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2014.03.30.08.02

俳句の切れもしくは切れ字について:『ごくなぬか』解題

中学~高校 (Secondary Education) の現代国語 (Modern Japanese) での俳句 (Haiku) の授業は、おおよそ次の様なモノだった。
1. 読む
2. 季語 (Kigo) の指摘
3. 切れもしくは切れ字の指摘
4. 句の解釈、口語訳

難しい事は殆どない。先生に指名された生徒としては、常識の範囲内で大凡の事は解答可能だ。最初に、1. をやらされた後に、そのテキストとしての俳句 (Haiku) 作品の中に、季節感をも催させる事物や事象を指摘すれば大概が2. で解答すべき季語 (Kigo) であって、1. を行っている最中に自ずと余韻や断絶を感じてしまう、もしくは、そうせざるを得ない様な場所がみつかる。そこに3. の解答、即ち切れもしくは切れ字がある。

ただ、時と場合とその俳句 (Haiku) 作品に応じて、今の季節感でそこにある季語 (Kigo) の季節を指摘すれば、誤りとされてしまうモノがある。それは、既にここで指摘した様な問題があるからであって、生徒としてはそこで誤ってしまった、今の季節感とは相容れないモノが、数ヶ月後の試験に出ると思っていれば、間違いはない。
そんな程度のモノなのである。

ぢゃあ、切れもしくは切れ字は?
と謂う様な事をここでは考えてみたい。

中学~高校 (Secondary Education) の現代国語 (Modern Japanese) 辺りのレベルでは、切れもしくは切れ字の有無と謂う問題は、さして重要ではない。[決して試験中では出来ないモノの] 実際に声に出して読んでみればいい。そうすれば大概の問題は解決する。「」「かな」「けり」と謂った、切れもしくは切れ字として多用されている語句を態々、憶えなければならないモノでもない。
文法的には、前2者が詠嘆を顕す終助詞で、「けり」が完了や過去を顕す助動詞になるのだろうか。

だけれども、そこからさらに突っ込んで、何故、俳句 (Haiku) に切れもしくは切れ字が存在するのだろうか、そしてそれが重要視されているのだろうか、と自問すると、何故だか、明確な答えは出てこない。
だからと謂って、その問いの解答となるモノがどこかにあるのだろうかと捜してみても、未だにそんなモノには出逢えていない。

殆どの解答 [らしき装いをしているモノ] は、そこにあると謂う事を主張して堂々巡りしているだけで、自ら発した問いをそのまま答えとしている様なモノとしか、解読できないのだ。
[もしも、いいテキストがあるのでしたら、ご教授願います。]

そこでいくつか、勝手に推論をしてみた。
そのひとつは既にここに書いた。4/4拍子 (Four-Four Time) 3小節 (Three Bars) の音の連なりの中の8分休符 (An Eighth Rest) と謂う考えだ。
そして、もうひとつをここに書いてみる。

切れもしくは切れ字が、俳句 (Haiku) のオリジンである連歌 (Renga) に起因する事は、解っている。
その連歌 (Renga) のルールの中に、切れもしくは切れ字の存在意義が、あるのではないだろうか。

例えば、教科書的な説明としては、連歌 (Renga) とは次の様なモノだ。複数の人間が入れ替わり立ち替わりに、上句と下句を詠み合う遊戯、それが連歌 (Renga) であると謂うモノである。
Aが上句aを詠んだのならば、Bは上句aに繋がる下句bを詠む、今度は、Cは下句bに繋がる上句cを詠んで、と謂う様な。
ここでは、それぞれが前任者の詠んだ句をまるまる回収して、ひとつの歌を作る試みだ。

だけれども、ここに切れもしくは切れ字があれば、前任者の詠んだ句の、切れもしくは切れ字以降の文字の連なりが、それに続ける句の課題として成立しないだろうか。例えば、Aが詠んだ上句aは、切れもしくは切れ字の存在によって、a1 + a2に分解出来る、とする。この場合、Bはa2以降を引き継いだ句を詠めば良く、a2は文字数の少なさによって、Bの詠む句はおろか、Bの次に詠むCの句にまで、影響を及ぼす …。

ただ、これはゲームとして考案する事は簡単なのだが、ぢゃあ、実際にそんな連歌 (Renga) 作品は過去あったのか、今後、あり得るのか、と謂われると、そこでお仕舞なのだ。現時点では、それを立証出来るモノがぼくには一切ないので、単なる思考実験のひとつで終わってしまう。

まぁ、思考実験でよければ、音楽における弱起 (Auftakt) の様なモノも可能性がない訳ではない。
弱起 (Auftakt) とは、譜面の冒頭の1小節 (A Bar) が指定された拍数 (Meter) に満たないモノを指す言葉であって、この足りない拍数は、最後の小節で補填されて、楽曲としての拍数 (Meter) は過不足なく回収される。
つまり、連歌 (Renga) における発句 (Hokku : The First Stanza) にある切れもしくは切れ字が、挙句 (Ageku : The Last Stanza) になんらかの影響を及ぼすと謂う考え方だ。

どちらにしても、それを証明するモノが登場しない限り、絵に描いた餅 (Pie In The Sky) でしかないし、第一に、ここまで考えてきた可能性は、連歌 (Renga) におけるそれであって、俳句 (Haiku) におけるそれではない。

だから、思うのだ。
切れもしくは切れ字は、連作の中で、複数の句作品の中で、なんらかの効力を発揮すべきモノなのではないか、と。
さもなければ、その様なかたちでなければ、切れもしくは切れ字は、詠嘆や語調を整える以上に、その存在意義はない様に、ぼくには想える。

例えば、5つの俳句 (Haiku) 作品は単独でも判読可能だけれども、連作として並べて、切れもしくは切れ字の間で一括りしてみれば、全く違った作品風景や作品世界が顕われてしまう様な、そんなモノの可能性を想っているのである。

『ごくなぬか』解題:目次
俳句の17文字について:『ごくなぬか』解題
俳句の5-7-5について:『ごくなぬか』解題
俳句の季語について:『ごくなぬか』解題
俳句の切れもしくは切れ字について:『ごくなぬか』解題
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theme : 俳句 - genre : 小説・文学

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