2015.03.20.14.58
戦況が膠着してはや1ヶ月。
いま、かみしめているのはあいつのことばだ。
出陣がきまったその日、あいつをみまった。
おれよりも先に出征し、負傷して帰還したあいつだ。
さしだしたおれの右掌をきまりがわるそうに左腕でかかえこんできた。
右半身をうしなっていたのだ。
病室は家畜小屋のすみにあった。
学校を首席で卒業し、その甲斐もあって同学年のなかで真っ先に兵役についたあいつのいまのあつかいがこれだった。
うしやうまはうりとばせるが、おまえはそうはいかない。かせぎのないものにくいぶちはないんだがな。
それがあいつの父親の捨て台詞だった。
時代が時代ならば、殺されていたかもしれない。あいつは自嘲していった。
わかれぎわにあいつがはなったのが、そのことばだ。
いいか、敵は必ずしもまえからくるとはかぎらない。
ひるは熱砂が赤熱し、よるは極地の寒波がおしよせる。
敵軍は、遥か彼方にあって微動だにしないし、友軍はとうにこの陣地をみすてたようだ。
補給さえもとだえがちだ。
ひとり、またひとりときえてゆく。
失踪するにもにげるあてはおろか、不充分な装備ならばおそらく半日とみもちはすまい。
しかも、もっともちかい村落まで、ここから3日はかかる。
昨夜のベーコンは、そいつらのなれのはてかもしれない。
みをもって敵をしれ。
あいつはまちがっていない。もっとはやくきづいていれば、半身をうしなわずにすんだはずだ。
[the text inspired from the song "Know Your Enemy" from the album "21st Century Breakdown
" by Green Day]
いま、かみしめているのはあいつのことばだ。
出陣がきまったその日、あいつをみまった。
おれよりも先に出征し、負傷して帰還したあいつだ。
さしだしたおれの右掌をきまりがわるそうに左腕でかかえこんできた。
右半身をうしなっていたのだ。
病室は家畜小屋のすみにあった。
学校を首席で卒業し、その甲斐もあって同学年のなかで真っ先に兵役についたあいつのいまのあつかいがこれだった。
うしやうまはうりとばせるが、おまえはそうはいかない。かせぎのないものにくいぶちはないんだがな。
それがあいつの父親の捨て台詞だった。
時代が時代ならば、殺されていたかもしれない。あいつは自嘲していった。
わかれぎわにあいつがはなったのが、そのことばだ。
いいか、敵は必ずしもまえからくるとはかぎらない。
ひるは熱砂が赤熱し、よるは極地の寒波がおしよせる。
敵軍は、遥か彼方にあって微動だにしないし、友軍はとうにこの陣地をみすてたようだ。
補給さえもとだえがちだ。
ひとり、またひとりときえてゆく。
失踪するにもにげるあてはおろか、不充分な装備ならばおそらく半日とみもちはすまい。
しかも、もっともちかい村落まで、ここから3日はかかる。
昨夜のベーコンは、そいつらのなれのはてかもしれない。
みをもって敵をしれ。
あいつはまちがっていない。もっとはやくきづいていれば、半身をうしなわずにすんだはずだ。
[the text inspired from the song "Know Your Enemy" from the album "21st Century Breakdown
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