2008.03.16.21.40
1970年代のハートブレイカー達(The Heartbreakers In 1970's)
先ずは、1973年ニュー・ヨーク(New York City)はマディソン・スクエア・ガーデン(Madison Square Garden)でのライブを中心に創られたレッド・ツェッぺリン(Led Zeppelin)の映画『THE SONG REMAINS THE SAME ― 狂熱のライブ
このYoutube画像では、後半はオミットされているけれども、スタジオ録音ヴァ-ジョン[1969年発表『レッド・ツェッペリン II(Led Zeppelin II)
丁度、この映画公開時(1976年)に思春期を過ごしたギター少年達は、この曲の、単純でいて印象的でカッコよいフレーズをまっ先にコピーしたものです。で、バンドで演ってみようとしたら、この曲を唄えるシンガーがいなくて、あえなく挫折するというのが、お決まりの常道だった訳です。この曲の中盤で聴ける、ギター・リフとヴォ-カルがユニゾンするパートのゾクゾク感は、いつも興奮させられるのですが、これを再現出来る歌唱力が不在だった...。
尤も、時代が下って、その歌唱力を活かして、暴力的とも言えるパロディ精神を発揮したのが、ドレッド・ツェッぺリン(Dread Zeppelin)。レッド・ツェッぺリン(Led Zeppelin)・ナンバーを余すところなくレゲエのビート(Reggae Beat)でカヴァーして、さらにこの「ハートブレイカー(Heartbreaker -At The End Of Lonely Street-)」[1990年発表『ドレッドツェッペリン!(Un-Led-Ed)
つまり、ロバート・プラント(Robert Plant)の歌唱スタイルのオリジンのひとつがエルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)、という批評的精神の現れなのでしょう。
エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)のオリジナル「ハートブレイク・ホテル( Heartbreak Hotel )」もここに掲載しましたので、三つ巴の三竦み状態になって、聴き比べるのも一興です。
ハナシがあらぬ方向に流れそうなので閑話休題 / あだしごとはさておき(Getting Back To The Subject / Anyway)。
1976年に映画『THE SONG REMAINS THE SAME ― 狂熱のライブ
ところで、グランド・ファンク・レイルロード(Grand Funk Railroad)には、伝説の日本公演、1971年の豪雨の中の後楽園球場ライヴというのがあるのですが、その翌年、エマ-ソン・レイク・アンド・パーマ-(Emerson,Lake & Palmer)と共に後楽園球場のステージに立ったのが、フリー(Free)。彼らにも「ハートブレイカー(Heartbreaker)」[1972年発表『ハートブレイカー(Heartbreaker)
その後楽園球場ライヴのものなのかは不明ですが、日本公演のものと思しきYoutube画像を発見したので、それを掲載します。ちなみに、ベースは山内テツ(Tetsu Yamauchi)。彼の凱旋公演でもあります。
曲そのものは、レッド・ツェッぺリン(Led Zeppelin)の流れを汲むヘヴィ-なリフとポール・ロジャース(Paul Rodgers)のシャウトをフィーチャ-したブルース・フィーリング(Feeling Blues)溢れる楽曲です。
フリー(Free)を発展的に解消させ、ポール・ロジャース(Paul Rodgers)によって結成されたバッド・カンパニー(Bad Company)が、レッド・ツェッぺリン(Led Zeppelin)が運営するレーベル、スワンソング・レコード(Swan Song Records)に所属したのもむべなるかなですが、その後、ポール・ロジャース(Paul Rodgers)がフレディ・マーキュリー(Freddie Mercury)亡き後のクィーン(Queen)に加入したのはとっても違和感があります。
と、言う訳で、「ハートブレイカー(Heartbreakers)」という楽曲は、同名異曲ながらもシンガーの歌唱力というものが問われる難易度が高い楽曲ばかりです。勿論、それはここで取り上げたバンドのジャンルが、現在で言うところのHR/HM(Hard Rock And Heavy Metal)というジャンルに分類されるもので、その中でもブルース(Blues)に大きな影響を受けたバンドばかりだという外形的な理由もあるでしょう。
だから、パット・ベネター(Pat Benatar)の様な、歌唱力のある女性シンガーがHR/HM(Hard Rock And Heavy Metal)の文脈に則って、直球ストレートな剛速球をぶん投げるというアプローチは、眼から鱗な(Conversione di San Paolo)な、斬新な手法に想えました。
しかも、その曲が「ハートブレイカー(Heartbreaker)」[1979年発表『真夜中の恋人たち(In the Heat of the Night)
最後に、僕の好きな「ハートブレイカー(Heartbreakers)」を紹介しましょう。
ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)の「ドゥー・ドゥー・ドゥー -ハートブレイカー-( Doo Doo Doo Doo Doo -Heartbreaker-)」[1973年発表『山羊の頭のスープ(Goats Head Soup)
サブ・タイトルながらここに登場する「ハートブレイカー(Heartbreaker)」は、ここで紹介した他の楽曲での「ハートブレイカー(Heartbreakers)」とは一線を画しています。と、言うのは、「お前の44口径でやつの心臓に撃ち込んだ(They put a bullet through his heart / Heart breakers with your forty four)」だからです。数多くの楽曲に登場する彼もしくは彼女は、精神的にハートブレイクする存在だけれども、この「お前の44口径(your forty four)」は物理的に肉体的にハートブレイクするからです。歌詞中でも、NY市警(NYPD : New York City Police Department)の誤射で、少年が一人死んじゃいます。
p.s.とりあえずは今回、1970年代の「ハートブレイカー(Heartbreakers)」しかも、HR/HM(Hard Rock And Heavy Metal)系の楽曲に絞って紹介したけれども、実は、時代やジャンルを違えばこの同名異曲の名作は数限り無くあります。
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