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2013.08.18.06.21

『永遠の詩集 [シンニード・シングス・スタンダード] (am I not your girl?)』 by シンニード・オコナー (Sinead O'connor)

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アーティスト名の表記に関して、最初にお断り。

現在の彼女の日本語表記は、シネイド・オコナー (Sinead O'connor) に統一されつつあるのだけれども、1987年にデヴューした当初のそれは、シンニード・オコナー (Sinead O'connor) であり、AmazoniTunes Storeでの表記は、シニード・オコナー (Sinead O'connor) である。
ぼくがこの作品を購入した際の表記は、上掲の様にシンニード・オコナー (Sinead O'connor) だったので拙稿のタイトルは、それに従ったものである。
以降、アーティストとしての彼女を指し示す場合は、シネイド・オコナー (Sinead O'connor) と表記する事にする。

本作品は1992年発表の、シネイド・オコナー (Sinead O'connor) にとっての第3作にあたる。
ビッグ・バンドの演奏による、スタンダード・ナンバーのカヴァー集で、いささか企画色の強い作品である。
だけれども、シンガー / ヴォーカリストとしての彼女に焦点をあてるという意味では、半ば必然的な作品だったのかもしれない。

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と、いうのは彼女が世界的なレベルで注目を浴びたのが、プリンス (Prince) の楽曲 [彼名義では発表していない、傘下のアーティストであるザ・ファミリー (The Family) 唯一のアルバム『ザ・ファミリー (The Family)』 [photo : left] 収録楽曲で1985年に発表] である『ナッシング・コンペアーズ・トゥー・ユー (Nothing Compares 2 U)』 [photo : right 『蒼い囁き (I Do Not Want What I Haven't Got)』収録 1990年発表] のカヴァーであり、スキンヘッド (Skinhead) のシネイド・オコナー (Sinead O'connor) の表情を淡々と撮影したそのプロモーション・ヴィデオ共々、相当な話題になったと記憶している。1990年の事だ。
この曲を聴き、その曲のヴィデオを観たモノは恐らく、その表情豊かな歌唱と表現力に魅了されたのに違いなく、それ以上に、独特の声質に魅了されたのに違いないのだ。

だから、トーチ・シンガー (Torch Singer) としての彼女を最大限にフォーチャーした作品を、と構想した場合、『ナッシング・コンペアーズ・トゥー・ユー (Nothing Compares 2 U)』 [『蒼い囁き (I Do Not Want What I Haven't Got)』収録 1990年発表] がそうであった様に、彼女のオリジナル楽曲であるよりも、誰にも親しみのあるカヴァー曲を、と考えるのは、自然な発想の様に想える。

と、ここまで綴ってみたけれども、それはあくまでも表向きのモノの様にも想えてしまうのだ、実は。
シネイド・オコナー (Sinead O'connor) というアーティストは、音楽活動以外の部分で、もしくは、音楽活動と並走するかの様に、常に物議を醸し出してきた人物なのである。
他者に対する発言には絹を着せぬ毒舌も多い上に、世の中に蔓延っている常識や常道に、異を唱える事に一切、躊躇いがない。
ただ、ぼくから観れば、その言動を裏付けるモノが、政治的理念や道徳的観念に立脚したモノというよりも、とっても生理的なモノ、感覚的なモノに、想えるのだ。
だから、彼女の言動は、批判や批難の矢面にたたされるばかりではなく、それに論理的な反論や倫理的な正論をする術や時季を、彼女はもっていない様に想えてしまう。

例えば、全米に生放送されている人気番組『サタデー・ナイト・ライブ (Saturday Night Live)』 [米NBC制作 1975年より放送] 出演中に、ローマ教皇 (Papa) の顔写真を破り捨てるという"事件" (Sang The Song "War") [1992年10月] をも、平気で起こしてしまう。日本に棲んでいる日本人であるぼく達から観ると、イメージしづらい事件だけれども、単純な話、全米のカトリック教徒 (Ecclesia Catholica Romana) 総てをその瞬間、敵に回した事になるわけだ。
だから、誰しもが彼女を擁護出来ないし、誰にも彼女は助けを求める事が出来ない。
その後に出演したボブ・ディラン 30 ~トリビュート・コンサート (BOB DYLAN The 30th Anniversary Concert Celebration) では、大ブーイングの下、トリビュートの眼目であるボブ・ディラン (Bob Dylan)・ナンバーを歌う事すら許されずにステージを降りなければならない (She Left The Stage) のだ [個人的には、ボブ・ディラン (Bob Dylan)・ファンの保守的な反応が信じられないのだけれども、逆に考えればそういった層を巻き込んだ上でのボブ・ディラン (Bob Dylan) というアーティストがいるのだろう]。

だから、そんな、シネイド・オコナー (Sinead O'connor) というアーティストの言動を踏まえてみれば、まるで、本作は、お前は黙って歌だけ歌っていればいいのだ、というスタッフ・サイドの呪詛の様な台詞が、ぼくには聴こえてしまうのである。

それ故に、この作品の評価の置き所が、未だにぼくには出来ていない。

プロデューサーのクレジットは、フィル・ラモーン・アンド・ シネイド・オコナー (Phil Ramone and Sinead O'connor) で、アーティスト自身も、納得ずくのプロジェクトであると、ここでは主張している。しかも、アーティストと並んでクレジットされているフィル・ラモーン (Phil Ramone) を皮切りに、編曲、演奏者、スタジオ、どれを観ても一流の逸材ばかりが取り揃えられている。

だけれども、バックの演奏のめくるめく豪華さに目眩を感じていると、ふと、これでいいのだろうかと、想ってしまうのだ。
彼女の声質、彼女の声量、彼女の表現力、それらを最大限に活かす為の編曲と演奏は、これなのだろうか、と。
もしかしたら、ヴォーカリストはすげ替え可能な編曲と演奏ではないだろうか。そんな邪推すらも、時折、浮かんでしまうのである。

と、同時に、シネイド・オコナー (Sinead O'connor) の、真の眼目は、隠しトラックとして収録された『スピーチ (Speech)』なるスポークン・ワード (Spoken Word) と、自身によるライナーノーツ『狂った王様はどこ そこにいるなら、顔を見せてよ (ou est le roi, perdu? [If You're Out There - I Want To See You]) の発表にあったのではないか、という気もしている。
この、『スピーチ (Speech)』なる"作品"は、英語版ウィキペディア (English Wikipedia) では、「いたみに関する個人的なメッセージ (Personal Message About Pain)」と注釈されていて、『新約聖書 (Novum Testamentum』のよっつの福音書 (Evangelium) 総てで語られている逸話『宮清め (Cleansing Of The Temple)』に基づいている、とある。と、謂われて日本盤に記載されているその本文とその訳と『宮清め (Cleansing Of The Temple)』本文とその解説を読んでも、その意をぼくは汲み取る事が出来ない 。
とは言え、『スピーチ (Speech)』の出典に関して留保してそこで語れている言葉、そこに綴られている言葉に立ち向かってみれば、そのふたつの"作品"には、並々ならぬ彼女の心情が切々と吐露されている様に、読めるのである。

ちなみに、彼女が [恐らくレコーディング中の滞在期間] 出逢ったニューヨークのホームレス (Homeless In New York City) への献辞から始まる、長いサンクス・リストの最後は、今回収録した楽曲群のシンガー達に、その場を割いている。

ジュリー・ロンドン (Julie London)、エラ・フィッツジェラルド (Ella Fitzgerald)、ドリス・デイ (Doris Day)、サラ・ヴォーン (Sarah Vaughan)、ロレッタ・リン (Loretta Lynn)、エレイン・ペイジ (Elaine Paige)、マリリン・モンロー (Marilyn Monroe)、ビリー・ホリデイ (Billie Holiday)、アリソン・モイエ (Alison Moyet)、アストラッド・ジルベルト (Astrud Gilberto)。

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その曲のオリジナル・シンガー、もしくはその曲をスタンダード・ナンバー化させる機運を創ったシンガー達だ。
その中で、アリソン・モイエ (Alison Moyet) だけ異彩を放っているが、これは1987年に発表したシングル『ラブ・レターズ (Love Letters)』 [『シングルズ (Singles)』に収録] を指し示している様だ。
[上掲は、左側が1963年に『ラヴ・レターズ (Love letters)』をヒットさせたケティ・レスター (Ketty Lester) の1963年発表のアルバム『Love letters』、右側がアリソン・モイエ (Alison Moyet) のシングル『ラブ・レターズ (Love Letters)』]

ものづくし(click in the world!)131. :
『永遠の詩集 [シンニード・シングス・スタンダード] (am I not your girl?)』
by シンニード・オコナー (Sinead O'connor)


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永遠の詩集 [シンニード・シングス・スタンダード] (am I not your girl?)』 by シンニード・オコナー (Sinead O'connor)

1. ホワイ・ドント・ユー・ドゥ・ライト? 2'30"
 why don't you do right
 arranged by patrick williams conducted by torrie zito
 written by j mccoy morris chappell
2. 魅惑されて 6'15"
 bewitched, bothered and bewildered
 arranged and conducted by rob mounsey
 written by l hart / r rodgers warner chappell
3. シークレット・ラヴ 2'55"
 secret love
 arranged and conducted by torrie zito
 written by p f webster / s fain warner chappell
4. ブラック・コーヒー 3'20"
 black coffee
 arranged and conducted by torrie zito
 written by p f webster / s burke mca music
5. 叶わぬ想い ~アディショナル・メドレー~ 4'27"
 success has made a failure of our home
 arranged and conducted by doug katsaros
 drums by john reynolds
 written by j mullins (p. c. music)
 Additional Medley by s o'connor (emi publishing)
6. 泣かないでアルゼンティーナ 5'35"
 don't cry for me Argentina
 arranged and conducted by torrie zito
 written by t rice / a lloyd webber evita music ltd
7. あなたに愛されたいのに 2'44"
 I want to be loved by you
 arranged and conducted by sid ramin
 written by h stothart / h ruby / b kalmar warner chappell
8. グルーミー・サンデー 3'54"
 gloomy sunday
 arranged and conducted by torrie zito
 written by l javor / r seress / lewis chappell music ltd
9. ラヴ・レターズ 3'05"
 love letters
 arranged and conducted by torrie zito
 written by e heyman / v young famous chappell
10. ハウ・インセンシィティヴ 3'26"
 how insensitive
 arranged and conducted by rob mounsey
 written by v de moraes / a c jobim / gimbal mca music
11. 私の心はパパのもの* 2'53"
 my heart belongs to daddy*
 written by cole porter warner chappell
12. あなたに抱かれて* 3'45"
 almost in your arms*
 written by livingston / evans chappell
13. フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン* 2'45"
 fly me to the moon
 written by howard tro essex music
14. スカーレット・リボンズ 4'13"
 scarlet ribbons
 arranged by sinead o'connor
 tin whistle by joanie madden
 uilearn pipes by jerry o'sullivan
 written by j segal / e danzig mills music ltd
15. 泣かないでアルゼンティーナ [インストルメンタル] 5'09"
 don't cry for me Argentina (instrumental)
 arranged and conducted by torrie zito
 written by t rice / a lloyd webber evita music ltd

スピーチ
speech
* 日本のみのボーナストラック (* EXTRA TRACK FOR JAPAN ONLY)

produced by : phil ramone and sinead o'connor
engineered by : gary chester
mixed by : gary chester and phil ramone
project coodinator : jill del' abate
digitally recorded and mixed at : national edison studios, nyc
assistant engineers : tommy civello and yvonne yedibalian
mastered by greg calbi at sterling sound, nyc
management : pure, london, los angeles
photography by kate garner

drums : chris parker
bass : david finck
piano : richard tee
guitar : ira siegel
synthesizer : dave lebolt
alto sax / flute : dennis anderson & dave tofani
tenor sax / clarinet : ted nash & gerry niewood
baritone sax / bass clarinet : ron cuber
trumpets / flugelhorn : bob milikan, brian o'flaherty, alan rubin, joe shepley, lew soloff
trombones : kim cissel, birch johnson, keith o'quinn, jim pugh
bass trombone : george flynn
french horns : bob carlisie, john clark, fred griffin
tuba : dave braynard
english horn & oboe : shelley woodworth
harp : gloria agostini
violins : david nadien, concert master
elena barere, arnold eidus, barry finclair, charles libove, alan martin, nancy mcalhany, jan mullen, john pintavalle, matthew raimondi, laura seaton, richard sortomme, marti sweet, gerald tarack, donna tecco
violas : lamar alsop, julien barber, jesse levine
cello : richard locker, charles mccracken, frederick slotkin

オリジナル・ライナーノート 『狂った王様はどこ そこにいるなら、顔を見せてよ (ou est le roi, perdu? [if you're out there - I want to see you])』 by シンニード・オコナー (Sinead O'connor)

(P) 1992 ensign records limited (C) 1992 ensign records limited
original recording made by ensign records limited
ensign is a division of chrysalis records limited

ぼくの所有している国内盤は、上記記載の通り、オリジナル盤に3曲追加収録。アーティスト本人によるライナーノーツと謝辞 (Thanks List) 及び歌詞、そして『スピーチ (SPEECH)』の邦訳が記載されている。翻訳は斉藤真紀子による。
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