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2015.10.27.12.13

りせっと

先週末の事だ。
PCソフトをインストロールしなおさなければならない羽目になった。
たちの悪い事に、作業中のいくつかのデータはバックアップをとっていない。
しかも、インストロール以外に、PCを起動させる事は不可能で、それ以外に選択肢はないらしい。
再起動をかけても途中で電源がおちてしまうし、立ち上げる事が出来る画面はインストロールを促す映像だけだ。

最初に考えたのは財布の中身だった。そして預金通帳を引っ張りだす。入ってくる予定とでていってしまう決定事項とを足し算引き算して、一体、ここにはいくらあるのか。

その次にしたのが、そのPCを買った店舗のサービスやらPC本体の保証書だ。
それらを確認して、鞄の中につっこんでおく。幸か不幸か、あしたの予定はいっさいなく、あさその店に駆け込む事もできるだろう。

冷静になったいま、その時の行動を反芻してみると、恐ろしく遠回りをしている様な気がする。
その時の行動は、最悪のシナリオを想定してそれが再現可能か否かを最初に試みているのだ。
まっさきにやるべきは、インストロールのボタンを押す事だ。そしてそれが行き詰まってからはじめて、考えればいい。
だけれども、それがすぐにはできない。すぐにはそこへと考えが及ばない。

第一に、まっさきに脳裏にうかんだのは、ここでショック死してしまえば一番、らくだよな、と謂う事なのだから。
さもなければ、あたまから布団につっぷして、めがさめたらまったくみしらぬ世界にいたらいいよな、とか。
それとも大災厄が人類を襲ってくれれば、総てが救われる、とか。
頭の中を駆け巡るのは、そんな身勝手な自己都合を最優先させ得る、他力本願な事ばかりなのだ。

たかだか、再インストロールに大袈裟なと思うかもしれないが、でも、手続き上の業務を、しかもかつてやったそれを再びまったくその時と同じ行為を、延々とたったひとりでやるのは、本当に嫌なのだ。

それ以前に、作業中のいくつかのデータは最早、修復不可能で、ここ数週間をまったくぼうにふってしまうという、全くもって、理不尽な事態が出来する事もある。

でも、極端な話、それは諦めるしかない。
それよりも、徒労の為の徒労に、これから数時間、つきあわなければならないと謂う事態がいやなのだ。

と、謂う数日間が経過して、ここらあたりでようやく平常業務に復帰しつつある。
ぼうにふってしまった数週間はしようがない。
いくつかのものは、おなじことをまた最初からやりなおすだけだし、いくつかのものはまるっきりすててしまって、まったくあたらしいことをこころみるのだろう。

images
まったくいちからやりなおす事が主題となっている物語は数多くあるけれども、ぼくの記憶の中から不意に顕われたその一例は映画『サクリファイス (Offret)』 [アンドレイ・タルコフスキー (Andrei Tarkovsky) 監督作品 1986年制作] だった。
その作品では、いちからやりなおすには、主人公アレクサンデル (Alexander) [演:エルランド・ヨセフソン (Erland Josephson)] はあまりにおおくのモノを捧げなければならないが、要求する側からみれば、それは決して理不尽なモノではない。
それに第一、そこにぼくは囚われてはいない。
ぼくの記憶が確かならば、主人公が自宅のオーディオ機器をいぢるシーンがその発端となっていた筈だからだ。

次回は「」。

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