2008.06.15.15.22

デューク・エリントン(Duke Ellington)を初めてデューク・エリントン(Duke Ellington)として意識したのは、ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)のライヴ映画『レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー
勿論、それ以前からデューク・エリントン(Duke Ellington)の存在は重々知っていたたし、彼が世に問うた幾つもの楽曲は、何度も何度も聴いてきた。但し、残念ながら、それはデューク・エリントン(Duke Ellington)自身の演奏ではなくて、例えば、自宅にあったスイングの古いLPとか、高校の文化祭での演奏だったりした。
つまりはそういうこと。
話を元に戻せば、その映画の中で聴ける「テイク・ジ・Aトレイン(A列車で行こう)(Take The "A" Train)」は、曲の冒頭のほんの一瞬だけれども、デューク・エリントン(Duke Ellington)自身の流麗にして華麗なピアノ・フレーズは大観衆の主役を待ち望む嬌声にもめげず、充分に光り輝いていた。と、書いたところで、このピアノのイントロは、この曲の作者ビリー・ストレイホーン(Billy Strayhorn)かもしれない、とふと疑念が沸き起こったけれども、そんなの気にしない。
だって、「わたしの楽器はオーケストラである(My orchestra is my instrument)」という発言をしたのが、彼。デューク(Duke)だからである。


ところで、数々あるデューク・エリントン(Duke Ellington)の名作名盤がある中で、何故、これを取り上げたのか。
入門篇としては、美味しいところ採りの『ザ・ポピュラー・デューク・エリントン(The Popular Duke Ellington)

そして、彼のオーケストレイション以上に、魅力的なピアノ・プレイを堪能したければ、チャールズ・ミンガス(Charles Mingus) & マックス・ローチ(Max Roach)と渡り合った『マネー・ジャングル(Money Jungle)
と、また、話がずれた。
この『ハイ・ファイ・エリントン・アップタウン
演奏会場ならばいざ知らず、レコーディングでは収録時間や音のレンジの関係で断念していた事が、LPならば出来る、では、ここでやってみよう。それがこの作品における彼の姿である。
従来のSPの収録時間はわずか3~5分。しかし、LPでは30分も収録可能。
ジャズのジャズたる最たる所以は、編曲された部分とミュージシャン自身による即興部分との融合だから(って、こんな大それた断定をここでしても良いのだろうか?)、長い尺があれば、それだけミュージシャン自身の技量を引き出せるのだ。
だから、ここでのデューク・エリントン(Duke Ellington)は、野心的な組曲「コントラヴァーシャル組曲(Controversial Suite)」を用意する。オーケストラの代表曲である「テイク・ジ・Aトレイン(A列車で行こう)(Take The "A" Train)」は専属シンガーのベティー・ローチェ(Betty Roche:でも、なんでこのヒトはクレジットされていないんだろう?美空ひばりは、彼女の唱法を研究して独自の"A列車"を唄ったそうですが。)をフィーチャーして、ヴォーカル・ナンバーとして再生させる一方で各メンバーのソロ・パートも重事実させる。さらにドラマーのルイ・ベルソン(Louis Bellson)が己のソロ演奏をフィーチャーして作曲した「スキン・ディープ(Skin Deep)」をアルバム冒頭に持ってくる(そして、そんな腹の据わった器の大きさを示せるのが彼だ)。
そう、写真家ジェイ・マイセル(Jay Maisel)撮影による沈鬱な表情のデューク・エリントン(Duke Ellington)の横顔をフィーチャーしたにも関わらず、己の新しい楽器=オーケストラの魅力を存分に引き出す事だけに精力を注ぐ、満面の笑みをたたえたデューク・エリントン(Duke Ellington)がここにいるのだ。
ものづくし(click in the world!)69.:
『ハイ・ファイ・エリントン・アップタウン(Hi-Fi Ellington Uptown)』
by デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ
(DUKE ELLINGTON and his ORCHESTRA)

『ハイ・ファイ・エリントン・アップタウン
by デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ(DUKE ELLINGTON and his ORCHESTRA)
1.SKIN DEEP
"featuring Louis Bellson, Drums"
スキン・ディープ
- Louis Bellson -
2.THE MOOCHIE
ザ・ムーチ
- D. Ellington - I. Mills -
3.TAKE THE "A" TRAIN
テイク・ジ・Aトレイン(A列車で行こう)
- B. Strayhorn -
4. PERDIDO
パーディド
- E. Drake - Lenk - Tizol -
5.THE CONTROVERSIAL SUITE
コントラヴァーシャル組曲
1) Before My Time
ビフォア・マイ・タイム
2) Later
レイター
- D. Ellington -
6.A TONE PARALLEL TO HARLEM*
(THE HARLEM SUITE)
ア・トーン・パラレル・トゥ・ハーレム(ハーレム組曲)
- D. Ellington -
*ー追加テイク
PERSONAL & RECORDING DATE
Saxophones;
PAUL GANSALVES ―ポール・ゴンザルベス(ts)
HARRY CARNEY ―ハリー・カーニー(bar,b-cl & cl)
JIMMY HAMILTON ―ジミー・ハミルトン(ts & cl)
RUSSELL PROCOPE ―ラッセル・プロコープ(as & cl)
HILTON JEFFERSON ―ヒルトン・ジェファーソン(as & sp)
WILLIE SMITH ―ウィリー・スミス(as)
Trumpets;
WILLIAMS ANDERSON ―ウイリアムズ・アンダーソン
CLARK TERRY ―クラーク・テリー
WILLIE COOK ―ウィリー・クック
RAY NANCE―レイ・ナンス(vln)
HAROLD BAKER ―ハロルド・ベイカー
DICK VANCE ―ディック・ヴァンス
FRANCIS WILLIAMS ―フランシス・ウィリアムス
Trombones;
JUAN TIZOL ―ファン・ティゾール
QUENTIN JACKSON ―クェンティン・ジャクソン
BRITT WOODMAN ―ブリット・ウッドマン
Drums;
LOUIS BELLSON ―ルイ・ベルソン
Bass;
WENDELL MARSHALL ―ウェンデル・マーシャル
Piano;
BILLY STRAYHORN AND DUKE ELLINGTON
ビリー・ストレイホーン・アンド・デューク・エリントン
Album Cover Photography; JAY MAISEL
録音日・場所
1952年7月
Other CBS Records by D. Ellington and his Orchestra:
MASTERPIECES BY ELLINGTON
Mood Indigo・Sophisticated lady・The Tattooed Bride・Solitude.
12-inch "Lp" ML 4418
MOOD ELLINGTON
On A Turquoise Cloud・New York City Blues・Hy'a Sue・Lady of the Lavender Mist・Progressive Gavotte.
10-inch "Lp" CL 6024・45 Set B-164
LIBERIAN SUITE
I Like The Sunshine・Dances Nos.1,2,3,4,5.
10-inch "Lp" CL 6073
僕の持っている日本盤CDは、『BEST VALUE LINE 2000』シリーズで発売されて、瀬川昌久の解説が添付されています。
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