2016.01.29.12.01
ぼくのまえに道はない。
ぼくのうしろにも道はない。
当然だ。
いまのおれは地中にくらしているのだから。
おれのからだがおさまっているわずかなすきまをのぞけば四方はかべだ。つちのかべだ。
おれがめのまえのかべをほる。つちがでる。でたつちをうしろにおくってふみかためる。それで、おれはまえにすすむ。
まっすぐすすめばいい。
まがってすすんでもかまわない。
したへしたへといけば、やけしぬだろうし、うえへうえへといけば、やっぱりやけしぬ。
つちのなかにはたべれるものもあるし、つちをなめればのどもいやされる。それ以上のものをのぞむまでもない。
もしもかりにゆくてをはばむものにでくわしても、それにそって迂回していけばいい。うえでもしたでも。
いずれ、いつかはおわるのだ。
ときどき、ふと、おなじところをぐるぐるまわっているだけではないかと不安になる。ここには地図もなければ座標軸もない。一見、すべてが一様なつちのかべだが、ほるのはもっとも脆弱な部分だ。すきこのんで、てもあしもでない岩盤にいどむすじあいはない。
やわらかいところ、らくなところをえらんでほりすすむ。その結果がこれでも充分ではないか。
距離をきそう相手もいなければ、褒美をくれる相手もいない。
メシにありつければ充分だ。
だから、なんにもしないでここにとどまっていてもいいだろうと、ふとなやむ。
時折、メシのほうからおれのめのまえにあらわれるときもあるからだ。
だがそうもいかない。
三度三度のメシにありつけたとしてもたとえ、四方がつちのかべではきがくるってしまう。
だから、ほるのさ。
[the text inspired from the song "Dig" from the album "Light Grenades
" by Incubus]
ぼくのうしろにも道はない。
当然だ。
いまのおれは地中にくらしているのだから。
おれのからだがおさまっているわずかなすきまをのぞけば四方はかべだ。つちのかべだ。
おれがめのまえのかべをほる。つちがでる。でたつちをうしろにおくってふみかためる。それで、おれはまえにすすむ。
まっすぐすすめばいい。
まがってすすんでもかまわない。
したへしたへといけば、やけしぬだろうし、うえへうえへといけば、やっぱりやけしぬ。
つちのなかにはたべれるものもあるし、つちをなめればのどもいやされる。それ以上のものをのぞむまでもない。
もしもかりにゆくてをはばむものにでくわしても、それにそって迂回していけばいい。うえでもしたでも。
いずれ、いつかはおわるのだ。
ときどき、ふと、おなじところをぐるぐるまわっているだけではないかと不安になる。ここには地図もなければ座標軸もない。一見、すべてが一様なつちのかべだが、ほるのはもっとも脆弱な部分だ。すきこのんで、てもあしもでない岩盤にいどむすじあいはない。
やわらかいところ、らくなところをえらんでほりすすむ。その結果がこれでも充分ではないか。
距離をきそう相手もいなければ、褒美をくれる相手もいない。
メシにありつければ充分だ。
だから、なんにもしないでここにとどまっていてもいいだろうと、ふとなやむ。
時折、メシのほうからおれのめのまえにあらわれるときもあるからだ。
だがそうもいかない。
三度三度のメシにありつけたとしてもたとえ、四方がつちのかべではきがくるってしまう。
だから、ほるのさ。
[the text inspired from the song "Dig" from the album "Light Grenades
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