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2014.10.17.09.22

Only The Good Die Young

その国の支配者は逝った。
ながい政権、ながい統治だった。

国際社会では独裁者としてしれわたっていた。
大国の内政干渉、その傀儡である隣国からの攻撃、しかし、かれは安泰だった。

国営放送は天寿をまっとうしたと伝えるが、そのことばはにわかにはしんじられない。
暗殺説、某略説、さまざまな陰謀論が世界をかけめぐったが、真相はやみのなかだ。
それはいまにはじまったことではない。

かれがおおやけの場にあらわれなくなってから、ひさしかった。ことあるごとに重病説、死亡説、ありとあらゆる言辞がとびかった。

だが、つよい指導力をかれが発揮していたのは、めにみえてわかる。
それはかれが登場する以前の、その国の歴史をみればわかることだ。
民族、宗教、経済、ありとあらゆるものが対立軸となって、その国はながい内乱と混乱にあったからだ。

彼の葬儀が国内全土、いや、全世界にむけて配信された。
それをみまもるひとびとのおもいはどのようなものだろうか。

閣僚や官僚、議員や財界、直接かれに指導された面々が、なきがらにわかれをつげる。
かれの胸許に一輪のはなをおき、かれの耳許で、おのれのおもいをかたる。

おだやかにみえたかれの死顔が、次第にくらいかげにおおわれていくようにみえるのは、きのせいだろうか。
わかわかしく、たくましげにみえたそれが、実際の年齢以上のものにかわったとみるのは、きのせいだろうか。

耳許でささやかれたことばのかずおおくはおそらく、非難のことば、批判のことば、そして呪詛だったのにちがいない。

[the text inspired from the song "Only The Good Die Young" from the album "Stranger" by Billy Joel]


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