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2008.03.09.10.47

これもまた悪い夢の続き 08.


"You're Under Arrest"
from the album
"You're Under Arrest"
by
Serge Gainsbourg
.


こんな夢を観た。
今日も僕は汗まみれになって働いていた。真夏の最も暑い時間。単純で、そのくせ、妙に手間暇ばかりがかかる、そんな作業だ。汗と油と八月の熱気にまみれる日々。今日も一日中、そんな朝が始り、そんな午に嫌気がさして、そんな夕刻にぼろぼろになる、筈だった。彼らが来る迄は。

ほんの一時、煙草に火をつけるくらいの一瞬だった。額に流れる汗をぬぐって、ほぉと気を緩めようとした、その時だ。ふたりの男がついと近寄って来た。そのうちのひとりが、僕の名前を尋ねて、僕が応答する前に、もうひとりの男が、にやりと笑う。
「この名刺をみれば、判るでしょう」
彼が差し出す一枚の紙っぺらには、この一種異様な雰囲気とは全く不釣り合いな、かわいらしいキャラクター・ロゴが印刷されていた。
「ちょっと、お時間頂けませんかね? いや、今すぐでなくてもいいんですよ」
「そう、お仕事が終る迄、お待ちします。どうやら、酷くお忙しそうですから...」
ふたりの男は、代わる代わる、決められたマニュアル通りの台詞を吐くかの様に、つまらなそうに話しかけた。
「では、お仕事が終る時間にまた、お邪魔します」
「念の為に御説明しましょう。わたし達があなたにこうやってお会いしているという事は」
「あなたの総ての情報を既に入手しているという事です」

(逃げても無駄だ、そう言いたいんだろう)
この台詞を言い放つ事が、僕にとって後々どういう影響をもたらすのだろうと、ほんの一瞬、逡巡している内に、彼らは、現れた時と同様に、消え失せていた。

僕は、己の犯した罪の大きさを自覚している、筈だった。しかし、どこかで匿名性の陰にかくれて、罪そのものはおろか、その罪を犯した僕という存在さえも、消去させられるのではないかと、信じていたのかもしれない。
そして、それと全く矛盾する自負が産まれ始めてもいる。彼らが僕に直接面会に来たという事は、事の重大性をやっと、ヤツらも認識したという事だ。
一連の出来事は、偶然や事故や構造欠陥なんかではなくて、意思あるモノによって引き起こされた事件だという事が。
眼の中に流れ落ちる汗をしばたきながら、さっき渡された冗句の様なロゴ・マークを凝視して、ひとりごちた。
「...さてと、どうしようか...」

images

Yusaku Matsuda acted as Kunihiko Date
from the movie"Yaju Shisu Beshi" aka "The Beast To Die" directed by Toru Murakawa
original story written by Haruhiko Ohyabu
.

まるで悪い悪夢を白昼観せられた様に、僕は今、空調のきいたオフィスで、デスクワークをしている。静かな広いオフィスには僕一人しかおらず、やけに寒々しい。
今日中に処理し、上にあげなければならない書類の束が積み上げられて、僕は冷静さを失っている。
そして、さっきから、手慣れた日常の業務なのにも関わらず、伝票を何度も何度も書き間違えている。書き損じた伝票を破棄して、新しい用紙に手を伸ばす度に、デスクの片隅に放り出された、名刺に視線が泳ぐ。
この一種異様な雰囲気に場違いな、かわいらしいキャラクター・ロゴが、そこには印刷されている。
冷たい汗が首筋と背中を伝わって流れている。
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