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2014.12.09.12.28

こうしえんのそらにわらえ

川原泉 (Izumi Kawahara) とその作品との出逢いはヘンな具合に始まった。
だからと謂って、川原泉 (Izumi Kawahara) とその作品群だけとが、そんな具合と謂う訳ではない。
不意に、突然、出合頭 (In Passing Another) に衝突するのはいつもの事だ。

そう、かつての少女漫画 (Shojo Manga : Girly Comic) の定番のあれ、遅刻遅刻と大騒ぎして食パン一片 (Loaf Of White Bread) を咥えたまま走り出す主人公がぶつかる男子生徒や、さもなくば、町野変丸 (Henmaru Machino) 描くゆみこちゃん (Yukmiko-chan) が陵辱される怪しげな危うい存在の様なモノなのだ。

問題は、ぶつかったその後の出来事であって、上の例に基づいて引き受けさせれば、その男子生徒は主人公のクラスにその日に転校してきた人物でなければならず、ゆみこちゃん (Yumiko-chan) は快感で悶絶するばかりか肉体が異様に変形しなければならない。
そうでもなければ、決してその後に、そんな彼らとの出逢いを寿ぐばかりか、憶い出しもしない筈なのだ。

つまり、創作家やその作品とは、初めて逢った時よりも2度目の出逢い [それは意識的な選択であろうと無意識的な選択であろうと必然であろうと偶然であろうと] の方が重要なのだ。

そして、それは川原泉 (Izumi Kawahara) とその作品にとっても、少なくともぼくにとっては、同じ事が謂える。

初めて触れた川原泉 (Izumi Kawahara) 作品は、表題に掲げたマンガ『甲子園の空に笑え! (Koushien no Sora ni Warae! : Laugh Under The Sky At Koshien Stadium)』 [作:川原泉 (Izumi Kawahara) 1984花とゆめ (Hana To Yume : Flowers And Dreams) 連載] であって、しかも掲載誌で読んだのである。

だからと謂って、それは必ずしもリアル・タイムな体験とは謂えない。
何故ならば、初めて読んだその作品を掲載している号では、最終回だったからなのだ。

つまり、ぼく自身にはマンガ誌『花とゆめ (Hana To Yume : Flowers And Dreams)』を定期購読する習慣がなく、たまたま訪れた従姪 (Cousin's Daughter) の許にあったからなのだ。
その雑誌は何冊か彼女の手許にあったが、その作品を掲載している総ての号がある訳ではない。
蟲食い状態 (Moth‐eaten) の物語を読まされていて、しかもご丁寧に、一番最初に最新号、つまり最終回を読んでしまったから、総てはネタバレの、物語を読み耽る為のスリル (Thril) もサスペンス (Suspense) もお構いなしな状況下であったのだ。

とは謂うモノの、ぼくはその時、必ずしもその作品のその物語を追い求めていた訳ではない。ただ、漫然と持て余した閑をつぶすだけの心算で、その掲載誌を眺めていたのに過ぎない。
記憶は曖昧だが、帰省中の夏休みの、親族周りの挨拶廻りの一環の、建前上の主役はぼくだけれども、親へのつきあい以外の意味しかない道中のひとつであった筈だ。

でも、その掲載誌の他の連載作品の事は一向に記憶はないのに、この作品だけは妙に、鮮明に印象付けられているのだ。

images
それは恐らく、痴呆症 (Demenz) の様にも多幸症 (Euphoria) の様にも想てしまう、登場人物たちのえへらえへらとした笑顔の所為に違いない。
[掲載画像はこちらから]

そして、そのえへらえへらの中に、深い哀しみや辛い苦しみや虚しい諦めがもしかしたら、隠されているかもしれないと教えてくれたのが、マンガ『笑う大天使 (Warau Daitenshi : The Smiling Michaels)』 [作:川原泉 (Izumi Kawahara) 19871988花とゆめ (Hana To Yume : Flowers And Dreams) 連載] を読んだ時だ。
それを教えてくれたのは、主人公の3人の女子高生が偶然手にした超能力で大活躍する前編よりもむしろ、司城史緒 (Shijou Fumio)、斉木和音 (Saiki Kazune)、更科柚子 (Sarashina Yuzuko) それぞれが主役として登場するそれぞれのみっつの後日譚 [『空色の革命 (Sky‐blue Revolution)』、『オペラ座の怪人 (Le Fantome de l'Opera)』、『夢だっていいじゃない (It's A Dream It's No Problem)』] の方だ。

当時、交際していた女性の本棚にはいくつも川原泉 (Izumi Kawahara) 作品があり、そこで初めてぼくはマンガ『甲子園の空に笑え! (Koushien no Sora ni Warae! : Laugh Under The Sky At Koshien Stadium)』 [作:川原泉 (Izumi Kawahara) 1984花とゆめ (Hana To Yume : Flowers And Dreams) 連載]』をも全話、通読出来たのだ。

次回は「」。

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