2015.07.07.14.04
ゴジラのブリキの玩具 (Godzilla Tin Toy) は、デパートのショウケースに陳列されている光景の記憶があるから、恐らく親か誰かにせがんで買ってもらったのだろう。お臀の先からコードが延びている電池駆動のリモコン式 (Remote Controll System)。両腕を動かしながらくちからバチバチと火花を飛ばして動いた筈だ。
しばらくすると、同形式のバラゴン (Baragon Tin Toy) が発売されてそちらも手に入れた。その頃にはゴジラ (Godzilla) の方は片腕がもげてしまったのを、近所の玩具屋で修理してもらっていて、すこし不恰好だった。
だから、映像作品の中での世界観に於ける優劣 [とは謂っても彼等の直接対決は映画『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃
(Godzilla, Mothra And King Ghidorah Giant Monsters All-out Attack)』 [金子修介 (Shusuke Kaneko) 監督作品 2001年制作] での事。同じ東宝 (Toho)~円谷 (Tsuburaya Productions) 作品ではあってもその当時、作品世界は交錯していない] はともかく、ブリキ玩具 (Tin Toy) としてはゴジラ (Godzilla) よりもバラゴン (Baragon) の方が遥かに上だった。新作だから、五体満足だから、いやそれよりも、巨大な両耳翼と1本の角は、手負いのゴジラ (Godzilla) よりも遥かに強そうだった。
実際には、当時のその身長差 [ゴジラ (Godzilla) 身長50メートルに対してバラゴン (Baragon) は身長25メートル] から謂っても、一方は他方の洟にもひっかからない。
ブリキ玩具 (Tin Toy) のゴジラ (Godzilla) とバラゴン (Baragon) が手許にあるのはねだって買ってもらったからだ。だけれども、それが初めてのぼくにとっての玩具ではない。それ以前からぼくの為のモノは幾つもあった。
積木 (Toy Block) もダイヤブロック (DiaBlock) もプラレール (Plarail) もトミカ (Tomica) も幾つも幾つもあったが、それらがいつぼくの許に顕れたのかはとんと記憶がない。
その記憶のない玩具のひとつに、これもブリキ玩具 (Tin Toy) である真っ黒いロボット (Black Robot) があった。
全身が真っ黒いなかに、寸詰まりの流線型の様なかたちの頭部は網焼き機の様な格子で覆われていてその表情は全く読めない。両腕のあるべき腰の位置から、あかいプラスチック製の挟みが突き出ていてそれが恐らく彼の両腕だ。
その下にある下半身には、寸胴な脚が2本、そのそれぞれの足裏には車輪が埋まっている。
ぜんまいをまけば、ふたつの脚を動かして滑らせる結果、その車輪が廻って前へと進む。その時、胸元からバチバチと火花が飛んだ。
それよりも大型の、ブリキ玩具 (Tin Toy) である黒いロボット (Black Robot) がもうひとつあって、そちらもやっぱり2本の脚には車輪がついて前へと進む。しかも、胸ぐらにはプラスチック製のドームで覆われていた歯車が幾つも並び、ぜんまいをまくと、歩くばかりかその歯車もギチギチと廻った。
商品としてはこちらの方が最新式なのだろう。
それよりも、他のどのブリキ玩具 (Tin Toy) よりも巨大でそれだけが彼 [とその所有者であるぼく] の誇りだった様に思う。
だけれども、旧型のブリキ玩具 (Tin Toy) である黒いロボット (Black Robot) の方が遥かに由緒が正しいのであった。
映像の歴史をみれば、ゴジラ (Godzilla) の方が先に顕れたが [映画『ゴジラ
(Godzilla)』 [本多猪四郎 (Ishiro Honda)監督作品 1954年制作] にて初登場] 、それはバラゴン (Baragon) [映画『フランケンシュタイン対地底怪獣
(Frankenstein vs. Baragon)』 [本多猪四郎 (Ishiro Honda)監督作品 1965年制作] にて初登場] よりは旧い。
しかも、ハリウッド映画史 (History Of The Hollywood Movies) の観点からみれば、ゴジラ (Godzilla) に匹敵するかもしくはそれよりも遥かに上にそのロボット (Robot) はある。哀しいかな、バラゴン (Baragon) は脚元にも及ばない。
一方が身長25メートルであるのに対し、他方はたかだか身長3メートルに満たないおおきさであるのにもかかわらず、だ。

つまり、映画『禁断の惑星
(Forbidden Planet)』 [フレッド・マクラウド・ウィルコックス (Fred M. Wilcox) 監督作品 1956年制作] に登場したロビー・ザ・ロボット (Robby The Robot) [デザイン:ロバート・キノシタ (Robert Kinoshita)] を玩具化したモノがそのブリキ玩具 (Tin Toy) である黒いロボット (Black Robot) なのである。
[上記掲載画像はこちらから。正にこれそのものなのかは確たるモノは一切ないし、その梱包函に関しては全くもって記憶はないのだが、上記掲載画像めいた代物がかつて手許にあったと思ってもらいたい。]
そのブリキ玩具 (Tin Toy) である黒いロボット (Black Robot) の正体はもしかしたら、週刊少年マガジン (Weekly Shonen Magazine) での大伴昌司 (Shoji Otomo) の記事の中で観ていたのかもしれない。
しかし、実際の動く彼を観たのはTV番組『刑事コロンボ
(Columbo)』[1968~1978年 NBC放映] の第3期第6話『愛情の計算
(Mind Over Mayhem)』 [アルフ・ケリン [Alf Kjellin] 監督作品 1974年制作] でのエピソードであって、彼の正体を知るのは、映画『スター・ウォーズ
(Star Wars)』 [ジョージ・ルーカス (George Lucas) 監督作品 1977年制作] を起点とするSFブーム (Sci-Fi Movemnet In 1970s) 以降での事なのである。
その頃にはとっくにあのブリキ玩具 (Tin Toy) である黒いロボット (Black Robot) は人手に渡ってしまっていたのだ。
次回は「と」。
附記:
映画『禁断の惑星
(Forbidden Planet)』 [フレッド・マクラウド・ウィルコックス (Fred M. Wilcox) 監督作品 1956年制作] を観るのはそれからさらに後の事ではあるが、その映画ポスター (Movie Posters) であたかも美女と野獣 (Beauty And The Beast) の如きビジュアライズを与えられている割には、大活躍も大暴れもしない。物語の舞台となったアルテア第4惑星 (Planet Altair IV) の遠景のひとつとして、顕れているのに過ぎない。大活躍も大暴れもするのは不可視 (Invisible) の「イドの怪物 (Monsters From The Id)」なのだ。
尤も、大活躍も大暴れもする当の化物「イドの怪物 (Monsters From The Id)」が不可視 (Invisible) であるがこそ、物語的には脇に甘んじるべきロビー・ザ・ロボット (Robby The Robot) が映画ポスター (Movie Posters) 上では大抜擢された訳ではあるのだが。
そもそもこの映画作品はウィリアム・シェイクスピア (William Shakespeare) の戯曲『テンペスト (The Tempest)』 [1612年頃初演] の翻案であって、それに忠実であるならばロビー・ザ・ロボット (Robby The Robot) は、前ミラノ大公プロスペロー (Prospero, The Overthrown Duke Of Milan) の下僕である妖精エアリエル (Ariel, A Spirit) でなければならぬ。だがしかし、ロビー・ザ・ロボット (Robby The Robot) がロボット (Robot) であるが故に、妖精エアリエル (Ariel, A Spirit) の様に我が身の不運を嘆いたりはしない。唯々諾々と前ミラノ大公プロスペロー (Prospero, The Overthrown Duke Of Milan) の翻案であるモービアス博士 (Dr. Edward Morbius) [演:ウォルター・ピジョン (Walter Pidgeon)] に忠実であるがままなのだ。
唯一、モービアス博士 (Dr. Edward Morbius) [演:ウォルター・ピジョン (Walter Pidgeon)] の命令に一切動ずる事が出来ない場面が登場するがそれこそが彼がロボット (Robot) であるが故に発動する事件なのである。
しかもそれは、彼がロボット工学三原則 (Three Laws Of Robotics) [アイザック・アシモフ (Isaac Asimov) 創案 1950年:この3原則は彼の小説『われはロボット
(I, Robot
)』の中では2059年には既に確立された事になっていて、映画の舞台は2200年代だ] に忠実に作られているあかしであるだけでなく、物語のおおきな伏線ですらある。
しばらくすると、同形式のバラゴン (Baragon Tin Toy) が発売されてそちらも手に入れた。その頃にはゴジラ (Godzilla) の方は片腕がもげてしまったのを、近所の玩具屋で修理してもらっていて、すこし不恰好だった。
だから、映像作品の中での世界観に於ける優劣 [とは謂っても彼等の直接対決は映画『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃
実際には、当時のその身長差 [ゴジラ (Godzilla) 身長50メートルに対してバラゴン (Baragon) は身長25メートル] から謂っても、一方は他方の洟にもひっかからない。
ブリキ玩具 (Tin Toy) のゴジラ (Godzilla) とバラゴン (Baragon) が手許にあるのはねだって買ってもらったからだ。だけれども、それが初めてのぼくにとっての玩具ではない。それ以前からぼくの為のモノは幾つもあった。
積木 (Toy Block) もダイヤブロック (DiaBlock) もプラレール (Plarail) もトミカ (Tomica) も幾つも幾つもあったが、それらがいつぼくの許に顕れたのかはとんと記憶がない。
その記憶のない玩具のひとつに、これもブリキ玩具 (Tin Toy) である真っ黒いロボット (Black Robot) があった。
全身が真っ黒いなかに、寸詰まりの流線型の様なかたちの頭部は網焼き機の様な格子で覆われていてその表情は全く読めない。両腕のあるべき腰の位置から、あかいプラスチック製の挟みが突き出ていてそれが恐らく彼の両腕だ。
その下にある下半身には、寸胴な脚が2本、そのそれぞれの足裏には車輪が埋まっている。
ぜんまいをまけば、ふたつの脚を動かして滑らせる結果、その車輪が廻って前へと進む。その時、胸元からバチバチと火花が飛んだ。
それよりも大型の、ブリキ玩具 (Tin Toy) である黒いロボット (Black Robot) がもうひとつあって、そちらもやっぱり2本の脚には車輪がついて前へと進む。しかも、胸ぐらにはプラスチック製のドームで覆われていた歯車が幾つも並び、ぜんまいをまくと、歩くばかりかその歯車もギチギチと廻った。
商品としてはこちらの方が最新式なのだろう。
それよりも、他のどのブリキ玩具 (Tin Toy) よりも巨大でそれだけが彼 [とその所有者であるぼく] の誇りだった様に思う。
だけれども、旧型のブリキ玩具 (Tin Toy) である黒いロボット (Black Robot) の方が遥かに由緒が正しいのであった。
映像の歴史をみれば、ゴジラ (Godzilla) の方が先に顕れたが [映画『ゴジラ
しかも、ハリウッド映画史 (History Of The Hollywood Movies) の観点からみれば、ゴジラ (Godzilla) に匹敵するかもしくはそれよりも遥かに上にそのロボット (Robot) はある。哀しいかな、バラゴン (Baragon) は脚元にも及ばない。
一方が身長25メートルであるのに対し、他方はたかだか身長3メートルに満たないおおきさであるのにもかかわらず、だ。

つまり、映画『禁断の惑星
[上記掲載画像はこちらから。正にこれそのものなのかは確たるモノは一切ないし、その梱包函に関しては全くもって記憶はないのだが、上記掲載画像めいた代物がかつて手許にあったと思ってもらいたい。]
そのブリキ玩具 (Tin Toy) である黒いロボット (Black Robot) の正体はもしかしたら、週刊少年マガジン (Weekly Shonen Magazine) での大伴昌司 (Shoji Otomo) の記事の中で観ていたのかもしれない。
しかし、実際の動く彼を観たのはTV番組『刑事コロンボ
その頃にはとっくにあのブリキ玩具 (Tin Toy) である黒いロボット (Black Robot) は人手に渡ってしまっていたのだ。
次回は「と」。
附記:
映画『禁断の惑星
尤も、大活躍も大暴れもする当の化物「イドの怪物 (Monsters From The Id)」が不可視 (Invisible) であるがこそ、物語的には脇に甘んじるべきロビー・ザ・ロボット (Robby The Robot) が映画ポスター (Movie Posters) 上では大抜擢された訳ではあるのだが。
そもそもこの映画作品はウィリアム・シェイクスピア (William Shakespeare) の戯曲『テンペスト (The Tempest)』 [1612年頃初演] の翻案であって、それに忠実であるならばロビー・ザ・ロボット (Robby The Robot) は、前ミラノ大公プロスペロー (Prospero, The Overthrown Duke Of Milan) の下僕である妖精エアリエル (Ariel, A Spirit) でなければならぬ。だがしかし、ロビー・ザ・ロボット (Robby The Robot) がロボット (Robot) であるが故に、妖精エアリエル (Ariel, A Spirit) の様に我が身の不運を嘆いたりはしない。唯々諾々と前ミラノ大公プロスペロー (Prospero, The Overthrown Duke Of Milan) の翻案であるモービアス博士 (Dr. Edward Morbius) [演:ウォルター・ピジョン (Walter Pidgeon)] に忠実であるがままなのだ。
唯一、モービアス博士 (Dr. Edward Morbius) [演:ウォルター・ピジョン (Walter Pidgeon)] の命令に一切動ずる事が出来ない場面が登場するがそれこそが彼がロボット (Robot) であるが故に発動する事件なのである。
しかもそれは、彼がロボット工学三原則 (Three Laws Of Robotics) [アイザック・アシモフ (Isaac Asimov) 創案 1950年:この3原則は彼の小説『われはロボット
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