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2008.04.04.00.16

ホワッツ・ゴーイン・オン(What's Going On)


2001年、AIDS撲滅キャンペーン(The World AIDS Campaign)の為に結成されたユニットアーティスト・アゲインスト・エイズ・ワールドワイド(Artists Against Aids Worldwide)は、『ホワッツ・ゴーイン・オン(What's Going On)』を発表している。この作品では、マーヴィン・ゲイMarvin Gaye)の「ホワッツ・ゴーイン・オンWhat's Going On)」を様々なアレンジ / ヴァージョンでカヴァーしている。ここでは、Pop Remixヴァージョン(画面左)とR&B REMIXヴァージョン(画面右)を掲載してみた。他にもメイキング・シーンをフィーチュアーした映像ヴァージョンもあるけれども、ここでは採り上げません。
多分に参加メンバー各々のファン達に向けた顔見世興行の趣きの様だから。そして、「彼らが参加している趣旨のプロジェクトだから、よろしくどうぞ」というメッセージが多分に濃厚だから(と、は言っても献金募集が主たる目的だからそれは至極当然の行為である)。


それよりも、ここで掲載した画像で行われているパフォーマンスにむしろ注目したい。何重にもぐるぐるまきにされた目隠しを解くごとに現れる様々なメッセージに。
実はこのパフォーマンスは、プラスティック・オノ・バンド(Plastic Ono Band)名義で発表されたジョン・レノンJohn Lennon)のシングル「インスタント・カーマ(Instant Karma!)」のPVで、オノ・ヨーコ(Yoko Ono)が演じたパフォーマンスにそっくりなのだ。
ちなみに、ここにある画像では目隠ししたオノ・ヨーコ(Yoko Ono)が編み物をしている。証左となる映像自体はついぞ発見出来ませんでしたが、そこでは、唄うジョン・レノンJohn Lennon)の脇で目隠ししたオノ・ヨーコ(Yoko Ono)が様々なワン・ワードのメッセージを書いたボードを掲げています。

いやいや、ここではオリジンがどうたらこうとか元ネタ捜しをしようというのではなくて、ジョン・レノンJohn Lennon)とマーヴィン・ゲイMarvin Gaye)の「愛」や「平和」に関する意識の差違を、ちょこっと指摘しておこうと思っただけなのだ。
様々なシチュエーションで、ジョン・レノンJohn Lennon)の口から「愛」や「平和」が語られて、その不幸で衝撃的な死から、ついぞ聖人君子的な視点で彼を語ってしまいがちなのだけれども、実はそうではない。彼の「愛」や「平和」は、彼自身が「愛」に育まれ彼自身が「平和」に暮らす事が念頭にある。逆に言えば、それしかない。あくまでも個人的な「愛」や「平和」への追求である。あの夢想家の戯言のふりをして世界平和の夢を語る「イマジン(Imagine)」だって、あの曲で問いかけている「あなた(you)」という対象は、我々ではなくてオノ・ヨーコ(Yoko Ono)なのである。
ぢゃあ、マーヴィン・ゲイMarvin Gaye)はどうなの?というのが、コレから連ねるであろう駄文の主たるテーマである。

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マーヴィン・ゲイMarvin Gaye)のオリジナル「ホワッツ・ゴーイン・オンWhat's Going On)」は同名タイトルのアルバム『ホワッツ・ゴーイン・オン(What's Going On)』に収録されていて、アルバム全体のライト・モチーフを担っている。


一般的には、作品が制作された当時(1971年)の米国が抱えている数限り無い問題を告発した歌とされている。ベトナム戦争Vietnam War)、人種差別問題Racism)、ドル・ショックNixon Shock)、それら様々な問題を抱える我々は「どこヘ向おうとしているのか」という問いかけであるというのだ。
上に掲げた画像は楽曲発表時に、発売元であるモータウンMotown Records)が制作したと思しきPVである。当時のリアルタイムな生々しさを伴って、様々なニュース映像が乱舞している。

その一方で、「ホワッツ・ゴーイン・オンWhat's Going On)」は、街に住む人達の挨拶としての慣用句でもある。
例えば、大阪で言うところの「もうかりまっか?」「ぼちぼちでんな」みたいな感じ? そんな符牒にも似た言葉が臆面もなく使われているのは、どうゆう事かとゆうと、単純に考えれば、ソウル界のスーパー・スター、マーヴィン・ゲイMarvin Gaye)というよりも、彼の音楽を享受するファン達と同じ目線にたってのこの歌である、と言う事である。
使い古された言葉で言えば、ストリート感覚に満ちた「兄弟愛」の歌というわけだ。

ジョン・レノンJohn Lennon)の「愛」や「平和」は、ひとえにオノ・ヨーコ(Yoko Ono)との「愛」、オノ・ヨーコ(Yoko Ono)への「愛」であり、オノ・ヨーコ(Yoko Ono)との「平和」である。そして、その「愛」や「平和」を、もしかしたら、個からマスへと普遍化出来るのではないだろうか、という問い(もしくは闘い)がジョン・レノンJohn Lennon)の生涯だったのではないだろうか?(やたらと戦闘的で、彼の生涯の中では異質な時代だった『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ』も、そうやって考えるとフにおちるのではないか。)
では、一方のマーヴィン・ゲイMarvin Gaye)はどうかというと、彼自身と彼の仲間(恋人だったり肉親や家族だったり)で育まれる関係性をどこまで、漣の様に、次第次第に現実化させて具現化できないだろうか、というアプローチに思える。

ちがうかな?

そして、そんなマーヴィン・ゲイMarvin Gaye)のアプローチが、ハイグレードなバックの演奏と、ハイグレードなマーヴィン・ゲイMarvin Gaye)の歌唱によって、具体的なメッセージとなっているのが、この「ホワッツ・ゴーイン・オンWhat's Going On)」ではなかろうか?
つまり、ここには伝えるべきものをきちんと伝えるべき手段が、高密度なクオリティの楽曲として精製されているのだ。その事ををきちんと認識して欲しい。
と、いうのは志は高いものの、純粋に音楽的な要素だけを取り上げて聴いてみると、おそまつな楽曲も多々あるのだ(それがなんであるのかは、いちいち指摘しないよ)。
偶々だけれども、マーヴィン・ゲイMarvin Gaye)のオリジナル演奏を、演奏面だけ抽出したInstrumentalヴァージョンと、その逆のFull A Cappellaヴァージョンを発見出来たので、試みに、各々を聴いてみて下さい(各々をクリックしてみて下さい)。


だから、マーヴィン・ゲイMarvin Gaye)のメッセージに呼応するかの様に、ミュージシャンは己自身と己の仲間(恋人だったり肉親や家族だったり、それに己のファン)に向けて、マーヴィン・ゲイMarvin Gaye)のメッセージを伝えようとする。つまりは、この曲を唄うのだ。
本作品が発表された当時からブラック・ミュージックのメイン・ストリームで活躍するシンガー達が、こぞってこの楽曲を取り上げるのは、穿った見方をすれば、そういう共通認識の絆を繋げようという意思の現れではないだろうか。
チャカ・カーン(Chaka Khan)やダニー・ハサウェイ(Donny Hathaway)、オハイオ・プレイヤーズ(Ohio Players)はその代表格である。


そして時代が移って、1970年代の黒人達と同じ様な時代閉塞の思いを感じた80年代のニューウェイヴ以降に登場したミュージシャンが、リスペクトの意思で、この曲に向う。
ここでは、ポール・ウェラー(Paul Weller)とU2(U2)、そしてロス・ロボスLos Lobos)を挙げておく。

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その一方で、政治的・社会的なメッセージよりも、この曲で唄われる大きな「愛」(隣人愛とか兄弟愛の様な)に着目して、純粋なラヴ・ソングとして唄うアーティストもいる。
例えば、シンディ・ローパー(Cyndi Lauper)がその代表格だろう。なお、彼女のヴァージョンは「リクエストによる埋め込み無効」との事なので、ここではそれを収録したアルバム『トゥルー・カラーズ (True Colors)』のジャケットを掲載しておく(ジャケット写真をクリックすると、動画が試聴出来る頁に飛びます)。


そして、名曲という評価が高まれば、スタンダード・ナンバー化して、より広範囲に自由なスタンスでカヴァーされてゆく。
デイヴィッド・T. ウォーカー(David T Walker) & バーナード・パーディ(Bernard Purdie)や、BAHO(Char + 石田長生)なんかのアプローチをここで紹介する。


ところで、40年前の今日は、ジョン・レノンJohn Lennon)やマーヴィン・ゲイMarvin Gaye)に魁けて、「私には夢があるI Have a Dream)」と、己の夢を語り説いていた一人の男が殺された日でもある。その男の名前はマーティン・ルーサー・キング JrMartin Luther King, Jr)という。
今日の僕は、この演説をした男が殺された40年前の今日から、一体なにがどうやって「ホワッツ・ゴーイン・オンWhat's Going On)」しようとしているのか、考えてみようと思う。


では、最期に、マーヴィン・ゲイMarvin Gaye)自身による歌と演奏を聴いて下さい。
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