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2007.06.09.13.55

試論:映画『羅生門』をリメイク出来るのか?(第五部)

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いきなり、この駄文に辿り着いてしまった方々には、申し訳ありませんが、これまでの論考は下記のサイトに書かれております。お手数ですが、先ずはそちらをお読み下さい。

これまでの記事はこちらにあります。
試論:映画『羅生門』をリメイク出来るのか? 第一部
試論:映画『羅生門』をリメイク出来るのか? 第二部
試論:映画『羅生門』をリメイク出来るのか? 第三部
試論:映画『羅生門』をリメイク出来るのか? 第四部


ところで、僕はこの妄想バリバリ大全開なリメイクに関して、いくつかの案を用意しています。

その前にここで紹介している、『Rashomon Trailer 2』と題されたYoutube画像もリメイクのひとつ。作品自身の良否の御判断はお任せしますが、こんなのもあるんだよと言う意味で、ここに掲載してみます。

●「薮の中」の当事者であり、「羅生門」で証言者として立ち回る杣売を主人公としたリメイク案

前回前々回と二回に渡って、志村喬Takashi Shimura)演じる「杣売」の役割が実は、黒澤明(Akira Kurosawa)の映画『羅生門Rashomon)』に非常に大事なポジションにあるのではないか、そして、それを裏付けるに足るキャスティングであるからこそ、あの作品において志村喬Takashi Shimura)が配役されたのではないか、という可能性を示唆してきた。
と、なると、それをより意識した物語創りをしたリメイクというものも可能ではないだろうか?

例えば、こんな具合...。
物語は、下人に杣売が体験した事実を語りだすところから始る。ただ、違うのは、杣売が「薮の中」で直接体験した事を語りだすところから、その物語は始るのだ。つまり、オリジナルの映画『羅生門Rashomon)』での殆ど終幕から、このリメイクは始る。そして、杣売己の証言を語り終えたところで、オリジナルと同じ様に、下人が疑義を提出する。

下人「どうやら今の話が一番本当らしいな」 
杣売「わ、わしは嘘は言わねえ」 
下人「だが、どこをどう信じようって言うんだ!」

ここで映画『羅生門Rashomon)』に真の幕引きを図るある装置******(ここでもあえてその名用を秘す)が登場し、その扱いを廻って、下人と杣売との間に一悶着が起こり、物語は「薮の中」の三人の物語になる。ただし、そこでオリジナルの映画『羅生門Rashomon)』と異なるのは、「薮の中」の登場人物各々の主観に基づく証言が終る度に、「羅生門」で雨宿りするヒトビト(これまでこの試論で伏せ字で紹介しているあの装置******も含めて)が杣売の行動を断罪していくのである。そして、断罪される側の杣売は己の行為を正当化する為に、また新たな証言を引き摺りだすのである。その様にして、杣売の立場や主観を通じて覗き観る「薮の中」から、これまで判断中止としてきたその装置******の取り扱いが定まっていく。
恐らく、黒澤明(Akira Kurosawa)の映画『羅生門Rashomon)』と同様に、下人は己の行動原理そのままに行動して、「羅生門」という舞台から退場するであろう。そして、恐らくオリジナルと同じ行動を、結果的に杣売も取らざるを得ない事になるだろう。しかし、彼にそのような行為を差し向けたモノが果たして、オリジナルと同じものにはなり得ないのではないだろうか? そんな疑義を呈示したテーマの、新しい映画『羅生門』が創られる事を望みます。

何故なら、黒澤明(Akira Kurosawa)の映画『羅生門Rashomon)』終幕での杣売の言葉、あの装置******を引き受ける際に彼が発する言葉の重みが、映画が創られた1950年当時と現在では、まったく異なると思うのだ。

六人育てるも七人育てるも同じ

この言葉は、恐らく作品発表時にこの映画を観たヒトビトは、様々な感興を抱いたと思うのだけれども、彼らと同じ感興を、現在を生きる我々は果たして抱けるのであろうか? 残念ながら、今の我々はその想いには到達出来ないと思うのだ。
だからこそ、この最期の言葉に集約出来る様な、物語の新しい構造が必要であると、僕は思う。

●小説『薮の中』の続編として小説『羅生門』を解釈したリメイク案

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この可能性は本稿第二部第三部で既に示唆している。
但し、第三部で指摘した様に、芥川龍之介(Ryunosuke Akutagawa)の小説『羅生門』~『薮の中』の翻案ではなくて、あくまでも映画『羅生門Rashomon)』のリメイクとしてというのであるならば、一工夫が必要であろう。
例えば、映画『羅生門Rashomon)』を次の様に読み直してみる。三船敏郎Toshiro Mifune)と京マチ子(Machiko Kyou)と森雅之(Masayuki Mori)、この三人の男女によって演じられる「薮の中」を、エロス(性)とタナトス(死)とが支配している物語として読んでみる。そうすると、「羅生門」は「生」の物語でなければならない。例えば、ここに「罪」と「罰」の物語性を加えてもよいのではないか? というのが、ここでのテーマである。

例えば、こんな具合...。
「羅生門」で三人の男達が「薮の中」の証言を検証していく内に、かつてここ「羅生門」にあった事件を、誰かが思い出す。その事件には、どうやらここでもまた盗賊の多襄丸が加担しているという噂だ。ある者は、多襄丸が老婆から「引剥(ひはぎ)をし」た説話を語り、ある者はいや、そうではない、多襄丸はここで殺人を犯したのだとある説話を語り、またある者は、実は多襄丸はこの羅生門に産み棄てられたどこぞの落胤であるという説話を語る。そのどれもがもっともらしくもあり、また、その逆に、総てが嘘くさい噂話の領域に属している。いずれにしろ、「羅生門」にいる三人は、「薮の中」という謎と共に、もうひとつ大きな謎を背負い込んでしまう。そんな状況下に、あの装置******に遭遇してしまう。果たして、これをどうしたものか...場合によっては、もうひとりの多襄丸を誕生せしめる可能性すらある...。
恐らく、このリメイク案では、オリジナルの映画映画『羅生門Rashomon)』とは、全く異なったエンディングを迎える可能性すらあるだろう。

と、ここで終ってもよいのだけれども、もう少し、続けてみます。

最終部につづく。


ものづくし(click in the world!)55.:羅生門<参考資料>



映画『羅生門』
 DVD / 作品解説/criyique / IMDb / Trailer / Sound Tracks
小説『羅生門』 文庫 / on web / 解説
小説『薮の中』 文庫 / on web / 解説
今昔物語『羅城門登上層見死人盗人語(羅城門に登り死人を見る盗人の話)
 文庫 / 現代語訳 on web / 原文 on web
今昔物語『具妻行丹波国男於大江山被縛(妻と伴い丹波の国へ行く男が大江山で縛られる話)
 今昔物語集 全4冊セット―岩波文庫 / 現代語訳 on web / 原文 on web
映画『生きる』
 DVD / IMDb / 解説 / Trailer
映画『ゴジラ』
 DVD / IMDb / 解説 / Trailer
映画『七人の侍』
 DVD / IMDb / 解説 / Trailer / Sound Tracks

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