FC2ブログ

2013.10.18.06.13

Off The Hook

ひとむかしもふたむかしもまえは、単純なことだった。
いちばんやすい切符を買えばいい。そして、環状線にのりこんで、日がな一日、ぐるぐるぐると何周も何周も、この街をまわっていさえすればよかったのだから。

そうして日が暮れたのならば、すごすごとかえればいい。
いない理由も、つかまらない理由も、なにもいらない。
かれらには、昨日も今日も、おまえと連絡がつかなかったという事実しかのこらない。
そしてその日も、おまえはだれにも逢わず、だれとも話もしなかった。
それだけのことなのだ。

もちろん、その場しのぎでしかないし、環状線をまわっている間、なにかが変わるわけではない。むしろ、やるべきことから逃げ回っている以上、かえって事態は悪化しているのに決まっている。
それが嫌ならば、かれらに逢うことだな。
戻るべき場所、居るべき場所に、すぐさまかえって、鳴り止まないその受話器を取るしかないのさ。

ほら、みろ。
おぼつかないだろう。
そんな決心は今のおまえにはできないのだ。
その電話に出たが最期、待っているものはなにか、すでにおまえは知っているはずなのだから。

だから、ぐるぐるぐると、街をまわっているのさ。
今しがた空いた一角におのれを追い込んで、そこにへたり込んでいればいい。

少なくとも、そうしている間は、この街にいる訳だから。

気がついたら、どことも知れぬ崖のうえにたっていた。
気がついたら、うっそうと茂る暗い森のなかにいた。
気がついたら、ある店のカウンターで刃物を突きつけていた。

そんな事態は、絶対に来ないから。
はしる車内の一隅に、背を丸めているおまえの背中をひとおしする様な、そんな、やさしい悪魔が顕われることは決してない。
だからそこにずっと、みじめな顔をして、うずくまっていればいいのさ。

だが、それも昔の話。

今、おまえは電源を落としてしまっているが、そこにはひっきりなしにメッセージが届いているはずだ。
すべては記録されている。その証拠はすべてかれらに握られていて、もう、どこにも逃げる場所などありはしない。

崖のうえにも、森の中にも、安息の場所など決してないのさ。

[the text inspired from the song "Off The Hook" from the album "The Rolling Stones, Now!" by The Rolling Stones]


関連記事

theme : 今日の1曲 - genre : 音楽

a song for you | comments : 0 | trackbacks : 0 | pagetop

<<previous entry | <home> | next entry>>

comments for this entry

only can see the webmaster :

tackbacks for this entry

trackback url

https://tai4oyo.blog.fc2.com/tb.php/1274-a288608d

for fc2 blog users

trackback url for fc2 blog users is here