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2013.08.16.08.13

Fa Fa Fa Fa Fa (Sad Song)

ふん。まるで曳かれ者の小唄だな。

そう言い放ち、彼は自身の部屋に戻った。

そのことばが、単なる強がりでしかないことは誰にも明らかだった。
すべては、些細なことの積み重ねでしかない。
誰も責めることも出来ないし、誰に非があるというべきものでもない。
あえていえばそれは、関わったものすべての咎でもあるし、この場にいるもの誰しもが負わなければならないものだった。

だが、実際には、彼が一切の債務を負わなければならない。世の中の仕組みというものは、どうやらそういうものらしい。

もちろん、全員が職をうしなう。それを各自の責めと断罪することはできるかもしれない。だが、誰しもがそう、簡単にわりきれるものでもない。
大半のものが彼を恨んで、ここを去る。彼を憎んで、ここを去る。

智慧のあるものは、訴訟をも辞さない素振りだ。
いま、また回覧がまわってきた。いちまいの趣意書、賛同するものには署名欄もある。
それに名を連ねることが今後、どういうことになるのか。恐らく、誰にも解ってはいない。
だが、それを拒否することも躊躇われる。
言いようのない、無言の圧力がそこにはあるからだ。

静かだ。
波がひけるように、ひとりまたひとりと、ここをでてゆく。
陽はまだたかく、本来ならば、忙しくなるのはこれからだ。
鳴る電話も鳴るにまかせている。誰もでようとはしない。

彼はまだひとり、自室にいる。

[the text inspired from the song "Fa Fa Fa Fa Fa (Sad Song)" from the album "Complete And Unbelievable : The Otis Redding Dictionary Of Soul" by Otis Ledding]


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