2015.01.11.11.58
こんな夢をみた。

映画『台風クラブ
(Typhoon Club)』 相米慎二 (Shinji Somai) 監督作品]
修学旅行の最終夜、最悪な旅がもうすぐおわる予定だ。
だが、それがきちんとフィナーレを迎えられるのか、だれにも見当がつかない。
3泊4日の旅は終日、雨にたたられどうしで今、ようやく星がみえる。
だが、ぼくたちにつきまとっていた前線は今度は、ぼくたちの故郷をおそい、はげしい災害をもたらしている。
夕食のあいだ、つけっぱなしのTVは、みなれた街並みが冠水している光景ばかりだ。
みずびたしの駅の構内、みうごきのとれない列車、樹々はたおれ、信号は風にゆれ、だれもがみんなずぶぬれだ。
教師はいう。
もう一泊ここに宿泊する可能性もあること。場合によっては交通手段をかえることもありうること。その決定は翌朝くだされること。父兄には連絡済みであって、どこの家庭も無事であること。
だから、今夜の予定は一切変更なし。そして、あらためて、入浴時と消灯時の注意事項が延々と述べられていく。
ぼくの手には、夕方に手に入れた陶器があって、気が気ではない。はこかなにかを手にいれて、きちんと梱包して、自室にある鞄の奥底にしまいたくて今、いてもたってもいられないのだ。
家族が豪雨のなか、どうなろうとしったこっちゃあない。4階建ての集合住宅の3階だ。引きこもっているかぎりは、命の保証はできている。
まだ、つづいている教師の講話におかまいなく、ぼくは中座して、自室へとむかう。
いくつもの回廊をのぼったりおりたり、まがったりはしったりして、エレベーター乗り場にようやくたどりつく。
それはひとひとり乗るのがようやくの、ちいさなせまいエレベーターだ。ぼくがのって、とびらをしめようとすると、少女がひとり、わりこんできた。おなじ修学旅行生の様だが、みしらぬ生徒だ。
それが抱き合うようなかたちで、のぼるエレベータにみうごきもとれないまま、我が身を委ねている。
きがつくと、ぼくたちふたりは、おんぼろの路線バスに乗っている。
南の島の海岸沿いを、たったひとつの幹線道路を、はしっている。
このまま乗っていれば、おそらく集合時間にはぎりぎりだ。
だが、ぼくたちはつぎの停留所でボタンをおして、降りてしまう。ぼくたちが降りてしまうと、バスはもぬけのからで、誰もいない。そしてそのまま、朽ちて錆びついた車体を潮風にいい様に弄ばれている。もう2度とはしりだす事もないだろう。
ぼくたちは、幹線道路に並走している高架線の鉄塔のひとつにのぼり、海と陸と海岸線を眺めている。
めざす場所はずっとはるかむこうの街のなかにあって、日のあるうちにたどりつけるのか、皆目見当はつかない。
ただ、そんな先のことよりも、いまふいている風は遥かにここちよいのだ。

映画『鉄塔 武蔵野線
(Musashino: High Voltage Towers)』[長尾直樹 (Naoki Nagao) 監督作品]

映画『台風クラブ
修学旅行の最終夜、最悪な旅がもうすぐおわる予定だ。
だが、それがきちんとフィナーレを迎えられるのか、だれにも見当がつかない。
3泊4日の旅は終日、雨にたたられどうしで今、ようやく星がみえる。
だが、ぼくたちにつきまとっていた前線は今度は、ぼくたちの故郷をおそい、はげしい災害をもたらしている。
夕食のあいだ、つけっぱなしのTVは、みなれた街並みが冠水している光景ばかりだ。
みずびたしの駅の構内、みうごきのとれない列車、樹々はたおれ、信号は風にゆれ、だれもがみんなずぶぬれだ。
教師はいう。
もう一泊ここに宿泊する可能性もあること。場合によっては交通手段をかえることもありうること。その決定は翌朝くだされること。父兄には連絡済みであって、どこの家庭も無事であること。
だから、今夜の予定は一切変更なし。そして、あらためて、入浴時と消灯時の注意事項が延々と述べられていく。
ぼくの手には、夕方に手に入れた陶器があって、気が気ではない。はこかなにかを手にいれて、きちんと梱包して、自室にある鞄の奥底にしまいたくて今、いてもたってもいられないのだ。
家族が豪雨のなか、どうなろうとしったこっちゃあない。4階建ての集合住宅の3階だ。引きこもっているかぎりは、命の保証はできている。
まだ、つづいている教師の講話におかまいなく、ぼくは中座して、自室へとむかう。
いくつもの回廊をのぼったりおりたり、まがったりはしったりして、エレベーター乗り場にようやくたどりつく。
それはひとひとり乗るのがようやくの、ちいさなせまいエレベーターだ。ぼくがのって、とびらをしめようとすると、少女がひとり、わりこんできた。おなじ修学旅行生の様だが、みしらぬ生徒だ。
それが抱き合うようなかたちで、のぼるエレベータにみうごきもとれないまま、我が身を委ねている。
きがつくと、ぼくたちふたりは、おんぼろの路線バスに乗っている。
南の島の海岸沿いを、たったひとつの幹線道路を、はしっている。
このまま乗っていれば、おそらく集合時間にはぎりぎりだ。
だが、ぼくたちはつぎの停留所でボタンをおして、降りてしまう。ぼくたちが降りてしまうと、バスはもぬけのからで、誰もいない。そしてそのまま、朽ちて錆びついた車体を潮風にいい様に弄ばれている。もう2度とはしりだす事もないだろう。
ぼくたちは、幹線道路に並走している高架線の鉄塔のひとつにのぼり、海と陸と海岸線を眺めている。
めざす場所はずっとはるかむこうの街のなかにあって、日のあるうちにたどりつけるのか、皆目見当はつかない。
ただ、そんな先のことよりも、いまふいている風は遥かにここちよいのだ。

映画『鉄塔 武蔵野線
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