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2017.05.30.09.13

いんでぺんでんすでい

と、謂う名称の映画はあるが、それに関してはここでは綴らない。その映画がそうである様に、米独立記念日 (Independence Day Of The United States) が物語の中にあって、大きな節目となる役割を果たす映画について綴る事にする。

その作品は、映画『大脱走 (The Great Escape)』 [ジョン・スタージェス (John Sturges) 監督作品 1963年制作] である。

第二次世界大戦 (World War II) 下、スタラグ・ルフト北捕虜収容所 (Stalag Luft III) にも7月4日 (July 4) が来る。
ビッグXことロジャー・バートレット (Sqn. Ldr. Roger Bartlett, "Big X") [演:リチャード・アッテンボロー (Richard Attenborough)] の指揮によって、250名もの集団脱走劇の準備は着々と進められている。掘り進めている3本の地下坑道のうち、1本は完成間近であり、現在の作業はその1本に集中して行われている。
その日、僅か3名しかいない米軍捕虜は自身の国の独立記念日 (Independence Day Of The United States) を祝って収容所内を行進し、密造した酒を皆に振舞っている。
その騒ぎを好都合のモノとして独軍は営舎を巡回し、そこで坑道を発見する。しかも、開通間近のあの坑道である。
その報に捕虜達は皆、呆然とし、そしてアーチボルト・アイブズ (Fg. Off. Archibald Ives, the "Mole") [演:アンガス・レニー (Angus Lennie)] は発作的に、衝動の赴くが侭に無謀な逃亡に自身を賭し、独軍の機銃掃射によって射殺されてしまう。

その日の出来事をざっと綴ると上の様なモノになる。

さて、この場面に於いて、気付くべき事は幾つもある。
ひとつは、捕虜達の感興の推移だ。順調に進む脱走計画の行程を背景にして、彼等はつかの間の祝祭の中にある。しかし、その最中にあって、最悪の事態が発生する。アーチボルト・アイブズ (Fg. Off. Archibald Ives, the "Mole") [演:アンガス・レニー (Angus Lennie)] の行動はその最たるモノだ。
だが、それと同時に、つかの間の祝祭に浮かれているが故の、起こるべくして起こった事態と謂う事も可能だ。誰もが、酒に酔い、警戒が手薄となっていたのだ。

この映画の原作である『大脱走 (The Great Escape)』 [ポール・ブリックヒル (Paul Brickhill) 著 1950年発表] によれば、実際にあった脱走にあっても、1943年の7月4日 (July 4) は2名の米軍捕虜によって密造酒が振る舞われ、その直後に坑道は発見されてしまったと謂う。しかし、映画の様に、それは同じ日に連続して起きたモノでもない。

一連の事件を同日の出来事であるモノとして描写するのはあくまでも映画内での作劇術のひとつだ。
そして、それ故に、この日を挟んで、それまで語られてきた物語は新たな章に突入するのだ。

7月4日 (July 4) 以前は、連合国捕虜とそれを監視する独軍との抗争と謂う局面が非常に強い。と、同時に、その脱走劇は非常に遊戯性の高いモノの様にも思わせられる。映画冒頭での、この収容所に到着したばかりの捕虜達数名が、早くも、一瞬の隙をついて遁走しようと試みている様に。あたかもそれは、追うモノと追われるモノの鼬ごっこであるかの様だ。
しかし、7月4日 (July 4) 以降、物語は、この脱走に生命を賭す、個々の捕虜達のドラマへと変転する。それは国対国のあらそいの最中にあって、個々人の闘争に自身の活路を見出そうと足掻くおとこ達のドラマだ。

images
その日の、脱走劇の最初の犠牲者でもあるアーチボルト・アイブズ (Fg. Off. Archibald Ives, the "Mole") [演:アンガス・レニー (Angus Lennie)] の行動と憤死は、この後に幾つも語られる事になるそんな物語群の伏線であるかの様にもみえる [上掲画像はこちらから]。

次回も「」。

附記 1.:
収容所内に僅か3名しかいないのにも関わらず、その3名の行為が物語に大きな結節を促すと謂う点から考えると、その作劇術は [例え実際にあった事件を題材としているとしても] この映画もハリウッド産の映画 (Hollywood Movies) である事の証明であるかに思える。
その発想の根幹にあるのは、映画『インデペンデンス・デイ (Independence Day)』 [ローランド・エメリッヒ (Roland Emmerich) 監督作品 1996年制作] に於ける、米独立記念日 (Independence Day Of The United States) が果たした役割とさほど違いがある訳ではない。

附記 2. :
英語に於ける独立 (Independence) と謂う語句の不可解な点は、その概念を依存 (Dependence) に否定の接頭辞をつける事によって成立している点にある。逆に謂えば、独立 (Independence) を顕すそれ独自の表現がない事なのだ。
尤も、逆の視点からみれば、ナニモノにも依存しない事 (In-dependence) と謂う概念に、独りで立つ (Standing Alone) と謂う熟語を充ててしまった我々の方にこそ、問題があるのかもしれない。
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