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2014.03.21.10.44

Keep Yourself Alive

救助されたそのとき、ぼくはたったひとりだったそうだ。

いつまでもつづく荒天、だれもがみな、あきらめていた。
発見できるのは、おそらく、死体だ。いや、それ以前に我々さえも、命をうしないかねない。
捜索隊でさえも、みずからの命をまもるのに懸命で、それ以外のことの一切は、あきらめの境地にたっしていた。

ぼくが発見されたのは、そんなときだった。
いつまでもやまない荒れた天候にみきりをつけ、帰還へのみちをたどりはじめた直後だったそうだ。

今日はもう、だめだ。
明日もだめかもしれない。
彼にあえるのは、暖かくなってから。春まで待つしかない。
くちにはださないが、隊員はみな、そんなおもいに達していたという。

そのときのことをぼくは、おぼえていない。
きづいたときはもう、病室のなかだった。
そこにいくつもの、なつかしい顔があった。

開口一番、かれらのことをぼくがただしたという。
それまでずっと、一緒だったかれらのことを。

はじめはみな、捜索隊のことかとおもった。
なぜなら、無謀にもぼくは、たったひとりででかけ、たったひとりで行方をたったからだ。

自殺、そんな可能性をささやくものも、いたそうだ。
そうなのかもしれない、いまとなっては。

でも、身動きができなくなってからのぼくはずっと、かれらとずっと一緒だったのだ。
かれらがそのときそこにいなければぼくは、恐らく、そこで。

いや、可能性はまだ、考えたくない。なみだがあふれるばかりだ。
それよりも、かれらも救助されたのかどうか。そればかりがきがかりだ。

そんなことを、意識が戻ったぼくはずっと、まくしたてていたという。

[the text inspired from the song “Keep Yourself Alive” from the album “Queen” by Queen]


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