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2013.08.02.13.14

Do It Clean

そのこはだれよりも早く起きて毎日、そうじをはじめる。

だれがきめたわけでもなく、なにがそのこに促したのかはわからない。
もしも、本人にたずねたとしても、説明がつけられるものではない。
そのこがそこに住む様になってからしばらくして、その日課ははじまった。

ねむりにねむっている、ほかのものをおこさないように、庭からはじまる。
勝手口そして玄関と、兵糧攻めにでもしているかの様に、そとからなかへ、周縁から中央へと、そうじは進められていく。

いちばん、注意を要するのが、便所のそうじだ。いつだれかが起きて、用をたしに来ないとは限らないからだ。
寝ぼけまなこの当人にとっては、早くすませたいその用向きを、そうじごときで邪魔されては叶わない。
そうじをする方にとっても、よごしにくる方にとっても、こんな時間に遭遇してしまうのは、お互いにとっての不幸なのである。

そんな気苦労を積み重ねたその後に、ねむりにねむっているもの達の居所を除いた、あらゆる場所のそうじが、まもなく終わる。
陽はようやくにその頃、顔をあらわしはじめる。

そうして、最後の最後に、その建物のながいながい廊下の雑巾がけがはじまる。
固くしぼったそれをまえにおき、からだの重心をのせた両の手がはしるがままに、一気呵成に、そこを駆け抜ける。
たったったった。
たったったった。
おのずと駆け抜ける早さは次第に増していく。

これで終わるという気のゆるみからだろうか、箍が緩んでしまったのだろうか。
大概そのとき、四つん這いになって駆けているそのこは、失速してしまう。
そして、廊下から庭先へと転がり落ちてしまうか、脇に置いた桶に思わずぶつかり、辺りを水浸しにしてしまう。

いずれにしろ、おのれの失態から、おおきな音をたてて、そこの住人を起こしてしまう。

だが、起こされてしまったものはだれも、彼を叱ろうとはしない。
何故ならば、その時間のもうまもなくもすれば、起床しなければならない時間なのだ。
つまり、態のいい目覚まし代わりなのである。

[the text inspired from the song "Do It Clean" for the album "Crocodiles" by Echo & The Bunnymen]


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