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2013.11.19.12.17

さんおぶあびっち

学校からかえってくる、そのおんなはふせっていた。
おんな、ではない、ただしくは母だ。

三年前にうちをとびだした母は、数日前からここでまた、暮らすようになった。
あの時になにがあったのかもわからないし、そしてまた、どうおりあったのかもわからない。
ただ、三年間の不在など、存在しなかったかのように、彼女はここで暮らしている。

一切の説明は、彼女はおろか、父親のくちからもこぼれない。
そういえば、うちをとびだしてしばらくしたのち、家裁できちんと別れたことも、誰からの説明もなかった(そんなものはどんなに黙っていようとも、こどもたちはすべておみとおしなのだ)。

三年前、そんな予兆は一切なかった。
ある日、忽然として、いなくなったのである。
その証拠に、彼女の家財道具が一切、なくなっていた。
割り当ててある箪笥の引き出しは、がらんどうだったのだ。

そのとき、そこにおこっていることが一切、わけもわからず、親子三人 - 父と弟とぼくだ - は、途方にくれてばかりだった。
ただ、翌朝から台所にたつ父の姿があった。

その前夜、ひとつだけ、おかしなことがあった。
母がぼくに一言、たまには一緒に寝ようと言ったのだ。
もちろん、言下にことわった。もう、とっくの昔に、そんな齢ではない。
そろそろ高校受験の準備もはじめねばならないし、第一、二次性徴のまっただなかだ。

そのとき、彼女はまだ、母のつもりだったのか。

images
the movie poster for the movie "Back To The Future" 1985 directed by Robert Zemeckis

次回は「」。
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