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2008.06.15.15.22

『ハイ・ファイ・エリントン・アップタウン(Hi-Fi Ellington Uptown)』 by デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ(DUKE ELLINGTON and his ORCHESTRA)

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デューク・エリントン(Duke Ellington)を初めてデューク・エリントン(Duke Ellington)として意識したのは、ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)のライヴ映画『レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー(Let's Spend The Night Together)』[1982年 ハル・アシュビー(Hal Ashby)監督作品]での事。スタジアムに歓声が轟く中に、突如として鳴り響く「テイク・ジ・Aトレイン(A列車で行こう)(Take The "A" Train)」のイントロ。このイントロに導き出されて、メンバーがステージに飛び出して来るのだ。

勿論、それ以前からデューク・エリントン(Duke Ellington)の存在は重々知っていたたし、彼が世に問うた幾つもの楽曲は、何度も何度も聴いてきた。但し、残念ながら、それはデューク・エリントン(Duke Ellington)自身の演奏ではなくて、例えば、自宅にあったスイングの古いLPとか、高校の文化祭での演奏だったりした。
つまりはそういうこと。


話を元に戻せば、その映画の中で聴ける「テイク・ジ・Aトレイン(A列車で行こう)(Take The "A" Train)」は、曲の冒頭のほんの一瞬だけれども、デューク・エリントン(Duke Ellington)自身の流麗にして華麗なピアノ・フレーズは大観衆の主役を待ち望む嬌声にもめげず、充分に光り輝いていた。と、書いたところで、このピアノのイントロは、この曲の作者ビリー・ストレイホーン(Billy Strayhorn)かもしれない、とふと疑念が沸き起こったけれども、そんなの気にしない。
だって、「わたしの楽器はオーケストラである(My orchestra is my instrument)」という発言をしたのが、彼。デューク(Duke)だからである。

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ところで、数々あるデューク・エリントン(Duke Ellington)の名作名盤がある中で、何故、これを取り上げたのか。
入門篇としては、美味しいところ採りの『ザ・ポピュラー・デューク・エリントン(The Popular Duke Ellington)』があるし、映画音楽作家としてだったら、映画『或る殺人(Anatomy Of A Murder)』[1959年 オットー・プレミンジャー(Otto Preminger)監督作品]のサントラ『或る殺人(Anatomy Of A Murder)』もあるだろう。

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そして、彼のオーケストレイション以上に、魅力的なピアノ・プレイを堪能したければ、チャールズ・ミンガス(Charles Mingus) & マックス・ローチ(Max Roach)と渡り合った『マネー・ジャングル(Money Jungle)』がある。と、いうかこんな豪放磊落(An open-heartedness)驚天動地(earth-shattering / groundbreaking)なピアノは、そんな滅多にお目にかかれないから、この作品は騙されたと思って聴きたまえ。

と、また、話がずれた。

この『ハイ・ファイ・エリントン・アップタウン(Hi-Fi Ellington Uptown)』というアルバムは、LPという新しいメディアを入手して、嬉々雀躍としているデューク・エリントン(Duke Ellington)を堪能すべき作品である。
演奏会場ならばいざ知らず、レコーディングでは収録時間や音のレンジの関係で断念していた事が、LPならば出来る、では、ここでやってみよう。それがこの作品における彼の姿である。
従来のSPの収録時間はわずか3~5分。しかし、LPでは30分も収録可能。
ジャズのジャズたる最たる所以は、編曲された部分とミュージシャン自身による即興部分との融合だから(って、こんな大それた断定をここでしても良いのだろうか?)、長い尺があれば、それだけミュージシャン自身の技量を引き出せるのだ。
だから、ここでのデューク・エリントン(Duke Ellington)は、野心的な組曲「コントラヴァーシャル組曲(Controversial Suite)」を用意する。オーケストラの代表曲である「テイク・ジ・Aトレイン(A列車で行こう)(Take The "A" Train)」は専属シンガーのベティー・ローチェ(Betty Roche:でも、なんでこのヒトはクレジットされていないんだろう?美空ひばりは、彼女の唱法を研究して独自の"A列車"を唄ったそうですが。)をフィーチャーして、ヴォーカル・ナンバーとして再生させる一方で各メンバーのソロ・パートも重事実させる。さらにドラマーのルイ・ベルソン(Louis Bellson)が己のソロ演奏をフィーチャーして作曲した「スキン・ディープ(Skin Deep)」をアルバム冒頭に持ってくる(そして、そんな腹の据わった器の大きさを示せるのが彼だ)。

そう、写真家ジェイ・マイセル(Jay Maisel)撮影による沈鬱な表情のデューク・エリントン(Duke Ellington)の横顔をフィーチャーしたにも関わらず、己の新しい楽器=オーケストラの魅力を存分に引き出す事だけに精力を注ぐ、満面の笑みをたたえたデューク・エリントン(Duke Ellington)がここにいるのだ。

ものづくし(click in the world!)69.:
『ハイ・ファイ・エリントン・アップタウン(Hi-Fi Ellington Uptown)』
by デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ
(DUKE ELLINGTON and his ORCHESTRA)


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ハイ・ファイ・エリントン・アップタウン(Hi-Fi Ellington Uptown)』
by デューク・エリントン・アンド・ヒズ・オーケストラ(DUKE ELLINGTON and his ORCHESTRA)

1.SKIN DEEP
 "featuring Louis Bellson, Drums"
 スキン・ディープ
 - Louis Bellson -

2.THE MOOCHIE
 ザ・ムーチ
 - D. Ellington - I. Mills -

3.TAKE THE "A" TRAIN
 テイク・ジ・Aトレイン(A列車で行こう)
 - B. Strayhorn -

4. PERDIDO
 パーディド
 - E. Drake - Lenk - Tizol -

5.THE CONTROVERSIAL SUITE
 コントラヴァーシャル組曲
 1) Before My Time
  ビフォア・マイ・タイム
 2) Later
  レイター
  - D. Ellington -

6.A TONE PARALLEL TO HARLEM*
 (THE HARLEM SUITE)
 ア・トーン・パラレル・トゥ・ハーレム(ハーレム組曲)
 - D. Ellington -

*ー追加テイク

PERSONAL & RECORDING DATE

Saxophones;
PAUL GANSALVES ―ポール・ゴンザルベス(ts)
HARRY CARNEY ―ハリー・カーニー(bar,b-cl & cl)
JIMMY HAMILTON ―ジミー・ハミルトン(ts & cl)
RUSSELL PROCOPE ―ラッセル・プロコープ(as & cl)
HILTON JEFFERSON ―ヒルトン・ジェファーソン(as & sp)
WILLIE SMITH ―ウィリー・スミス(as)

Trumpets;
WILLIAMS ANDERSON ―ウイリアムズ・アンダーソン
CLARK TERRY ―クラーク・テリー
WILLIE COOK ―ウィリー・クック
RAY NANCEレイ・ナンス(vln)
HAROLD BAKER ―ハロルド・ベイカー
DICK VANCE ―ディック・ヴァンス
FRANCIS WILLIAMS ―フランシス・ウィリアムス

Trombones;
JUAN TIZOL ―ファン・ティゾール
QUENTIN JACKSON ―クェンティン・ジャクソン
BRITT WOODMAN ―ブリット・ウッドマン

Drums;
LOUIS BELLSON  ―ルイ・ベルソン

Bass;
WENDELL MARSHALL ―ウェンデル・マーシャル

Piano;
BILLY STRAYHORN AND DUKE ELLINGTON
ビリー・ストレイホーン・アンド・デューク・エリントン

Album Cover Photography; JAY MAISEL

録音日・場所
1952年7月

Other CBS Records by D. Ellington and his Orchestra:

MASTERPIECES BY ELLINGTON.
Mood IndigoSophisticated lady・The Tattooed Bride・Solitude.
12-inch "Lp" ML 4418

MOOD ELLINGTON.
On A Turquoise Cloud・New York City Blues・Hy'a Sue・Lady of the Lavender Mist・Progressive Gavotte.
10-inch "Lp" CL 6024・45 Set B-164

LIBERIAN SUITE.
I Like The Sunshine・Dances Nos.1,2,3,4,5.
10-inch "Lp" CL 6073

僕の持っている日本盤CDは、『BEST VALUE LINE 2000』シリーズで発売されて、瀬川昌久の解説が添付されています。
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