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2013.10.29.04.07

みすたーえっくす

現在過去未来、有名無名、実在非在を問わず、そう名乗る人物には枚挙の暇はない。と、謂うのも、本来が、仮称であるからだ。
実際の名称が不明の際に、便宜上、名付けられる仮の名前の代表的なモノ、それがミスター・エックス (Mister X) だ。
だから、遅かれ早かれ、その正体が判明すれば、仮称は仮称でしかないのだから、実の名でその人物は呼ばれる事となる。
にも拘らずに、否、それだからこそ、あえてミスター・エックス (Mister X) なる名を自称するモノも登場するのである。

ぼく達の世代にっとては、少なくともふたり、その名を騙る人物が登場している。

ひとりはマンガ『タイガーマスク (Tiger Mask)』 [原作:梶原一騎 (Ikki Kajiwara) 作画:辻なおき (Naoki Tsuji) 19681971ぼくら連載] に登場する彼であり、ひとりはマンガ『プロゴルファー猿 (Pro Golfer Saru)』 [作:藤子不二雄A (FUJIKO Fujio (A)) 19741980週刊少年サンデー連載] での彼である。
どちらの作品も、後にアニメ化された。前者は19691971年によみうりテレビ系列から、後者は19851988年にテレビ朝日系列で放映された。
しかも、それぞれが後に異なるメディア展開が成されている。

そういう理由で、雑誌の連載開始時だけ観れば約10年のひらきがあって、ぼく達世代と大まかに括ってしまったけれども、どちらのミスター・エックス (Mister X) に馴染や親近感、もしくは記憶が遺っているのかと問うと、単純に世代や学年、もしくは生年だけで、奇麗に色分け出来るモノでもない。
勿論、それぞれの作品が主題に据えているスポーツ [そう、謂い忘れていたけれどもどちらもスポーツ・マンガなのである] の、いずれに親しんでいるのか、馴染んでいるのか、という観点からも、近い遠いは産まれるであろうし、作者の作風や画風、はたまた、掲載誌やTV局の相違が、その違いを産み出す基にもなるだろう。

ところで、同じミスター・エックス (Mister X) を名乗るふたりではあるモノの、それぞれの作品におけるポジションは当然ながら異なる。そしてそれ故なのだろうか、ふたりのヴィジュアルも相当に異なるのだ。

後者はミスターX (Mister X) を名乗るのも宜なるかな、頭から冠った黒いマスクと大きなサングラスで、素顔も表情も隠されている。その為に物語の舞台とは離れた場所で、彼の実人生があり、それが保証されている様にも想える。

それに対し、前者のミスターX (Mister X) は、常時、素顔を曝したままだ。むしろ、異様なのは、その曝す素顔と共にある、時代錯誤とも想える風体の方なのだ。

シルクハット (Top Hat) に燕尾服 (White Tie)。その上にマント (Inverness cape) を羽織り、ステッキ (Walking Stick) を小脇にしている。さらに、鋭角的に削ぎ落とされた顔には片眼鏡 (Monocle) まで輝いている。胡散臭い。こんな人物に街中で遭遇したら、一体、どうすればいいのか。いや、一応、紳士の礼装 (Men's Formal Wear) ではあるのだけれど。
一見、頭の中に閃くのは、アルセーヌ・ルパン (Arsene Lupin) のパブリック・イメージだ。
孫の方ぢゃあなくて、元祖の方。モンキー・パンチ (Monkey Punch) の創作ではなくてモーリス・ルブラン (Maurice Leblanc) の創作の方。
本来は、変装の名人だから、特定のコスチュームを身につけている訳ではない筈なのに、別名、怪盗紳士 (Gentleman-cambrioleur) に引き摺られて、彼のパブリック・イメージは形成された。それをミスターX (Mister X) に引き当てたいのは山々だけれども、きっと恐らくそうぢゃあない。

彼も、原作マンガの物語冒頭では決して、そんな風体ではなかった。
逆にTVアニメではそのオープニング主題歌『行け! タイガーマスク (Go! Tiger Mask)』 [作詞:木谷梨男 (Nashio Kitani) 作編曲:菊池俊輔 (Shunsuke Kikuchi) 唄:新田洋 (HIroshi Nitta) / スクールメイツ (Schoolmates)] で既にその格好で登場する、しかも大きな影となって顕われるその演出はまるで怪盗紳士 (Gentleman-cambrioleur) を想わせる。
原作マンガでの彼は、その冷酷な風貌と片眼鏡 (Monocle) は最初からその通りだったけれども、ぼくの記憶が正しければ、黒いスーツと中折れ帽 (Fedora) という出で立ちだった。
それが変わるのが、覆面ワールドリーグ戦 (War Against The League Of Masked Wrestlers) の為に、虎の穴 (Tiger's Cave Wrestling Co., Ltd) のレスラー達を引き連れて顕われた時だと想うのだけれども、これはTVアニメの放映に際して、そこでの人物設定にあわせた為、なのかどうかは解らない。

images
と、いうのは、ライオン (The Lion Man)ミイラ (Egyptian Mummy)悪魔 (King Satan)黄金仮面 (The Golden Mask)のっぺらぼう (Mister No)吸血鬼 (The Doracula)髑髏 (The Skull Star)影男 (Mister Shadow) を引き連れた彼はどう贔屓目に観ても、安手の奇術ショーかサーカスの一団の、団長の様にしかみえなかったからなのだ [掲載画像はこちらから]。

次回は「」。

附記:
マンガ『タイガーマスク (Tiger Mask)』 [原作:梶原一騎 (Ikki Kajiwara) 作画:辻なおき (Naoki Tsuji) 19681971ぼくら連載] でのミスターX (Mister X) をサイエンス・フィクションとしてのフィルターを通してみると、アニメ番組『科学忍者隊ガッチャマン (Science Ninja Team Gatchaman)』 [19721974フジテレビジョン系列] でのベルクカッツェ (Berg-Katse) が生成される様な気がふとしたのだけれども、どうだろうか。
巨大な悪の組織での大幹部として采配を振るうというポジションも共通している上に、アニメ番組『科学忍者隊ガッチャマン (Science Ninja Team Gatchaman)』 [19721974フジテレビジョン系列] では物語後半、ベルクカッツェ (Berg-Katse) の正体というモノが大きな比重を占めていくのだ。
それはもしかしたら同時期に放映されていた特撮TV番組『仮面ライダー (Kamen Rider)』 [19711973NET系列] の影響下なのかもしれないのだけれども、それに登場するゾル大佐 (Colonel Zol [演:宮口二郎 (Jiro Miyaguchi)] や死神博士 (Dr. Shinigami) [演:天本英世 (Hideyo Amamoto)] や地獄大使 (Ambassador Hell) [演:潮健児 (Kenji Ushio)] やブラック将軍 (General Black) [演:丹羽又三郎 (Matasaburo Niwa)]、ショッカー (Shocker) の大幹部達は皆、己の正体を曝して、宿敵仮面ライダー (Kamen Riders) に最期の闘いを挑むのである。
マンガ『タイガーマスク (Tiger Mask)』 [原作:梶原一騎 (Ikki Kajiwara) 作画:辻なおき (Naoki Tsuji) 19681971ぼくら連載] でのミスターX (Mister X) は、ミスターX (Mister X) のまま、つまり正体不明本名不詳のまま、亡びてしまうのだけれども、彼の未練を彼らが引き継いだのだ、と考えてみる事も出来るのではないだろうか。
それとも、決してリングの上に上らない彼、すなわちタイガーマスク (Tiger Mask) と決して直接対決をしない彼とは、どこかで一線が曳かれているのだろうか。
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