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2014.05.30.08.22

Under Cover Of Darkness

そのこは夜、くらやみをことのほかにおそれていました。
わたしがねかしつけようとすると、けっしてあかりをけさないでね、といいます。
そのこのことばにうなづいて、わたしはつけっぱなしのあかりのままで、部屋をはなれます。
そして深夜、かれの部屋にそうっとしのびいって、煌々とてるあかりをけそうとします。
でもそのとき、そのこはきまって、大声でさけぶのです。
「けさないで。夜がこわい」

証人喚問で出廷したその女性は、弁護士の問いに対して、そんなエピソードから語り始める。
「被告人はおさないころ、どんなおこさんでしたか」

法廷でかたられたいくつもの逸話は、しずかなその場所をさらなる静寂でつつむ。
だが、そのそとでは、まったくその逆だった。

だれもが、事件の背景にあるものをそこにみとってかたった。そうして、事件の異常性と事件の特殊性を、そこにみいだそうとした。
つまり、その犯罪の責任の一端を被告の母親に、負わせようとしていたのである。

そうやって、ひとびとはいまわしい事件を、わすれさろうとしていた。
あのふたりのせいだ。あのふたりがわるい、と。

だが、実際におこったことはその逆だった。
それから、数年、いや数十年、事ある毎に、この事件をおもいださないわけにはいかなくなる。

あれが最初、あれがはじまり、あれがきっかけだ。
ひとびとは、そう、おもいしらされた。

あの母子が特別ではない。
だれもがあの母にもなりえるし、だれもがあのこどもになりえる。
法廷の彼女の証言からくみとるべきは、まさにそれだったのである。

[the text inspired from the song “Under Cover Of Darkness” from the album “Angles” by The Strokes.]


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