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2008.03.20.20.13

"PROJECTION" by THE BLUES PROJECT

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前々回の記事で、「サイケデリックな装いをまとったブルース・ナンバー(もしくはその逆)」という表現をした。
1960年代中葉の音楽シーンを彩ったバンド / アーティストの殆どは、正にそんな感じだけれども、ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)に匹敵する音楽性を顕示しえたのは、このブルース・プロジェクト(THE BLUES PROJECT)ではないのだろうか?

勿論、知名度やセールス的には、はるかに劣る。劣るのだけれども、当時、米音楽シーンを席巻していた英バンドの活躍、すなわちブリティッシュ・インヴェイジョンBritish Invasion)に対する米ハリウッドHollywood)資本が提示し得た対抗馬があのザ・モンキーズ(The Monkees)。その楽曲のクオリティは勿論、優れていたけれども、R & Bやブルースといったブラック・ミュージックのエッセンスは薄かった。
逆に云えば、英チャートを賑わしたザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)の「リトル・レッド・ルースターLittle Red Rooster)」[ウィリー・ディクソン(Willie Dixon)のカヴァー:最高位1位]が結局、米ではシングル発売されなかった様に、米シーンが求めていたのは、あくまでもアイドル的な要素だったんだろう。黒人の様に唄える白人シンガーは絶対に売れるとして発掘され、それをモノの見事に実証したエルヴィス・プレスリーElvis Presley)が、結局は、ハリウッド映画界ではアイドル売り(Elvis On The Movie)されたのと、同様の構造です。

だから勢い、ブルース・プロジェクト(THE BLUES PROJECT)の様な動きは、例えば彼らならば米東海岸East Coast of the United States)主体という風に、ローカルでアンダーグラウンドな動きになってしまったのではないか。

そもそもはジャズ・レーベルとして始動した筈のヴァーヴ(Verve Records)は、1960年代中期には、とんでもないレーベルになっていて、どこがとんでもないかと云えば、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)とフランク・ザッパ(Frank Zappa)と、そしてこのブルース・プロジェクト(THE BLUES PROJECT)の作品を制作していたのです。
もちろん、そこにはレーベル運営というビジネス上の理由もあるのだろうけれども、それよりも、当時の彼らが、ロック・ビジネス黎明期のその頃、ロックという文法からはみだしていたというのも、大きな理由のひとつだろう。
例えば、あの、ビートルズThe Beatles)の作品を制作していたEMI(EMI)傘下のパーロフォン(Parlophone)だって、当時はノヴェルティ作品Novelty Songs)を制作していたレーベル、つまり、一種のキワモノという認識だったのですよ、あの、ビートルズThe Beatles)が。

と、云う訳で、バンド名にあるごとく、ブルースを基調としながらも、それを拡大解釈して発展させていこうと云う大きなうねりが、このバンドには存在している。それは、バンドの主軸であるダニー・カルブ(Danny Kalb)、スティーヴ・カッツ(Steve Katz)そしてアル・ク-パー(Al Kooper)の三者の持つ音楽的な方向性が様々なベクトルを描いているからだ。
特に、ニュー・ヨークNew York)周辺にあったビートニクな動向(The Beatniks)に影響を受けたかと思しき、ボヘミアンな香り(Bohemianism)のするフォーキーな曲調は、他の同趣向のバンドにはない要素である。アル・ク-パー(Al Kooper)がこのシーンに登場するきっかけとなった、ボブ・ディラン(Bob Dylan)との邂逅の影響も充分に考えられる。
そんなところは現在の耳には新鮮で、ある意味新鮮で、時代性やら地域性やらを感じ取ってしまう。
きっと、これはスティーヴ・カッツ(Steve Katz)の要素なのだろう。ブルース・プロジェクト(THE BLUES PROJECT)を脱退したスティーヴ・カッツ(Steve Katz )とアル・ク-パー(Al Kooper)が結成したブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ(Blood, Sweat & Tears)でのファースト・アルバム『子供は人類の父である(Child Is Father to the Man)』にその流れは引継がれている。

惜しむらくは、このダニー・カルブ(Danny Kalb )、スティーヴ・カッツ(Steve Katz)そしてアル・ク-パー(Al Kooper)の三頭政治Triumviratus)が極めて短期に決裂してしまった事。結局、彼らが残し得たのは、二枚のライヴ・アルバムと一枚のスタジオ・アルバム、つまり、本作品『PROJECTIONS』です。

だから、このバンドの座標軸を定める場合、どうしても、ブルース・プロジェクト(THE BLUES PROJECT)~ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ(Blood, Sweat & Tears)という文脈で解読してしまうのだけれども、そして、そこから所謂スーパー・セッション (Super Session)からソロ活動期(Act As A Solo Artist)というアル・ク-パー(Al Kooper)史観で観てしまいがちだけれども、このバンド本来のリーダーは、ダニー・カルブ(Danny Kalb)である事を、今一度、再認識しておく必要がある。
例え、三頭政治Triumviratus)が瓦解して、この作品で試みられた事の多くの実験が、スティーヴ・カッツ(Steve Katz )やアル・ク-パー(Al Kooper)に引き継がれて、一方ではブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ(Blood, Sweat & Tears)において、また、一方ではアル・ク-パー(Al Kooper)のソロ活動において、大きな果実をあげたとしても、離脱したふたりにのみ、その功績を讃える謂れはないと思うのだけれども。
だから、だれかきちんと、ダニー・カルブ(Danny Kalb)の視点から、このバンドを紹介して下さい。

勿論、アル・ク-パー(Al Kooper)自身にとっても、ここでの活動は重要なものである事は充分に認識している。1995年に制作された、己の音楽キャリアを振り替えるライヴ・アルバム『Soul of a Man: Al Kooper Live』でも、"I Can't Kep From Crying"や"Two Trains Running"や"Flute Thing"といった本作収録楽曲が約30年の時を隔てて、見事に再生されている。

ところで、このジャケットを模写してみて初めて気づいたのだけれども、画面には殆ど映し出されてはいないのだけれども、路傍に停車中のクルマに、メンバーがもたれたり、身を預けたり、手を乗せたりしているんですね。一体、どんな車種なのだろうかと、今さらの様に、改めて疑問に想えて仕様がない。
ちなみに画面左から、アンディ・カールバーグ(Andy Kulberg : bass,flute)、アル・ク-パー(Al Kooper : keyboards,guitar,vocals)、ダニー・カルブ(Danny Kalb : guitar,vocals)、スティーヴ・カッツ(Steve Katz : guitar,harmonica,vocals)そしてロイ・ブラメンフィールド(Roy Blumenfeld : drums)の5人です。

ものづくし(click in the world!)66.:
"PROJECTION" by THE BLUES PROJECT


imafes
THE BLUES PROJECT / PROJECTIONS

1.I CAN'T KEEP FROM CRYING 4:26
2.STEVE'S SONG 4:57
3.YOU CAN'T CATCH ME 4:17
4.TWO TRAINS RUNNING 11:28
5.WAKE ME,SHAKE ME 5:19
6.CHERYL'S GOING HOME 2:37
7.FLUTE THING* 6:02
8.CARESS ME BABY 7:16
9.FLY AWAY* 3:34

PRODUCED BY :TOM WILSON,*MARCUS JAMES

Production Supervisor : Jerry Schoenbaum
Director of Engineering : Val Valentin
Cover Design : Ken Kendall
Cover Photo : Jim Marshall

Liner Notes by Sid Bernstein

(C) 1966 PolyGram Records,Inc.
Manufactured and Marketed by PolyGram Records,Inc.

Mastered for Compact Disc by Bill Inglot & Ken Perry at K-Disc,Hollywood,CA

と、ここまでが僕が入手したCDに掲載されているクレジットです。これでは、データ的にあまりに少ないので、本作品全曲が収録されている復刻版CD『Anthology』に掲載されているクレジット・データで補完しておきます。

Personel
Blues Project #2
Danny Kalb - guitar,vocals
Al Kooper - keyboards,guitar,vocals
Steve Katz - guitar,harmonica,vocals
Andy Kulberg - bass,flute
Roy Blumenfeld - drums

1.I CAN'T KEEP FROM CRYING(Al Kooper) 4:26
2.STEVE'S SONG(Steve Katz) 4:57
3.YOU CAN'T CATCH ME(Chuck Berry) 4:17
4.TWO TRAINS RUNNING(McKinley Morganfield) 11:28
5.WAKE ME,SHAKE ME(Al Kooper) 5:19
6.CHERYL'S GOING HOME(Bob Lind) 2:37
7.FLUTE THING*(Al Kooper) 6:02
8.CARESS ME BABY(Jimmy Reed) 7:16
9.FLY AWAY*(Al Kooper) 3:34

Tracks 1 - 6 & 8 :
Recorded August 1966
.
Produced by Tom Wilson.
Tracks 7 & 9 :
Recorded May 1966.
Produced by Billy James.

Originally Released on Projections,Verve FTS 3008,November 1966.
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