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2008.02.17.14.12

『イン・ザ・イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』 by ジェリ・アレン /チャーリー・ヘイデン / ポール・モチアン("In the Year of the Dragon" by geri allen,charlie haden,paul motian)

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ピアノ・トリオPiano Trio)というフォーマットの可能性と発展性を啓示し得たビル・エヴァンス・トリオ(Bill Evans Trio)のドラマーだった男と、フリー・ジャズ(Free Jazz)の革新性をその最初期に呈示し得たオーネット・コールマン・カルテット(Ornette Coleman Quartet)のベ-シストだった男と、デューク・エリントン(Duke Ellington)〜バド・パウエル(Bud Powell)の流れを汲む、M-BASE(M-BASE)派の、新進気鋭の女流ピアニスト、この三人によるユニットのアルバム。
すなわち、ポール・モチアンPaul Motian : dr)、チャーリー・ヘイデンCharlie Haden : b)、そしてジェリ・アレン( Geri Allen: p)による作品である。
ぶっちゃけて表面的な事象のみを羅列すれば、そおゆう事になる。

でも、気をつけなければならないのは、この最初の一文に鏤められた固有名詞のひとつひとつを注意深く拾い集め、それぞれの語句が指し示すものを理解しなければならない、と言う事である。
つまり、音楽分野やエンターティメント・ビジネスの枠を踏み越えて、今や、肥大化し拡散化し蔓延化し遂には無能力化している「コラボ」とどこが違うのだろうか? という事だ。

単なる異種格闘技の様にも思えるし、逆に、「父と子(Fathers And Sons) : 尤も本作の場合は父と娘Fathers And Daughters)なんだけれども」と思えるし、「お天道様に顔向けできない人生の裏街道を歩く」とばかりに音楽ビジネスのメイン・ストリームから一歩離れた者同士の、曵かれ者の小唄という意地悪な見方もない訳ではない。

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本作品のスリー・オヴ・ア・パーフェクト・ペア(Three of a Perfect Pair)の要素のひとつである、ジェリ・アレン( Geri Allen)をフィーチャ-して、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の黄金のクインテットの一翼を為した、ロン・カーターRon Carter : b)とトニー・ウィリアムス(Tony Williams :dr)とによるピアノ・トリオPiano Trio)作品『21(Twenty One)』がsomethin'else / Blue Noteで制作されたけれども、期待値を妄想や幻蒙の粋に高めて聴いてみたら、こちらの過剰な期待を満足させるものでもなかった。
ジェリ・アレン( Geri Allen)をフィーチャしたピアノ・トリオPiano Trio)ならば、こちらのトリオの方が断然よい。

本作品でのトリオが、既に何作品も発表した後の作品であるのに対して、『21(Twenty One)』トリオが彼らのファースト・コンタクト(The First Contact)であるという視点はあるだろう。
本作品トリオが各メンバー持ち寄りのオリジナル楽曲を中心に、リーダー、ジェリ・アレン( Geri Allen)のルーツであるバド・パウエル(Bud Powell)~オーネット・コールマン(Ornette Coleman)の楽曲を取り上げるという構成にもあるだろう。それは、メンバー主導で選曲されたと言う事である。
一方の『21(Twenty One)』トリオでは、ジェリ・アレン( Geri Allen)の楽曲をメインに据えながらも、「二人でお茶を(Tea For Two)」「木の葉の子守唄(Lullaby Of The Leaves)」等のスタンダード・ナンバーも眼を引く、これはレコード会社主導の選曲が為されたと解釈するのは穿ち過ぎだろうか?
つまり、外面上窺い知る事が出来るのは、メンバー間のコミュニケーションも作品構成も、"練れている"もしくは"練れていない"の差なのである。

と、いうよりも、緊迫感とか技巧の応酬という観点から聴けば、実は、『21(Twenty One)』トリオの方が凄まぢく勝っているのかもしれない。ハード・コアなピアノ・トリオPiano Trio)作品という観点から聴けば、圧倒的な水準にあるのに違いない。
しかし、それにも関わらずいまひとつ、トリオというスリー・オヴ・ア・パーフェクト・ペア(Three of a Perfect Pair)な美しい三角形が描けていない様な気がする。勿論、黄金のクインテットの2/5をかつて担ったふたりにジェリ・アレン( Geri Allen)が負けているのではない。むしろ、追い詰められているのは、ロン・カーターRon Carter)とトニー・ウィリアムス(Tony Williams)の方かもしれないのだ。
にも拘らず、僕はジェリ・アレン( Geri Allen)のピアノ・トリオPiano Trio)ならば、この二人、ポール・モチアンPaul Motian)とチャーリー・ヘイデンCharlie Haden)を推すだろう。
何故ならば、緩急自在の闊達とした三者の会話が、そこにあるからだ。

ピアノ・トリオPiano Trio)作品といいながら、作曲者であるジュアン・ラザロ・メンド-ラス(Juan Lazaro Mendolas)のケーナ(quena : bamboo flute)をフィーチャ-した「ロラーノ(Rollano)」なんていう反則技をくり出す。だが、この楽曲で描かれるのどかな叙景が、作品全体のアクセントとなっているのは、言うまでもない。
そして、先にも挙げたバド・パウエル(Bud Powell)の「オブリヴィオンOblivion)」、オーネット・コールマン(Ornette Coleman)の「インヴィジブル(Invisible)」に加え、これもチャーリー・ヘイデンCharlie Haden)のペンになる名曲「ファースト・ソング(First Song)」もありながら、個人的に好きな楽曲は、ジェリ・アレン( Geri Allen)のオリジナル「ノー・モア・ミスター・ナイス・ガイ(No More Mr. Nice Guy)」です。チャーリー・ヘイデンCharlie Haden)のベース・ソロに導かれて、深夜の街頭を彷徨うかの様なメロディが登場すると、「ク~ッたまらん(C) 中山康樹、という訳です。

余談ながら、「ノー・モア・ミスター・ナイス・ガイ(No More Mr. Nice Guy)」という楽曲はアリス・クーパーAlice Cooper)やスパークス(Sparks)等による同名異曲もあるんだけれども。
さらに余談ながら、ポール・モチアンPaul Motian)とチャーリー・ヘイデンCharlie Haden)は共にキース・ジャレット(Keith Jarrett)のバックを勤めていたという事実もあるのだけれども、本作品のトリオ結成の起因(リーダーの頸のすげかえ)ではないとオモイマス。

ものづくし(click in the world!)65.:
『イン・ザ・イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』 by
ジェリ・アレン /チャーリー・ヘイデン / ポール・モチアン
("In the Year of the Dragon" by geri allen,charlie haden,paul motian)


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イン・ザ・イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』 by ジェリ・アレン / チャーリー・ヘイデン / ポール・モチアン

"In the Year of the Dragon" by geri allen,charlie haden,paul motian

パーソネル:ジェリ・アレン(p),チャーリー・ヘイデン(b),ポール・モチアン(dr)他
GERI ALLEN piano
CHARLIE HADEN bass
PAUL MOTIAN drums
Guest artist :
JUAN LAZARO MENDOLAS quena(bamboo flute) on ROLLANO

1989年3月10日~13日、NY、サウンド・アイディアズ・スタジオにて録音。
Recorded and digitally mixed March 1989
Sound Ideas,N.Y.C.
Assistant : Kevin Thomas
Engineer : Jon Rosenberg
Photography : Mark Malabrigo
Design : Steve Byram
Producer : Stefan F.Winter
A PRODUCT OF JMT

<曲目>
1.オブリヴィオン
 OBLIVION 3:17
 Bud Powell,Patricia Music
2.フォー・ジョン・マラチ
 FOR JOHN MALACHI 3:30
 Geri Allen,Antoinette Music
3.ロラーノ
 ROLLANO 4:10
 Juan Lazaro Mendolas / Arr.: Geri Allen
4.シー・ユー・アット・パー・テュッティズ
 SEE YOU AT PER TUTTI'S 5:55
 Charlie Haden,Liberation Music
5.ラスト・コール
 LAST CALL 5:10
 Paul Motian,Yazgol Music
6.ノー・モア・ミスター・ナイス・ガイ
 NO MORE MR.NICE GUY 7:01
 Geri Allen,Antoinette Music
7.インヴィジブル
 INVISIBLE 4:34
 Ornette Coleman,Composers Music
8.ファースト・ソング
 FIRST SONG 5:38
 Charlie Haden,Liberation Music
9.イン・ザ・イヤー・オブ・ザ・ドラゴン
 IN THE YEAR OF THE DRAGON 7:55
 Paul Motian,Yazgol Music

(C)1989 JMT Productions,Munchen (P) 1989 JMT Productions,Munchen

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僕の持っている国内盤CDには、小野好恵の解説が挿入されています。
また、近年は、ここで取り上げたメンバーの顔写真のジャケットを取り止めて、上記掲載のタイポグラフィTypography)をフィーチャ-したものに、変更されています。
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