this night wounds time, これもまた悪い夢の続き 74.

2015.04.05.18.36

これもまた悪い夢の続き 74.

こんな夢をみた。

The poster for the movie "The Other Boleyn Girl" directed by Justin Chadwick

朝の身支度であわただしくしていると、床に新聞のカラー面がひらかれておかれている。
手にとってみると、昨日、最終回を放送したばかりのドラマの特集記事だった。どうでもいいような感動のおしきせばかりが綴られているかと読む前から辟易する。それに第一その番組、一度きりしかみていない。
だけれども、ざっとみわたしたその記事に書かれているのは作劇や演出、そして撮影の技術論だった。
その面には何点も何点もスチル写真が掲載されていて、それに触れれば、濃淡の加減や色彩を自由に変更できる。ごく短い時間だが、ワン・カットくらいは動画も再生可能なようだ。

そういえば、みたその回は、随所にわたって、セピア調の画面やパート・カラーのシーンが挿入されていた。しかも、回想シーンではない。
だが、こんな記事を読み耽っている時間ではない。帰宅してから読み返そうと、先程の位置にそのまま、元通りにもどしておく。きっと誰かが片付けてしまうか、踏んづけてしまうだろうし、場合によっては踏んづけたその足でやぶってしまうかもしれない。

テレビはずっとつけっぱなしのままだ。春からはじまる新番組が延々と紹介されている。

女性がふたり、うすくらがりの中で頬と頬を重ねて同じ方向に視線をおよがせている。その先には窓があって、レースのカーテン越しにあおい光が室内にはいってくる。ふたりはとってもよくにている。
テレビ・ドラマ初出演のピアニストがナレーションを担当している。彼女は番組内でも演奏もするらしい。
冬の凍結した湖畔に少女がひとり、深紅のチュチュを着て一心不乱におどっている。バックグラウンドの、ピアノの演奏とはまったくあっていない。老いたおんなのくぐもった声ばかりが響く。

ぼくは部屋をいくつか駆け抜けて縁側にでて、そのまま庭をつっきっていく。その方が、目的の部屋まで一直線でいける。冬の芝生が足裏に刺さる。
空はおもい雲がおりかさなって、きっと今に雨が降るだろう。洗濯物をほしたハンガーがいくつか風にゆれている。
ふと思いたったぼくは、私物だけをハンガーからとって、無造作に片手にまるめこむ。
まだ、濡れている。

もう職場にはいなければならない時間だ。