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2008.06.17.21.14

とるーまんかぽーてぃのたんぺんしょうせつみりあむ

この短い掌編の主人公である初老の未亡人が出逢う少女、ミリアム(Miriam)について詮索する必要は一切ない。

何故ならば、街に暮すヒトビト。特に独りで街に暮らすヒトビトにとっては、しごく当たり前の生活の一断片であるから。

否、誰もが皆、ミリアム(Miriam)という未然の少女に遭遇する可能性があるとか、己の中に内在する異質なるモノに傷つけられるとか、そうゆう類の話ではない。

昨日まで、もしくは一時間前、それともほんの一瞬前かもしれない。
それまで当たり前に観られた街の景色や、当然の如く授受されていた他者の行為とかが、突然に、異質のモノとして己の前に、その正体を現すときが来る。
そおゆう類の話である。

それは、果たして、物理的に己自身の心身に危害をもたらすモノとして出現するのか、それとも、全く邪気のない行為を受け入れる事の出来ない心身になってしまっている己を発見するコトなのか。
それは知らない。

この掌編の主人公の場合は、己自身と同じ名前を持つ少女というカタチで現れた。
少女とはこの場合、純粋な聖性をもつ存在であると同時に、底知れぬ残酷性を備えたあるモノなのだが。

しかし、わたしの場合は、それはなんなのだろう。
そして、あなたの場合は?

images

トルーマン・カポーティ(Truman Garcia Capote)の文壇デヴュー作『ミリアム(Miriam)』とは、そうゆう物語である。

今回紹介した掌編は短編集『夜の樹(The Grass Harp: Including a Tree of Night and Other Stories)』でも、読む事が出来ます。なお、掲載した画像は、バルテュス(Balthus)作『部屋(The Room)』。

次回は「」。
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