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2008.02.11.16.07

スタンド・バイ・ミー(Stand By Me):後編


このタイトルとなった楽曲のオリジネイタ-がベン・E. キング(Ben E. King)であるという事実は変わらないものの、 映画『スタンド・バイ・ミーStand By Me』が公開されるまでは、「スタンド・バイ・ミ-(Stand By Me)」といえば、このヒト。ジョン・レノンJohn Lennon)だった。
カヴァー・ナンバーばかりを集めたその名もズバリの『ロックンロール(Rock 'n' Roll)』というアルバムの楽曲である。
ここに掲載した画像は、そのプロモーション・ビデオであり、しかも、あて振り口パクLip Sync)ぢゃぁなくてきちんとライヴ・シューティングされた映像作品なのだ。

ところで、ジョン・レノンJohn Lennon)にとって、唄いかける対象、己のラブソングに登場する「あなた」は、実在の人物。具体的に存在する人物である事はいうまでもない。
多くのラブソングが、制作過程においては、作者自身の現実の恋愛体験や恋愛感情が反映されていたとしても、そのラブソングが多くの人々の眼前で唄われていき、レコーディングされて作品化されていく内に、その恋愛体験は抽象化されてより普遍的なものへと転化する。ラブソングで唄われている「あなた」も、作者自身にとっての具体的な「あなた」がどんどんと抽象化されて普遍化されて、敢ていえば希薄な存在となっていく。だからこそ、僕達は、そのラブソングをぐいっと己自身の体験や己にとっての「あなた」という存在に置換して、そのラヴソングを唄う事が出来るのだ。
ところが、ことジョン・レノンJohn Lennon)の作品にあっては、ザ・ビートルズThe Beatles)初期のいくつかの楽曲を除いて、そおゆう事は不可能である。彼が唄うラブソングは己自身のラブソングであり、唄いかける「あなた」も実際に彼の目の前にいる「あなた」である。つまりは、オノ・ヨ-コYoko Ono)、彼女の存在抜きには彼の音楽は成立しない。
だから、ここで唄われている「スタンド・バイ・ミ-(Stand By Me)」も、オノ・ヨ-コYoko Ono)に向けて、というよりも、彼女にだけ向けて唄われているのに違いない。折しも、この時期の二人は、失われた週末The Lost Weekend)の時期。ジョン・レノンJohn Lennon)自身にとっても最も苦しい時期であったのである。
失われた週末が終えたと同時に、ジョン・レノンJohn Lennon)は永い主夫生活The House Husband)へと入ってしまい、創作活動の一切を放棄して、ふたりの息子ショーン・レノンSean Lennon)の育児に専念してしまうのだ。


そして、それを聴く僕達も、意識するにしろ無意識にしろ、ジョン・レノンJohn Lennon)のこの曲での「スタンド・バイ・ミ-(Stand By Me)」という叫びが、ラブソング上の単なるワン・フレーズという以上の重みや痛みを持っているものとして聴いてしまうのではないだろうか?
その重みや痛みを引き受けて映像化したのが、映画『スタンド・バイ・ミーStand By Me』の様に想えてならないのですが、如何でしょうか(頭の中に?が浮んだら本稿の前編を読んでみて下さい)。


だから、ジョン・レノンJohn Lennon)の長子であるジュリアン・レノンJulian Lennon)とティアーズ・フォー・フィアーズTears For Fears)のローランド・オーザバルRoland Orzabal)とのデュオによるこの演奏を聴いても、単純に父親の楽曲をカヴァーしました、というそれ以上の意味合いを、僕は聞き取ってしまう。何故ならば、オノ・ヨ-コYoko Ono)に向けて「スタンド・バイ・ミ-(Stand By Me)」と唄いかけたのと同じ様な立場で、ジュリアン・レノンJulian Lennon)は父親に唄いかけたかったのではないかと、下衆な勘ぐりをしてしまうからだ。
ジョン・レノンJohn Lennon)とオノ・ヨ-コYoko Ono)との恋愛によって、前妻シンシア・レノンCynthia Lennon)との破局を知ったポール・マッカートニ-Paul McCartney)がジュリアン・レノンJulian Lennon)へのメッセージとして作曲したのが「ヘイ・ジュードHey Jude)」です。


ジョン・レノンJohn Lennon)によって、のっぴきならないラブソングへと昇華したこの楽曲は、映画『スタンド・バイ・ミーStand By Me』以外でも、主人公やそれに準ずるヒトの不在を嘆き悲しむ唄、もしくは不在のヒトを呼び寄せる為の唄としての役割を与えられる。
映画『ライオン・キング(The Lion King)』でミーアキャットMeerkat)のティモンTimon)と、イボイノシシDesert Warthog)のプンバァPumbaa)がこの曲を唄うシーンでも、映画『ハーモニー(Cosi)』で、ヒロイン役を演じるトニ・コレットToni Collette)が物語のクライマックス・シーンで唄うシーンでも、同様である。


まぁ、なかにはU2(U2)とブルース・スプリングスティーンBruce Springsteen)や、ヴァネッサ・パラディVanessa Paradis)とウィリー・デヴィル(Willy Deville)による、上記の2動画の様に、同じステージにたてる喜びを分かち合うという意味合いしか持たないものもあるのだけれども。
それだって、ここで唄われているのは、抽象化されて普遍化されて希薄化されてしまった「あなた」ではなくて、同じステージにたつ「あなた」という構造になるわけです。


逆に言うと、このアース・ウィンド&ファイアEarth,Wind & Fire)のリーダー、モ-リス・ホワイトMaurice White)の様に、オリジナル・シンガーであるベン・E. キング(Ben E. King)へのリスペクト色の強いアプローチは少ない様です。あくまでも、ジョン・レノンJohn Lennon)の演奏にインスパイアされて、ジョン・レノンJohn Lennon)の歌唱の奥に潜むエモーションに感応して、カヴァーしたアーティストの方が多い様な気がしてなりません。


だから、実は単なる同名異曲のナニモノでもない筈の、オアシスOasis)の「スタンド・バイ・ミ-Stand by Me)」やthe brilliant greenの「Stand by me」も、映画の文法で言えば「(映画的)引用」、文学用語で言えば「本歌取り」のような気がしなくもない。
ちなみにここで掲載している動画は米ハードコア・バンド、ペニ-ワイズ(Pennywise)によるカヴァー。ちなみに彼らもまた、不慮の事故で元メンバーを喪ってしまったという過去がある、と書き添えると因縁話を徒に積み重ねるだけになってしまうので、ここではこの件はこれ以上、書きません。


では、最期にベン・E. キング(Ben E. King)による、オリジナルの「スタンド・バイ・ミ-(Stand By Me)」をお聴き下さい。
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\"Stand By Me\" by OASIS(『スタンド・バイ・ミー』 by オアシス)

「スタンド・バイ・ミー / Stand By Me / ぼくのそばにいて」 あなたは、誰に呼びかけますか? そして、その方はあなたのために 「スタンド・バイ・ミー / Stand By Me / ぼくのそばにいて」 してくれますか? " Stand By Me" from the album "Be Here Now" by OASIS

2008.07.13.12.23 |from with a kiss,passing the key

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