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2014.10.24.09.01

Public Image

この惑星には、我々の生存可能な大気、水、植物や動物、そして文明をもつ知的生命体の存在が確認されている。
その知的生命体の、我々とは一風かわった文化をレポートしよう。惑星の周回軌道にはいって1年、その調査の結果を簡単にまとめる。

彼らには言語というものが存在しないようだ。文字もない。一体、どうやって相互のコミュニケーションをとるのか、未だに謎だ。

だが、かつての未開の時代の我々のおおくがそうしたように、自身の身体に刻印をほどこす。入墨とよぶようなものだ。それがおのおののアイデンティティーとなっているようだ。

生後まもなく頬に、感覚器官の多くが集中している部位の側面をそう呼ぶのならば、その部位に刻印をする。
そして、幾度となくくりかえす通過儀礼のたびごとに、あらたに頰に刻印をほどこしてゆく。
もしかしたらそれは我々でいえば入学や進学や就職にあたるものかもしれないし、二次性徴の顕現なのかもしれない。その度ごとに刻印はくりかえされるのだ。
しかも成年に達したのちも、なんどもくりかえされる。恋愛や結婚や出産、就労した職業によっても異なるようだし、かつての我々がそうしてきたように懲罰としてのそれもあるようだ。

その結果、出生時は非常に単純な刻印も次第次第に複雑化と多様化を獲得し、刻印そのものがあたかも名前でもあるかのように、戸籍でもあるかのように、使用されているのだ。

最初に記したように、彼らには文字もことばもない。
署名の代わりに、自らの頬をさしだし、それを記録とするのだ。

地球時間で72時間後、この惑星の時間でいえば明日、我々はこの惑星に着陸し、彼らと接触を試みようとおもう。
我々の生存可能な大気とはいえ、船外宇宙服を装着した上での事だ。これがこうとでるかあだとなすかはわからない。だが、接触と同時に、かれらの刻印をうけるわけにはいかないのだ。

彼らは、自身の所有物一切に、自身とまったく同様のそれをほどこすからだ。所有権やそれに類する一切の権限をも、刻印に代表させているのだ。

[the text inspired from the song "Public Image" from the album "Public Image : First Issue" by Public Image Ltd.]


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