doors
3. ダス・リード・ダー・ドイッチェン (5:23)
 Das Lied Der Deutschen
 August Heinrich Hoffmann von Fallersleben
 trad. arr. Nico

All tracks copyright Bee Bee except
track two side two Rondor Music (L) Ltd.

ミュージシャン
 フィル・マンザネラ
 ブライアン・イーノ
 ジョン・ケル
プロデューサー
 ジョン・ケル

NICO
voice and harmonium
PHIL MANZANERA
electric guitar
ENO
synthesizer
JOHN CALE
bass guitar, xylophone, acoustic guitar, synthesizer, organ, marimba, triangles, cabasa, glockenspiel, percussion, piano, and electric piano.
VIKKI WOOD
ANNAGH WOOD
backing vocals

PRODUCED BY JOHN CALE for Jo Lustig (Isle Of Man) Ltd. production
recorded by John Wood & Victor Gamm at Sound Techniques, London
Jo Lustig (Isle Of Man) Ltd. production
Cover photograph taken from the film 'Les Hautes Solitudes' directed by Philippe Garrel.

Broadcasting or copying this record is an infringement of Island Records copyright. Please apply to Phonographic Performance Ltd, London for public performanced and broadcasting.

(P) 1974 Island Records

ぼくが所有している国内版LPには、無署名の解説が封入されている。ちなみに、ジョン・ケルは原文ママです。
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