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2017.04.16.09.47

『EARTH・SUN・MOON (EARTH•SUN•MOON)』 by ラヴ&ロケッツ (LOVE AND ROCKETS)

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1+1+1=3であり、4-1=3だ。
でも、だからと謂って、最初の等式にある3と次の等式にある3が全く同じとは限らない。
しかも、そのふたつある3が全く同一のものであったとしても、1+1+1と4-1を等号で結ぶ事が出来るとは限らない。

と、もったいぶって綴ったのは、本作品の主人公ラヴ・アンド・ロケッツ (Love And Rockets) とその前身であるバウハウス (Bauhaus) の、音楽について考えた事なのだ。

バウハウス (Bauhaus) は、ピーター・マーフィー (Peter Murphy : vo)、ダニエル・アッシュ (Daniel Ash : g)、ディヴィッド・ジェイ (David J : b) そしてケヴィン・ハスキンス (Kevin Haskins : dr) の4人。1979年から1983年にかけて存在した。
解散後、それぞれは個別の活動を行うが、その後の展開を考えるには、ダニエル・アッシュ (Daniel Ash) を主軸として歴史を追うと簡単だ。彼のソロ・プロジェクトであるトーンズ・オン・テイル (Tones On Tail) にケヴィン・ハスキンス (Kevin Haskins : dr) が参加し、ディヴィッド・ジェイ (David J : b) がそこへ合流する様なかたちで、新たなヴィジョンが生成される。
だから、そこにピーター・マーフィー (Peter Murphy) に匹敵する存在感あるヴォーカリストを招き入れれば、新生バウハウス (Bauhaus) を謳う事も可能なのだが、彼等3人はそうしなかった。バウハウス (Bauhaus) が再結成されるのは1998年の事で、そのヴォーカリストはピーター・マーフィー (Peter Murphy) なのだ。
そして、彼等3人はヴォーカリストを招き入れないばかりか、バウハウス (Bauhaus) とは異なった音楽性を試みる。
それがラヴ・アンド・ロケッツ (Love And Rockets) なのである。

と、謂う事はバウハウス (Bauhaus) と謂うバンドの個性は、ピーター・マーフィー (Peter Murphy) に著しく負うモノなのだろうか。そんな疑義を抱きながら、バンド解散後に発表された彼の作品群に向かうと、それを確信させるモノがない。そこにあるのは、バウハウス (Bauhaus) ではないピーター・マーフィー (Peter Murphy) であって、彼にとってはバウハウス (Bauhaus) とは軛や咎の様なモノにしか思えなくなる。

そして、それに呼応する様に、ラヴ・アンド・ロケッツ (Love And Rockets) の諸作品にも、バウハウス (Bauhaus) 的な色彩を払拭したところから誕生している様に聴こえる。

例えば、ダニエル・アッシュ (Daniel Ash) 創造のバブルメン (The Bubblemen) と謂うキャラクターにそれを象徴させる事も出来る。

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本作品収録楽曲のヴィデオ・クリップの幾つかに登場し、後にはバブルメン (The Bubblemen) 名義の楽曲『ザ・バブルメン・アー・カミング (The Bubblemen Are Coming!)』 [1988年発表] も発表されたそのキャラクターは、元を糾せば、バウハウス (Bauhaus) の第2作『マスク (Mask)』 [1981年発表] に登場している。上に掲載したそのアルバムの、左に描かれた人物の肩先に覗く黒い物体がそれだ。
それが、本作関連の映像に於いては、痴呆化した様な虚無の表情を湛えているのだ [本作品の裏ジャケットに登場する彼等は、もっとラヴリーな存在ではあるのだが]。
[上掲画像は、左からバウハウス (Bauhaus) 『マスク (Mask)』、トーンズ・オン・テイル (Tones On Tail) 時代のバブルメン (The Bubblemen) [画像はこちらから]、『ザ・バブルメン・アー・カミング (The Bubblemen Are Coming!)』発表時のバブルメン (The Bubblemen) [画像はこちらから]]

そんなバブルメン (The Bubblemen) の変遷をそのままバンドの音楽性に反映させてみれば、悪く謂えば弛緩してしまったとも緊張感を喪ってしまったとも謂える。
しかし、その緩さが逆にこれまで評価の皆無だった米国での好評に繋がるから不思議なモノなのだ。
米国の殆どのファンはきっと、ラヴ・アンド・ロケッツ (Love And Rockets) から遡るかたちでバウハウス (Bauhaus) へと辿り着くのに違いない。と、なると、彼等の視点から読めば、これまで綴ってきたこの駄文は、全くもって不分明なモノであるのに違いない。

本作品は1987年に発表された彼等の第3作で、それ以前のどの作品よりもそれ以降のどの作品よりもヴォーカルやメロディの比重が高まっているモノだ。従って、全作品の中では、尤もこぶりな地味な作品にみえるかもしれない。
全身白ずくめと謂うのも意外だ。

ものづくし(click in the world!)174. :
『EARTH・SUN・MOON (EARTH•SUN•MOON)』 by ラヴ&ロケッツ (LOVE AND ROCKETS)


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EARTH・SUN・MOON (EARTH•SUN•MOON)』 by ラヴ&ロケッツ (LOVE AND ROCKETS)

甘く切ないノスタルジックなサウンドをのせてラヴ&ロケッツの幻想飛行がはじまる。

SIDE A (SIDE ONE [THIS SIDE])
1. ミラー・ピープル MIRROR PEOPLE
2. ザ・ライト THE LIGHT
3. ウェルカム・トゥモロー WELCOME TOMORROW ◯●
4. 語りつくされたこと NO NEW TALE TO TELL
5. この地上に HERE ON EARTH
6. レイジー LAZY

SIDE B (SIDE TWO [OTHER SIDE])
1. ノアの洪水 WAITING FOR THE FLOOD
2. レイン・バード RAIN BIRD
3. 空しい電話 THE TELEPHONE IS EMPTY
4. 天国を求めて EVERYBODY WANTS TO GO TO HEAVEN
5. 地球と太陽と月 EARTH, SUN, MOON
6. 若さ YOUTH ◯

- LOVE & ROCKETS -
ダニエル・アッシュ
ケヴィン・ハスキンス
ディヴィッド・ジェイ

MUSIC BY LOVE AND ROCKETS
WORDS BY ● DAVID J OR ◯ DANIEL ASH
ALL SONG PUBLISHED BY BEGGARS BANQUET MUSIC LTD / MOMENTUM MUSIC LTD
WHERE IS KEVIN HASKINS ?????

PRODUCED BY LOVE AND ROCKETS
ASSISTED BY DEREK TOMPKINS ENGINEERED BY TED SHARP
(P) AND (C) BEGGARS BANQUET

ぼくの所有している国内盤LPには、宮部友彦 (Tomohiko MIyabe)の解説 [62. 10.16.付] とクニ・タケウチ (Kuni Takeuchi)の訳詞が掲載されている。
上記英文クレジットはLP盤面上のもので、バックカヴァーに掲載されているモノは非常に小さい上に手書き文字である為、判別がつきにくい。よって、以下は [一部重複しているが] こちらを参照した。

Engineer - Ted Sharp
Management - Raymond Coffer
Mastered By - JONZ
Photography By [Back Cover Photo] - Mitch Jenkins
Photography By [Front Cover Photo] - Fin Costello
Producer - Derek Tompkins
Producer, Music By - Love And Rockets
Words By - Daniel Ash (tracks: A1 to A3, A6, B3, B5, B6), David J.* (tracks: A3 to A5, B1, B2, B4)
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