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2014.04.29.05.04

ろでむ

ロデム (Lodem) は、マンガ『バビル2世 (Babel II)』[作:横山光輝 (Mitsuteru Yokoyama) 19711973週刊少年チャンピオン連載] の登場キャラクターで、主人公バビル2世 (Babel II) の「三つのしもべ (Three Servants)」のひとつ。
その正体は、なんにでも変身可能な不定形の生物なのだが、黒豹 (Black Panther) のかたちをとっているのが常態である。

「三つのしもべ (Three Servants)」のうちの遺るふたつは、怪鳥ロプロス (Ropross) と巨人ロボット・ポセイドン (Poseidon)。前者は『アラビアンナイト (The Alif Laila Or Book Of The Thousand Nights And One Night)』[9世紀頃原型が成立] の一譚『船乗りシンドバードの物語 (Sinbad The Sailor)』 [第291夜~第316夜] の、その『船乗りシンドバードの物語の第2話 そしてこれは第2の航海である (The Second Voyage Of Sinbad The Sailor)』 [第296夜~第298夜] に登場するロック鳥 (Roc) を彷彿とさせる巨大な鳥の姿を模しているロボットであり、後者はギリシャ神話 (Greek Mythology) の海神 (The King Of The Sea)・ポセイドーン (Poseidon) の名を名乗っている事からも解る様に、その活動領域の大半を海洋に求める水陸両用 (Amphibious) のロボットである。

つまり、「三つのしもべ (Three Servants)」とは陸海空三軍 (Three Services) のアナロジー (Analogy) であって、つまり、怪鳥ロプロス (Ropross) が空 (Airforce)、巨人ロボット・ポセイドン (Poseidon) が海 (Navy)、であるのならば、陸 (Army) の覇者はロデム (Lodem)、と謂う事になる。

[と、安直に陸海空三軍 (Three Services) と謂う発想に横着する前に、例えば『西遊記 (Journey To The West)』 [16世紀に成立] の”主人公”玄奘三蔵 (Xuanzang) の従者達等を考えるべきなのだろう。だが、彼らは孫悟空 (Sun Wukong)、猪八戒 (Zhu Bajie)、沙悟浄 (Sha Wujing) に加えて玉龍 (The White Dragon Horse) の化身した白馬 (White Horse) と謂う4者で構成されているのだ。しかも、仮に孫悟空 (Sun Wukong) を空 (Airforce)、沙悟浄 (Sha Wujing) を海 (Navy) とその領域を設定し得るとしても、不定形生命体・ロデム (Lodem) に対して、猪八戒 (Zhu Bajie) ないし玉龍 (The White Dragon Horse) を陸 (Army) のそれとして準える事は一体、可能なのだろうか。]

だがそうやって考えてみると、前2者が巨大なロボットであるのにも関わらず、ロデム (Lodem) のみが生命体であるのは、いささかバランスを欠いているのではないだろうか。
しかも何故、彼 / 彼女 [と表記するのは雌雄の判別が不明であるからだ、しかも、その変身能力から牡にも牝にも化身可能だ] は、黒豹 (Black Panther) の姿となって顕われるのだろうか。

例えば、なんにでも変身可能な不定形生物であるのならば、常態は人間型であっても、差し支えはない。しかも、それが女性型となって顕われれば、彼 / 彼女と主人公バビル2世 (Babel II) との間に、疑似恋愛的な関係性が産まれて、物語に幅も奥行きも産まれる可能性もあり得るのだが。
だが実際に、物語のなかでは、黒豹 (Black Panther) の姿となって顕われない場合のロデム (Lodem) は、人間型の、しかも女性型となっている場合が多いのだが、主人公と彼 / 彼女との間にある主従関係は一切、崩れる事はない。その壁を越えた新たなる関係性は望めないのだ。

[尤も、そんな疑似恋愛の可能性のそれ以前に、この物語には恋愛や愛情と謂うモノの存在が恐ろしく希薄だ。物語冒頭、主人公がおのれのなかにある特殊な能力と秘められた血の繋がりに気づかされるまでの、中学生・山野浩一 (Koichi Yamano) として暮らしていた主人公には、古見由美子 (Yumiko Furumi) と謂う同級生と謂う存在があったが、彼がバビル2世 (Babel II) として覚醒して以来、彼女の存在すらも朧げなモノと化してしまう。物語は、唯只管、宿敵ヨミ (Yomi) との激しい闘争のみを語るモノとなってしまうのだ。]

だから、黒豹 (Black Panther) [しかも変身可能な、主人公の従者] と謂う位置づけが、むしろ、なんらかの意味を持っているのではないだろうか。

images
山口華楊 (Kayo Yamaguchi) 画『黒豹大下絵 (Study For Black Panthers) 』

と、書いてはみたモノの、それに類する物語も、それに匹敵する登場人物も、ぼくの知っている範囲の中には登場してこない。

ただ、近しい存在が全くない訳ではない。
それはこの物語の連載が終わりを遂げた1973年から、放映が開始されたアニメ番組『新造人間キャシャーン (Neo-Human Casshern)』 [制作:タツノコプロ (Tatsunoko Productions) 19731974 フジテレビ系列] に登場する。
常態の犬型からさらに、飛行機 (Jet)・自動車 (Motorcycle)・装甲車 (Tank)・潜水艇 (Submarine) とよっつの形態に変形可能な、主人公キャシャーン (Casshern) と行動を共にするロボット犬・フレンダー (Friender) である。

だけれども、ロボット犬・フレンダー (Friender) を不定形生命体・ロデム (Lodem) の後継とするのには、なんとなく、抵抗がある。
それは、このふたつの物語の源流に、マンガ『少年ジェット (Shone Jet : The Jet Boy)』 [作:武内つなよし (Tsunayoshi Takeuchi) 19591962雑誌ぼくら連載] がある様な気がするからである。

つまり、主人公の愛犬、ジャーマン・シェパード・ドッグ (Deutscher Schaferhund) のシェーン (Shane) こそが、ロデム (Lodem) の原典と謂う可能性がなきにしもあらず、なのだ。

次回は「」。

附記 1:
最期に登場するマンガ『少年ジェット (Shone Jet : The Jet Boy)』 [作:武内つなよし (Tsunayoshi Takeuchi) 19591962雑誌ぼくら連載] は、ぼくが産まれる前に発表された作品であって、その同名のTV番組版『少年ジェット (Shone Jet : The Jet Boy)』 [制作:大映テレビ室 (Daiei TV-Film) 19591960フジテレビ系列] も含めて、未体験の作品である。
むしろ、この作品のパロディである『青年ジェット (Seinen Jet : The Young Jet)』 [作:小林よしのり (Yoshinori Kobayashi) 1984月刊コミックバンバン連載] を通じて、この作品を知った様なモノだ。
双方にとっての必殺技ミラクル・ボイス (The Miracle Voice) も、オリジナルの「ウー・ヤー・ター (Wu! Ya! Taa!)」よりも、パロディ版の「アー・ポー・テー (Aah! Poh! Teek!)」の方に、親近感を感じる。

附記 2.:
これから先、考えなければならないのは、黒豹 (Black Panther) と謂う動物のもつ象徴性 (Symboism) なのだろうか。しかし、それは洋の東西を問わないモノであるし、先程、ざっくりと『動物シンボル事典 (Dictionnaire du Symbolisme Animal)』 [著:ジャン・ポールクレベール (Jean-Paul Clebert)] にあたってみたけれども、そうおいそれとは明解には遭遇出来そうもないのだ。

附記 3.:
むしろ、この作品を発表した当時に活発に活動していた米の政治団体、ブラック・パンサー (Black Panther Party) の活動を調べた方がいいのかもしれない。
それとも、もしかしたらその名称の原典かもしれないアメコミ『ブラック・パンサー (The Black Panther)』 [作:スタン・リー (Stan Lee)・ジャック・カービー (Jack Kirby) 1966年初登場 マーベル・コミックス (Marvel Comics) 刊] をも、対象とすべきなのだろうか。
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